テレビニュースによると、羽田では全便欠航だそうな。もしも今日の朝出発にしていたら来れなかったかもしれない・・・やっぱり危ないところだったんだなー。
朝食の用意(部屋には流しとコンロがある!)、といってもお湯わかしてラーメン作るだけですが、箸がなかった。しかーし、ホテルには必ず歯ブラシがあります(食べにくいけど)。こういうところの歯ブラシはだいたい歯 磨き粉がついているので、よく洗ってからにしないと大変なことになりますが(私はちゃんと洗った)。
9時に田村さんにピックアップしてもらい、車ですぐの砂辺へ。着いてみると結構混んでいて、海岸通りは車がいっぱいでした。とりあえず器材だけ下ろして、駐車スペースを探します。アメリカ人のダイバーは、朝も早くからもうエントリーしていました。それにしてもいい天気です。
今日と明日は、IAHD(International Assosiation for Handicapped Divers)のダイブパートナーの講習を受けます。これは、障害を持つダイバーのバディになるためのトレーニングコースです。一緒に受けるトミーと福ちゃんも到着し、早速コースが始まります。と思いきや、タンクを運ぼうとして段差で思いっきり転んで、ひじをすりむいてしまいました。大丈夫かいな。
コースの内容は、障害者のシミュレーションをバディで交代でやって、障害者がダイビングをするときに大変なこととそれをどうやってアシストするかを体験するものです。最初に、エントリーしてからフィンをつけずに足をしばり、しかも足にペットボトル(浮きのかわり)をはさんでフロートまで水面移動をします。浮きをはさむのは足と腹筋が使えないのをシミュレーションするためで、手を使って進むしかありません。足が浮いているのでバランスをとるのが大変です。
特に何かのひょうしにあお向けになってしまうと、手だけでリカバリーするのは大変です。転がったり、溺れそうになったりしながらやっと沖のフロートにたどり着きました。けっこう疲れます。
このまま、ペットボトルをはさんだまま潜降します。といっても自分ではバランスがとれないので、バディのアシストを受けて足を下に保ってもらいます。相手がひっくり返りそうになるのを押さえながら、自分でも姿勢をコントロールしなければなりません。潜降ロープは使えるのですが、それでも油断はできません。全身を使ってバランスを保ちながら、水底まで連れていきます。これをバディごとに役割をかえて、練習します。障害者の役をするほうは、浮き上がろうとするペットボトルをはさんでいるので足が使えず、かなり真に迫ったシミュレーションになります。
次は、フルフェイスマスクを使っての練習です。口やあごに麻痺がある人の場合、マウスピースをくわえるのに難があるので、フルフェイスを使ったほうが確実なのですが、そのかわりエア切れなどの時は単純にレギュレーターを変えることができないので、そのための練習です。まず、自分で交換をやってみます。マスクとレギュレーターが一緒になっているので、外してしまうと息もできなければ視界もきかなくなります。まずはオクトパスを見つけて呼吸を確保。それから予備のマスク(自分のだけどね)をつけます。これをバディ同士で練習して、慣れたところで次はフルフェイスマスクをつけた相手の交換をやってあげる練習になります。口に麻痺がある場合は、たぶん手も不自由なことが多いので、フルフェイスをつけたほうは自分ではなにもせず、交換はバディが全部やる、というシミュレーションです。
まずマスクを外す、といっても顔全体を締め付けるようにストラップがまわっているので、外すのもひと苦労。次にオクトパスをくわえさせますが、これは簡単。でも本番ならくわえる力が弱いはずなので、ホースが引っ張られないよう気をつけなければなりません。今度はマスクです。実はこれがいちばん難しかった。うまく顔に合わせないと、どんどん水が入ってきます。シリコンマスクなら鼻の位置を見ながら調節できるので、予備マスクは絶対にシリコンがいいですね。また、ストラップがからみやすいので、バンドカバーは本当に有効です。
ここまできたところでお昼になり、目の前のそば屋(もちろん沖縄そば)「浜屋」でごはんです。一杯400円(大)。大と小がありますが、大がふつうの量です。食べながら、午後に使う目の見えない人のためのサインを復習します。
午後は目の見えない人のアシストをシミュレーションします。バディはレンズをふさいだマスクをかけて、スタート。階段からエントリー場所まで先導し、腕につかまってもらってフロートまで水面移動。そして潜降開始。ここからは声もハンドシグナルも使えなくなります。手や腕を握ったり、手のひらを指で押すなどの組み合わせでサインを出していきます。
水底で中性浮力にして、移動開始。腕につかまってもらい、それを頼りに方向や水深を変えていきます。あたりを一周して、フロートに戻り、浮上の確認をして上がります。
浮上後、役割を交代します。見えないマスクに代えて再スタート。まずは潜降。水底に激突しないために姿勢を崩さないよう注意していると、フィンの先が底につきました。ここで水深を教えてもらい、移動開始。つかまっている腕の動きによって、方向や浮力の状態がけっこうわかるもんです。また、見えないと他の感覚が敏感になるってのは本当のようで、ふだんは気にしない水の流れを感じることができました(ウェットスーツは着てるのにね)。中性浮力もいつもとは違うようで、浮遊感に敏感になるようです。
短い時間でしたが、ぜんぜん違うダイビングの体験で、楽しい時間でした。
「見えないのにダイビングをして面白いんだろうか」と思っている人には、ぜひ一度体験してみるといいでしょう。ほんとに面白いです。
今日はここまで。器材を片づけて、田村さんの自宅で学科の続きをやります。IAHDのマニュアルに加えて、他の資料も交えて、さまざまな障害にどんな対応の方法が考えられるかを学びます。田村さんの体験もまじえて、役に立つ話がたくさん聞けました。