天気予報は曇りがちと言っていましたが、実際には両日ともずっと晴れ。しかし台風の影響か、うねりがずっと残っていました。潜れなくなるほどではありませんが、浅場で止まっているのはちょっと難しいくらいでした。
水温は23〜24度と、かなり上がってきました。透明度は、3〜4mと少し落ちています。しかし、それを気にしなければ生き物の動きも活発になってきているので、かなりおもしろいです。そうそう、水深はたいてい10m程度なので、1時間くらいは平気でいられます。
●群れもの
防波堤の先から砂地のあたりに、イワシの群れが入ってきました。イワシといってもよく見かける細かいやつじゃなくて、目刺しよりひとまわり大きな塩焼きサイズの群れです。小さいやつと違って密集度はそれほどでもありませんが、サイズが大きい分見応えがあります。岸の近くで敵があまりいないせいか(これを食べるには50cm以上ないと無理)、のんびり泳いでいるので、こちらも動き回らずにぼーっと見ているのがおすすめです。そのうちに近づいてきて、ダイバーの泡のまわりで二つに分かれたり、輪になったりするのが見られます。
カマス(たぶんアカカマス)の群れはほとんど常連になりました。食べるにはまだ小さいのですが、顔は一人前。ただし、なかなか頭を向けてくれないのが被写体としては難しいところです。
シマアジも増えてきました。かなりまとまった数で、ダイバーを見に来ます。たいてい砂地にいるときにやってきて、2〜3回まわりを泳いで去っていきます。これとは別に、2匹で岩場をまわっているのもいて、こちらのほうがなぜか青みが強い(だからきれい)です。砂地のほうはただの白銀色なのですが。
●ただいま繁殖中
ソラスズメダイのオスの巣作りが盛んで、浅いところでちょっとでも岩のすきまがあれば、婚姻色(深緑というか黄土色というか、変な色)のオスが出入りしています。多いところは30cmおきに巣があったりします。メスはというと、普段の色で群れていますが、どう見てもメスのほうが数が少ないような。そうとう激しい競争になりそうですが、それらしき現場はほとんど見かけませんでした。
この時期婚姻色の中で特に目立つのが、ヘビギンポのオスです、普段は白地に黒のぼやけたしまが入った地味な模様ですが、この時期になると全身真っ黒になり、白いところは後半部の2本のしまだけと逆転します。黒い体に白のアクセントが効いていて、ちょっとかっこいいです。浅いところの岩の側面にはりついていることが多いので、わりと見つけやすいです。オスの近くにメスもいる率が高いので、探してみてください。
タナバタウオとナカハラタナバタウオもこの季節が繁殖期のようです。他の時期はあまり見られないのですが、夏になると浅場のゴロタの間から顔を出しているのが見つかります。今回見たのはナカハラタナバタウオ(ちょっと大きめ)でした。普段は岩の間でしか見られなくてすぐに引っ込んでしまうのですが、今日は完全に外に出ていました。体の青みが強くなっていて(だから最初はタナバタウオかと思った)、ひれの黄色い部分が広くなっています。ちょうどひれを広げていたので、黄色のせいもあってやけに大きく見えました。いつものこわがりさんはどこへ行ったの?という感じです。
●ちびたち
スカシテンジクダイの子ども(というか元が小さいから若魚くらいかもしれない)が3カ所くらいに群れています。砂地にとけ込んでいたり(1mくらいに近づくまでわからない)、ゴロタのへこみにはまりこんでいたり(これはすぐわかる)します。よっく見ると、同じくらいの大きさの他の魚が混ざっているので、「あっスカテンね」と通り過ぎないでじっくり見るとおもしろいです。今回はシマイサキ(たぶん)のこどもがけっこういました。岩場のほうの群れはもっとバラエティ豊かで、シマイサキはもちろん、小さいアジ、スズメダイ(小さいのでよくわからないけど、2〜3種類いるような気がする)なんかがいました。1匹ちょっと変わったのがいて、青い体にしっぽから背中にかけて黄色くなってるのって、ひょっとしてウメイロモドキのこどもだろうか。
ちびといえば、人間の子供もたくさん出現しています。水面で待っていると面白がって寄ってきたり(だからマスクは引っぱるなって!)浅いところにいるとけとばされたりします。
●小林安雅さん
5日の夜に、水中写真家の小林安雅さんのビデオの会をやりました。メインは3月から6月までずっと赤沢にいたコウイカの繁殖行動で、オスの争いやメスとの交接、産卵までとフルセットで記録されています。いずれテレビで放映されることになります(といいつつ2001年1月現在まだです)。