今月の掛軸 bQ9−半升鐺内煮山川
今月の掛軸は、方広寺第3代管長の足利紫山老師の書です。落款に七十八翁とありますので、100歳の長寿を全うした老師にとっては若い頃の作品です。
「半升鐺内煮山川(はんしょうのとうないにさんせんをにる)」は、前句として「一粒栗粟中蔵世界(いちりゅうのぞくちゅうにせかいをぞうす)」とあります。「一粒の粟の中に世界を包み込んでしまい、半升(五合)のなべの中で山川を煮てしまう。」すなわち、絶対の世界は、大小の差別を絶していることを述べたものです。一粒の粟の中に世界を包み込んだり、五合鍋で大地を煮てしまうとは、大小・広狭という分別を超えた壮大なはたらきを示し、一つ一つが尊い存在であり、素晴らしい働きがあることを示しています。
≪平成25(2013)年8月9日撮影≫ |
釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【平成25年8月11日(日):第847号】