払子(ほっす)

 禅宗の葬儀に導師が持っている、柄の先に白い毛を束ねた法具を、払子といいます。これを振ることによって、穢れを除く意味があります。葬儀の際に、導師が引導を唱えるときに振るのは、穢れを払い、悟りの心を認めて、お釈迦様の弟子になるための儀式のようです。
 この払子は、古代インドにおいては虫よけの道具でした。仏教では、無益な殺生が禁じられていたため、蚊や虻が寄ってきたとき、これらを遠ざける道具と使われました。この虫を追い払う道具であった払子は、仏教が各地に伝わっていく過程で、次第に用途が変化していき、神聖な法具としての意味合いをもってきたようです。

≪平成26(2014)年1月11日撮影≫

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成26年1月18日(土):第1007号】