今月の掛軸 №48-【十六羅漢①】

 今月からは、すでに全体の紹介を【第485号】でしている十六羅漢の掛軸を詳細に見ていきたいと思います。「十六羅漢」は、お釈迦様の弟子で、特に優れた代表的な16人の弟子をいいます。この十六羅漢の掛軸は、すでに紹介しているように、昭和15(1940)年に、兼務住職をしている海源寺の壇信徒様2名による寄贈です。絵の作者は、「勝岳」という号の印がありますが、経歴等については不明です。その中の2幅の軸には、大本山方広寺第3代管長である足利紫山老師の賛が書かれています。「賛」とは、東洋画において、主に鑑賞者によって作品に書き加えられ、書作品また文芸作品として、もとの作品の一部とみなされる鑑賞文をいいます。絵画作者自らが賛を書くことを自画自賛といいます。今回はこの2幅の軸を詳しく見ていきます。

床の間に掛けられた二幅  寄贈者とその年月」
左側掛軸の賛

投光明而破 光明を投じて破る
三塗之昬暗 三塗の昬暗
運神通而断 神通を運びて断つ
衆生之苦於 衆生の苦於
右側掛軸の賛

紫山焚香自題 方廣萬寿禅寺沙門

志禮龎眉倪下降 志禮の龎眉 倪下に降り
一心因此時感動 一心此に因りて時に感動す
天人経諸聖来臨 天人 諸聖の来臨を経て
正祥烟瑞気偏坤 正に祥烟瑞気 坤に偏(あまね)し
左側掛軸の羅漢拡大 右側掛軸の羅漢拡大
≪平成27(2015)年3月7日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成27年3月10日(火):第1423号】