弘法修復過程@

 本堂大黒殿に祀られていた弘法様の修復過程が、修復を担当していただいた仏具店から「修理復元作業報告書」と関係写真という形でいただきましたので紹介します。

 修理復元作業報告書
□対象 弘法大師坐像
□寸法 割:9寸
□破損状態
 ・堆積した埃や油煙により表面が黒ずみ、彩色が損なわれていた。
 ・部材接合の緩みにより、接合箇所に沿って割れが表れていた。
 ・椅子材料の一部に破損があり、歪んで不安定な状態だった。
 ・持ち物の数珠が失われていた。
□作業概要
 部材を解体し木地破損箇所を修理。下地彩色、塗箔を一新した。
@解体・下地層除去
 ・部材ごとに解体し、胎内納入物や墨書の有無を記録した。(※特筆すべきものは発見されなかった。)
 ・玉眼を取り外し、眼の彩色を洗浄除去した。
 ・接合面に残った膠(にかわ)や、表面に施されていた下地層を除去した。
 ・椅子装飾金具は取り外して洗浄。メッキを新たに施した。
 ・椅子などの塗箔層の内、堅牢な状態を保っている箇所は研磨して整えた。

 弘法大師坐像を解体すると28の部材になりました。また、椅子は、9の部材に解体されました。一体の坐像がこんなにも多くの部材からなり、それらを接合してできていることを認識することができました。

正面からの坐像部材 裏面からの坐像部材 椅子の部材

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成28年12月29日(木):第2083号】