このコーナーでは、新宿コマ劇場で行われましたJACミュージカルでのお話しをしましょう。
主に『ゆかいな海賊大冒険』での千秋楽で起こった出来事や、裏話のお話しです。
千秋楽とは、舞台の最終日公演のことです。
舞台における千秋楽は一種独特な雰囲気があり、無礼講の舞台のため、色々なことが起こります。
メニュ〜〜!
辞書を引くと、
ならく【奈落】
1:地獄
2:物事のどん底。
3:劇場等の舞台と花道の床下。回り舞台・せりなどの仕掛けがある。
となっています。どん底=舞台の床下ですね。
コマ劇場でのJACミュージカル「スタントマン物語」の最後のさびの部分でJACの
面々が「1,2,3,GO!」の合図と共にあらゆるスタントを行い舞台の奈落に落ちていくシーンが印象的です。日本におけるスタントマンの地位は、役者としての最下部=どん底 => 舞台の床下
と言う意味からJACの面々がスタントマンとしてどん底の地位に身を投じている
と言う意味を込めて皆、舞台の奈落に落ちて行こうと決まったそうです。真田さんの人気で脚光を浴びてきた頃なのに、シュールですよね。
コマの第2回公演は「マジックショー」と「愉快な海賊大冒険」の2本立ての公演でした。
マジックショーはコマ劇場側からの希望で演じられたものでした。
舞台初日は、「愉快な海賊大冒険」を演じた後、「マジックショー」だったのですが、マジックの仕込み等が手間取り、開演までの中休みが1時間もあったそうです。急遽、2日目以降から、「マジックショー」 → 「愉快な海賊大冒険」の順番で演じられる事になったそうです。
私は、仕事の関係で初日を見る事が出来ず、2日目公演を見終わってからファンクラブに遊びに行ったところ、スタッフの方から、「今日の公演はどっちが最初だった?」と聞かれたので、理由を逆に聞いたところ、前記の様な内容だったという事です。
第一回目(82年)の「ゆかいな海賊大冒険」の千秋楽での話です。
千秋楽の日が丁度日曜日だったんですが、あいにく台風が関西〜関東方面を直撃!
飛行機や、新幹線が軒並みストップしてしまいました。
当日上京するつもりで楽しみにしていた多くの方々が、新幹線や飛行機に乗れず、新宿まで来ることが出来ず、涙を流されたそうです。
コマ劇場にも「交通手段が止まってしまい、そちらに行けず娘が泣いている。」等の連絡が入ったそうです。コマ劇場に来れなかった方々には申し訳ないですが、私は初めての千秋楽を堪能させて頂きました。m(_ _)m
逆に、関西から来た私の友人達は、土曜日から移動し観劇していました。
千秋楽の昼の部を見た後、帰路についたのですが、新幹線が動いておらず、新宿に戻ってきて夜の部を堪能して帰りました。
「泣く人有れば、笑う人有り。」
今とは違い、携帯電話も無い時代です。
「帰るね」と言って新宿を去った連中が、夜の部にひょっこり顔を出したので、驚いたの何のって...。夜の部が始まる頃には台風は去り、雨も止んでいました。
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「ゆかいな海賊大冒険」が始まってからの冒頭、嵐に巻き込まれ、島に待避した海賊達は、飲めや!歌え!踊れの狂宴です。
嵐が去った事を感じたダイダロス船長はみんなを集め、こういいます。
「どうやら嵐はおさまった!」
ここで会場はは受ける!受ける!会場内は大受けで拍手の嵐!
