奈良 佐紀路(さきじ)・佐保路(さほじ)

 奈良市内は、歴史の宝庫です。至る所に、歴史の遺産や文化財であふれています。その中で東大寺の西の門である転害門から法華寺までを佐保路、法華寺からさらに西へのびる西大寺までを佐紀路といわれています。あまり有名ではありませんが、静かなたたずまいの中に、ひっそりとたたずむ奥ゆかしい寺院が多く、比較的観光客が少ない地域です。
 先日、奈良へ訪れた際に、佐紀路にある西大寺(さいだいじ)と秋篠寺(あきしのでら)、佐保路にある法華寺(ほっけじ)を拝観しました。


 西大寺  場所の地図

 西大寺は真言律宗総本山で、奈良時代に称徳天皇の発願により、天平宝宇8(764)年に建立されました。奈良時代には壮大な伽藍を誇りましたが、平安時代に一時衰退しましたが、鎌倉時代には復興されました。山号を勝宝山で、現在の本尊は釈迦如来です。
 本堂・愛染堂・四王堂の三ヶ所が拝観可能で、共通拝観券は¥800です。
 見どころは、本堂内にある本尊釈迦如来(重文)、愛染堂内にある興正菩薩坐像(重文)、四王堂内にある十一面観音立像(重文)や四天王立像(重文)です。

本堂 愛染堂 四王堂


 秋篠寺  場所の地図

 秋篠寺は、宝亀7(776)年に光仁天皇の勅願により薬師如来を本尊とする寺を造営したのが始まりとされています。山号はありません。宗派はもと法相宗と真言宗を兼学し、浄土宗に属した時期もありましたが、現在は単立(たんりつ:特定の団体に属さない独立した宗教団体)です。
 見どころは、国宝である鎌倉時代に建立された本堂と、堂内にある仏像「伎芸天」です。伎芸天は、瞑想的な表情と優雅な身のこなしで多くの人を魅了してきた像で、頭部のみが奈良時代の脱活乾漆造、体部は鎌倉時代の木造による補作ですが、像全体としては違和感なく調和しています。

山門 本堂 伎芸天(kazu_sanの百寺巡礼より)


 法華寺  場所の地図

 法華寺は、奈良時代に日本の総国分尼寺とされた寺院で山号はありません。本尊は十一面観音、開基は光明皇后です。元は真言律宗に属していましたが、平成11(1999)年に同宗を離脱し、光明宗と称すています。
 見どころは、本堂内にある本尊十一面観世音菩薩像(国宝)と庭園「華楽園」です。さらに、光明皇后が多くの難病者を救済されたといわれる浴室(からぶろ)と、奈良県月ヶ瀬村の民家を昭和46(1971)年に移築した光月亭が境内にあります。また、東書院にて、期間限定の古代雛人形展が開かれていました。

山門 本堂 古代雛人形展が開かれていた東書院
浴室(からぶろ) 光月亭 庭園「華楽園」入口
白梅咲く華楽園 椿のゲート ロウバイ咲く園内
≪平成26(2014)年3月5日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成26年3月14日(金):第1062号】