7月の赤沢

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なぜか1ヶ月以上も間が空いてしまいましたが、またもや赤沢です。

今回は20日の海の日にちなんで(?)、海中大掃除大会をやります。
いつも潜っている赤沢の水底に落ちているゴミを根こそぎ片づけてしまおうという企画なのですが、なんせ台風の後、どれだけゴミが残っているか危ぶまれるという状態での決行です。

潜ってみると案の定、ゴミなんてどこにもありません。わずかに残っていたゴミも先に入ったグループがそっくりさらった後で、ゴミ一つないきれいな海の中を必死になって探すことになってしまいました。
拾えたものは針金が1本にビンのふた1個、プラスチック片少々と、不漁になってしまいました。
他のグループが集めたものを全部合わせても、大きめのゴミ袋ひとつにおさまってしまうぐらいしか集まりません。でもやっぱり空き缶がダントツで多く、あとは釣りのゴミがあるくらいでした。

生き物のほうは、台風のせいか、早くも死滅回遊魚が現れています。まっ黄色の小さいハギは、モンツキハギの幼魚です。ニセカンランハギの幼魚も入ってきていました。1匹だと不安なのか、ニザダイの幼魚とつるんだりしています。ちょっとでも危険を感じると石の下にもぐってしまいますが、じっとしていられずに顔を出してしまうのでまた見つかってしまうところがかわいいです。

ヨスジフエダイも早くも登場しました。最初のうちは仲間が見つからずにクロホシイシモチと一緒にいましたが、次の日には仲間がいることをお互いに知って、4匹が小さなグループを作りました。でもこれだけでは目立ってしまうので4匹一緒になりながらもクロホシイシモチの群れの中に入っています。

そのクロホシイシモチは、小さいのは群れになっていますが、成魚は本格的にペアを作っていて、産卵も間近です。そろそろメスのおなかが白っぽくなってきています。

夕方になると、ネズッポの仲間の産卵行動が始まります。今回見たのはヤマドリのものでした。といってもメスはいなくて、2匹のオス同士の争いでした。2匹のオスが出会うと、まずは横に並んで大きさを比べます。それで勝負がつかなかったようで、にらみ合いの後、咬み合いを始めました。
口と口をがっしりとくわえ込んで、まずはがまんくらべ、次に体をひらめかせての力比べです。それでも双方一歩も引かず、ぱっと離れるとまた横に並びました。今度は背びれを大きく広げます。いつもはたたんで背中に背負っている長い背びれですが、広げると帆掛け船のようになります。せいいっぱい膜を広げて大きく見せようとしていますが、それでも勝負はつきません。ふたたび咬み合いに入りました。ここまでで約12分、これはどうにも終わりそうにないので、勝負の行方を見届けることなく移動することにしました。

今日のワンポイント:ミノカサゴの省エネ移動法
ミノカサゴといえば、あの大きいひれを思い浮かべます。でもあんな大きいものを持っていて、じゃまになるときはないのかなと思いますが、実は思いもかけない方法で移動していたのです。
海の中には、いろいろな水の動きがあります。その中でもっとも多いのがうねりによる行ったり来たりの水の動きです。そんなときミノカサゴは、その動きをうまく利用します。まず行きたい方向に頭を向けます。そして水が後ろの方向に動くときは、ひれを閉じて水底にはりついています。そうしているうちに水の動きが変わり、進行方向に向かって流れるようになります。するとミノカサゴはひれを大きく広げ、まるで帆船のように水の流れに乗って流されていきます。これを繰り返して、ミノカサゴは行きたい方向にほとんど泳ぐことなく進んでいくことができるのです。

さて、アオリイカはどうなったかというと・・・どうも積極的になってないんだなあ・・・産卵床の近くには来ているのですが、ダイバーが来ると離れていってしまいます。卵はあるので産卵はしているのですがってこれじゃ先月書いたのと一緒ですね。

水温は20度くらいで、ドライスーツとウェットスーツの境目くらいです。暑いのでウェットを着てますが、水中では動いている分にはいいのですが何かをじっと待っているようなときは冷たく感じます。また、動いたひょうしに首筋からつつーと水が入ってくるとやっぱり冷たいです。
透明度は、にごっていて3〜4mくらいです。台風の後で砂地の地形が変わったので、油断していると迷いやすい海の中でした。


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