ただ、この台詞は、受けるためのアドリブのセリフではなく、ごく普通のセリフなんですけどね。
舞台の途中で海賊達がコマ劇場のロビーから客席を通り、舞台まで歩いてきます。
客席では、アドリブでお客さんに声をかけたり、しています。
私は一度、客席に出て来る時間を見計らってロビーに出てみました。
JACの方ではないですが、「清水イサム」さんと話したり、JACの方々とも少し話が出来たりして面白かったです。
あいにくの雨だったのですが、鈴木さんは、ビニール傘を持って行くようで、傘を片手に持っていたりしていました。
第一回目(82年)の「ゆかいな海賊大冒険」の千秋楽での話です。
牢屋に捕まった海賊達。
その奥には同じくとらわれの身となった「道化師のスカンポ」が寝ています。
通常の日では、海賊のNo.2である「ガニメデ」が他の海賊達を殴り、怒りを奮起させ牢屋の鉄格子を開かせます。
でも、今日は千秋楽です。
いつも殴られていた海賊達がアドリブを連発しながら「ガニメデ」を全員で殴り、怒った「ガニメデ」一人で鉄格子を開きます。
この時とばかりの海賊達の目はきらきらと光っています。
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後で聞いた話ですが、この時後ろで寝ていたスカンポ=千葉さんは思わず笑っちゃったそうです。
千葉さん曰く、
『みんなアドリブが凄いからから、思わず笑っちゃったよ。
笑い声が舞台に聞こえなかったかな?』
84年の新宿コマ劇場「愉快な海賊大冒険」Finalでの冒頭で志穂美さん扮するミランダと、
その従者たちで歌い踊るシーンがあります。千秋楽でのそのシーン。
坂本 朋恵さんはブリキでできた金魚のイヤリングを付けて舞台に立ちました。
この金魚、中に石か何か入っており、振ると"からから"音がするのでもう大変。志穂美さんが歌い、従者達と踊るシーンですので、必然的に耳に付けたイヤリングから
「からから」、「ころころ」と
坂本さんが踊ったり、走ったりする度に音が客席にも聞こえてきます。
最初から一緒に踊っている同じ従者達、後から合流した志穂美さんも金魚が気になって仕方がない様子です。
舞台に立っている出演者全員が笑いを必死にこらえて演技と踊りをを続けています。
舞台はすすみ、志穂美さんが従者たちみんなに声をかけます。
「ねぇ!みんな!」 一斉に振り向く従者たち。一斉に振り向いた時に例の金魚から「からん...」と音が最後に残ります。
何故か、目が合う志穂美さんと坂本さん。
志穂美さんもたまらなくなり、吹き出してしまい次の台詞が出てきません。
坂本さんも「まずい!」と思ったのか、必死に笑いをこらえています。
笑っちゃってる志穂美さんと、必死で笑いをこらえる坂本さんの対比がまた笑えます。本当に人騒がせな金魚のイヤリングです。
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.実はこの金魚は坂本さんに舞台が始まる前に差し入れを渡したときに私の友人が付けていた物で、
「面白そうだから、貸して!」
となり、舞台に登場してしまったのです。
この裏事情を知っている私とその友人だけが観客席でおなかを抱え、必死で笑いと涙をこらえながら
見ていたことは容易に想像できると思います。我々の周りで見ていた観客達は当然この事情はわかっていないと思いますが、観客席で我々だけ大笑い
していたのも不思議な光景だったでしょうね。
さすがに次のシーンから付けてこなくなっちゃいましたね。う〜ん!残念!。
やはり、志穂美さんに怒られたのかな?
千秋楽と言っても節度を守らないといけませんね。(笑)
「ゆかいな海賊大冒険」Finalでは、ダブルキャストで演じられておりました。ここで、長官の部下として登場するのが、「ナンダ」、「カンダ」、「フンダ」の3人組です。
舞台の最後の立ち回りシーンで部下の3人で『三身一体の術!』と「ナンダ」が叫び、三人が合体します。
この時、Aキャストでは流石に潮健児さんでは無理なため、春田さんが特別に合流します。
(Bキャストでは春田さんはレギュラーで出ています。)
しかし、Aキャストの千秋楽ではちょっと違ってました。
長官の後から部下の三人がいつもは出てくるのですが、この時は四人で登場です。
いつもの三人の後ろから春田さんまで出てくるんです。
客席も大受けで拍手喝采です。
ペンタゴング長官が名前を呼びます。
なんと呼ばれるのか、楽しみで春田さんが呼ばれるのをワクワクして待ちました。
「ナンダ」、「カンダ」、「フンダ」.....そして、
「ヘンダ!」
おいおい!安直すぎでないかい?
ただ、ネーミング的にはGOODです。
『三身一体の術』は「カンダ」、「フンダ」、「ヘンダ」の三人で行いました。
まあ、結局はあっさりと倒されたのは、いつもと変わりませんでしたけどね。(笑)
三身一体の術から一人残った潮さん演じる「ナンダ」。
追いつめられる「ナンダ」。
苦し紛れに変身しようとします。
「う〜〜〜!こうなったら、『宇宙刑事 シャリバン!!!』」と叫びます。
いつもの舞台では、「ギャバン!」と叫ぶのに、変だなと思っていました。
そうすると、いきなり舞台の右端からシャリバンのコンバットスーツを着用し、シャリバンのマスクを小脇に抱えた
渡 洋史さんが舞台の左端へ駆け抜けていきました。
渡さんと言えば、Bキャストのヨナタンを演じられていました。
流石の私も一瞬の事だったので、唖然としてしまいましたね。
ただ、楽日前日には一部のファンには「明日は、シャリバンの衣装を付けて、舞台に立つからね。」と
話していたそうです。
それを知っていれば、もっと楽しかったのに!(苦笑)