7月の赤沢

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ネンブツダイのペア。クロホシイシモチより体に透明感がありますさっそくやって来たハタタテダイ。一緒にいるのはオオスジイシモチです
モンツキハギの幼魚。キタマクラにより添うようにしていますたくさんいるメイチダイ。見つかる前はもっと黄緑色です
これが問題のハナツノハギ。カワハギらしくないスマートな体形に注目

梅雨が明けていよいよ夏本番、でも台風の余波でちょっとうねりが残る赤沢からお届けします。

今回の台風は、いろいろなものを持ってきてくれました。海の中はちぎれた海藻の切れ端が波で一カ所にかたまって、ごみだらけ。先週大掃除をやったばかりなのに、人のゴミも吹き寄せられてきています。またクリーンナップをやりたいくらいです。

その台風でどこかにとばされてしまった魚も多いようで、先週見た魚がどれくらいのこっているか、ちょっと心配しつつエントリーします。

まず、黄色い体のモンツキハギの幼魚ですが、防波堤の内側で見あたらないなーと思って外に行くと、どっこい生き残っていました。やっぱり一匹だとさみしいのか、キタマクラに寄り添って泳いでいます。それもキタマクラならどれでもいいというわけではないようで、決まったキタマクラにくっついていました。

ミノカサゴはさすがにとばされてしまったようで、岸から離れたところで見つかりました。あの体では岩の間にちょっと入ってやり過ごすというのは難しそうなので、さぞかしうねりに揺られて大変だったことでしょう。

アオリイカの産卵床にいくと、だいぶ木がとばされてさみしくなっていました。アオリイカも遠くから2匹ほど見えるだけで、今年の産卵はこれで終わってしまったようです。期待はずれに終わりましたが、産みつけられた卵は中が房のようになり、ふ化が近いことを感じさせます。
枝の間には、ハタタテダイが3匹身を寄せあっていました。遠くからは枝の外に出ているのですが、近づいてみると枝の間に隠れてしまいます。といってもすき間だらけなので、見る分には支障はありません。もしかしたらハタタテダイじゃなくてムレハタタテダイなのかもしれませんが、3匹だけではわかりません。もっと仲間が増えて外に群れを作るようになるとはっきりするのですが。

ここで、初めて見る魚を見つけました。背びれのところにつのが一本生えているので、カワハギの仲間のようですがそれにしては体型がスマートです。体に縦のすじが入っていて、尾びれにちょんと黒い斑点があります。
デジカメで撮ってあとで図鑑を見ると、ハナツノハギという、やっぱりカワハギの仲間でした。いちおうこのあたりも分布域に入っているようですが、図鑑の写真は沖縄で撮られたものだったので、伊豆ではあんまりたくさんいるものではないようです。ちょっと得をした気分です。

アオリイカの産卵床を取り巻くように、アカカマスの群れがいました。でも透明度の限界のあたりにとどまっていて、はっきりとは見えませんでした。だからどのくらいの群れなのかはわかりませんが、かなりたくさんいそうな感じではありました。

岩場に戻ってくると、岩の穴を出入りしているモンガラカワハギの仲間の幼魚がいます。背中が黒く、腹は白のツートンカラーです。2匹いるので同じものかと最初は思っていたのですが、よく見ると尾びれの模様が微妙に違います。写真に撮ってよくよく見れば一目瞭然、片方はツマジロモンガラの幼魚で、もう一つはメガネハギでした。どちらも分布の中心はサンゴ礁域なので、伊豆にいるのはたまたまなのですが、まだ夏も早いことだし、育った姿も見たいものです。ちなみに図鑑によると、どちらも沖縄では「カーハジャー」と呼ばれていて、生態も似たところが多いようです。

ヨスジフエダイの小さなグループは、解散させられてしまったようで見あたりません。でも、クロホシイシモチの群れに混じって一匹だけ残っていました。グループのほうもどこかで再会したいものです。

今年はメイチダイの当たり年なのか、やたらと見かけます。若魚は黄緑色をしていて周りの環境にとけ込みやすい色ですが、追いかけると色が薄くなって横すじがはっきりしてきます。成魚もいて、こちらは最初から横すじを出しています。どちらもそばまで近づけるのですが、すぐにしっぽを向けてしまうのでなかなかうまく写真におさまってはくれません。うねりの調子でこちらを向いたときに急いでシャッターを押すのですが、デジカメのタイムラグのせいで写っているのはやっぱりしっぽになります。

黄色くて細長いものが、群れを作っていました。魚にしては細すぎるし、目も見えない、それでも整然と流れていくこいつは、アカイソアミというアミの仲間のようです。けっこうまとまった群れを作るので、色がオレンジがかっていることもあり、大きな群れは結構きれいです。

水温はちょっと上がって22〜23度くらい。暑い陸上から入ると気持ちの良い水温になってきました。1時間潜っていてももう大丈夫です。透明度はうねりのせいで3〜4mとふるいませんが、これはおいおい回復していくでしょう。それにしても台風さん、しばらく来ないでね、といいたいようなコンディションでした。


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