エントリーすると、ちょっと水は濁っていました。水温は24〜25度でウェットスーツでちょうど快適な温度です。
浅いほうへ向かっていくと、コブシメが現れました。外側から回り込んではさみうちにしようとして横へ行くのですが、敵もさるもの、それに合わせるように動いて、離れていってしまいました。
しばらく移動すると、先のほうに何匹ものコブシメが見えてきました。手前の一匹をなんとかまわりこんではさむことに成功したのですが、そのころにはコブシメの中に入ってしまい、どっちを向いてもコブシメがいる状態になっていました。
コブシメたちはダイバーの存在もなんのその、それぞれの営みに夢中になっています。メスをめぐって戦いを繰り広げるオスどうしは、それぞれ色を変えたり足を広げたりと威嚇合戦をしています。メスはメスで、サンゴのすき間に足を差し込んで、産卵をしているようです。ダイバーとコブシメが入り乱れ、コブシメの写真を撮っている人のすぐ横を通っていったりと、どこを向いてもコブシメがいるような具合になっていました。
メスのコブシメが足をつっこんでいたユビエダハマサンゴを見に行くと、サンゴのすき間に白いピンポン玉のようなコブシメの卵がありました。どういうわけかサンゴの上にちょこんと乗っていた卵があったのでひろいあげてみると、丸いのは上だけで、下には一本の根っこのようなものがあり、その先に糸のようなものがちょっと生えていました。どうやらこれでサンゴに固定するようです。見終わったあとは、サンゴがへこんでいるところに置いてきましたが、無事にふ化して欲しいものです。
その他には、ポイントの名前の通り、ハナゴイと、キンギョハナダイとアカネハナゴイが3点セットで群れていました。でも、アカネハナゴイは少なめでした。
また、水中にサンゴの卵が漂っていて、それをロクセンスズメダイとオヤビッチャがさかんに食べていました。
エキジットして、ちょっと早いのですが昼食です。その後時間があったのでスキンダイビングをしていると、底のほうを中くらいの魚の群れが早いスピードで通りすぎていきます。背中につぶつぶのような模様があって、ゴマサバとわかりました。こんなに岸の近くで見られるものとは思いませんでした。でもやっぱり、潜っているときに出てほしかったなあ。
さて午後は、期待ドキドキの「石崎マンタスクランブル」です。着いたときには10隻以上の船が停まっていて、もう潜り始めている人もいるようです。こんなにダイバーが押し寄せて、果たしてマンタは来てくれるでしょうか。
エントリーすると少し流れていて、急いで下に降りてつかまるところを探します。全員そろったところで、潮上に向かって進み始めます。周りには思い出したようにぽつぽつと、ユメウメイロが漂っています。
一つ先の根に渡っていくと、大勢の人が根の上の方を見ています。その視線の先をたどっていくと、わあっ、マンタが現れました。
根の上をまわったり、ときどき止まってホバリングしたりしています。ガイドの猪狩さんが水中スレートに「これはそばかす君というオスです」と教えてくれます。
そのうちに、用事はもう終わったのか、マンタはダイバーの頭上をかすめて離れていきました。はいた泡がマンタに当たるぐらいのところでした。
これは追っても無駄なので、同じ場所で次のマンタを待ちます。すると、さっきのマンタが帰ってきました。またもホバリングをしたり、根の上をまわったりしています。離れる様子はありません。そのうちに残圧が少なくなってきた人が出てきたので、名残惜しいのですが戻ることにします。
同じ場所にじっとしていたので寒くなってきた人もいました。
帰りは流れに乗って楽々と、船に戻ります。安全停止をした後浮上に入り、水面近くに来ると、急に水温が上がりました。たぶん2度以上は上がったと思います。こういう複雑な潮のぐあいが、マンタが集まってくる理由なのかな、と思いましたが、もちろん真相はマンタしか知りません。
戻ってくるとまだ日は高く、まだ強い日差しが照りつけています。夕食までのんびりします。ログつけを終わって、店に行く途中のタクシーから、夕日が西表島に沈むところが見えました。時刻は7時過ぎでした。沖縄の一日はほんとうに長いです。