十王⑪-【正途河婆】

 十王像が居並ぶ檀ですが、その中に十王以外の人や物も檀の中に並んでいます。またその檀の下には、正途河婆(しょうずかば)という気味の悪いばあさんの像があります。この正途河婆は、三途の川で亡者の衣服を剥ぎ取る婆さんで、奪衣婆(だついば)ともいわれています。三途の川を渡りきったところにいて、死者の衣服をはぎ取り、木の枝(衣領樹)にかけその重さを計る婆である。この重さ(服を掛けた木のしなり)で、やってきた者の罪の重さを見極め、そこから先の行く先を決める役目を担っています。
 ここで豆知識、三途の川の意味を解説します。三途とは、三つの途のことをいい、生前の行いにより川の渡り方が三つに別れます。生前に悪い事をしなかった亡者は、三途の川に架けられた橋を渡る事ができます。少しだけ悪い事をした亡者は、ひざ下くらいまでの浅瀬を渡る事ができます。悪事を重ねてきた亡者は、三途の川の濁流の中を必死で泳いで渡らなければなりません。これが「三途」、つまり三つの渡り方なのです。つまり、渡りきったところにいる婆に会う時には、悪事を重ねてきた亡者は、ずぶぬれの服をまとっており、はぎ取られたずぶぬれの衣服は木のしなりも多く=罪人、という構図ができあがっているのです。

正途河婆

釣月寺和尚の一日一題 話題提供 【令和8年7月6日(月):第5465号】