ベトナム−ハノイ


 2012年12月11日から18日までの日程でハノイに行ってきた。
 成田からは往路は6時間半、復路は4時間半である。
 帰りは偏西風に乗ったのであろう、エアバス300の機材で時速1080キロを超えての飛行であった。

 ハノイでは、それなりに忙しくして過ごしたのだが、どうしても市場を見たくなって、泊まっている部屋から見える朝市に足を延ばしてみた。
 しかし、川岸に沿って露店が立ち並び、それも殆ど地面にものを並べているのだが、さすがに肉類は箱の上やテーブル状のものの上に並べられていた。

 商品としておかれているものは大きく分けて3種類である。
 まずは野菜である。
 これは種類が多い。パクチーなども大量にあってその場で買い求めようと思ったほどであるが、持ち帰ることはできない。
 野菜は葉物、根菜類が主なものなのだが、果物なども豊富にあり日本では目が出るくらい高いものでもこの市場ではごく安い価格で売っていた。
 野菜は売れ行きがよく、午前中に店を閉めるところが多い。
 店を閉めるといっても、残った野菜を自転車や荷車に積んで、そのまま立ち去るだけである。

 次に魚である。
 川魚が圧倒的に多い。
 鯉とウナギは結構売っている店が多いのだが、ウナギは生きたまま洗面器のような物に入れられくねくねと動いている。
 また鯉は大きな金盥のようなものに入れられ生きたまま売っている処もあれば、ぶつ切りにしたものを台の上に並べて売っている処もある。
  その他、名前も知らない魚がたくさん売られていたが、その中にはタニシのような貝類を売っている店もあったり、蛙などを網袋に入れて売っているところもあった。
 蛙は黒茶で、日本の食用ガエルであるウシガエルと比べるとその半分くらいの大きさである。
 それなりに人気があるようで、見ている最中にバイクで来たおばさんがしっかり買って帰るのを目撃してしまった。

 そして最後は肉である。
 ここで売っている肉は2種類である。
 豚肉と鶏肉である。
 豚肉はそれなりに大きな塊を持ってきてい売っているのだが、日本みたいにコマ切れやソテー用の肉、あるいは、カレー用の肉といった区分けがない。
 地元のお母さんたちが来て、欲しい部分と大きさをいうとそれに合わせてかたまり肉を切り分け、あとはビニール袋に入れてそれで終わりである。。
 そういえば、街中のレストランで食事を摂っているときに驚いたのは、豚の半身をオートバイの後部座席に載せて運んでいるのを見たことであった。
 結構暑い日で、気温は25度は超えていた。
 冷房が効いたレストランの2階から見たその光景は日本ではちょっと考えられない光景であった。

 鶏肉はその多くが生きたまま売られていて、客が注文すれば、その場で絞めて、羽などをむしり取るまでのサービスをしていた。
 ニワトリ、アヒル、名前がわからない鳥などが何種類もいて、鶏肉屋さんは必ず生きたままぎっしりと詰め込まれた鳥かごの上に1羽だけ片足を縛ったニワトリを載せて、これに鳥肉屋の看板のような役割をさせていた。
 一方、すでに鶏肉にしたものを売っている店もあったのだが、こちらの方は客の希望を聞いて、内臓をきれいに取り除いたり、あるいは肉の大きさをそろえるなどのサービスを提供していた。
 それにしても、狭い市場の道を原付バイクに乗ったお母さん方が食材を求めて走り回る光景は実に活気にあふれ、どんな料理が作られていくのだろうと興味津々であったが、今回は残念ながら一般家庭に入ることはできず、結局は、あらかじめ用意された食事や、レストランでの食事が中心となってしまった。

 ところで、買い物は日本ではスーパーマーケットが当たり前になっている。
 ベトナムにもスーパーマーケットはいくつもある。
 我々が泊まっている場所から歩いて10分程度のところにかなり大きなスーパーがあった。
 しかし、たぶんここでは新鮮な野菜や肉の食材の数・量ともに少なく、また値段も高いようだ。
 スーパーでは主に小分けしてパッケージにされた食材や、スナック類、缶詰、乾麺、「味の素」を中心とした各種調味料、ニョクマムなどの魚醤などが売られいて、併せて生活用品なども取り扱われていた。
 もちろん日本人である自分にとってのスーパーの利用法は酒とおつまみである。
 ビールは特価で500mlのものが2本で160円、40度のベトナム焼酎700mlが400円である。しかし残念ながら当初予定していたベトナムビールの「333(バーバーバー)」は最後まで手に入れることはできなかった。
 そのため、日々このスーパーで大量のビールを買い求め、日本から大量に持ち込んが「カワキモノ」を頬張りつつ深夜に至っていたのである。
 さて、食事であるが、右下の写真の「フォー」に凝ってしまった。
 米を主原料として作った麺にスープをかけただけのものなのだが、屋台や店にはフォー専用の食材がいくつも並べてあって、自分が好きなものを指さして入れてもらうのである。肉団子あり、分葱のみじん切りあり、蒸し豚肉的なものあり、半熟の卵ありで、はっきり言えば何でも「あり」なのである。
 それらをトッピングしたうえで、そこに熱々のスープを注いでもらい、好みで荒微塵の唐辛子やニンニクの微塵切りを入れ、更にこれも好みでニョクマムを入れる。これが本当に美味い。
 ただ、ここで問題になるのは唐辛子である。
 辛いのである。単に辛いのではなく激辛なのである。日本人はこの辛さには慣れていない。が、美味いもんだからそれなりに大量に入れてしまウ。
 写真のフォーではわずか4切れぐらい唐辛子が入っているのだが、これだけで充分にスープに辛みが移る。もちろん唐辛子も麺に絡めて食べるのだが、これは体が温まる。血行が良くなるのだ。
 食べ始めは、まずスープからと思ってスプーンですくって飲む。  場合によっては咽かえることがある。それだけ唐辛子が辛いのだ。
 もちろんスープもやや酸味があってこれの味も病み付きになる。
 毎日毎日朝食はこの激辛のフォーを食べた。
 もし、その場に用意があれば「パクチー(生コリアンダーの葉)」を山盛りにして食べたわけだが、やっぱりこれが一番美味い食べ方のようだ。


追記

 ハノイはベトナム北部の都市である。街は比較的大きく、ビルの建設ラッシュで、ホー・チミン廟の前では国会議事堂を建設中であった。
 ただ、これはハノイだけなのかもしれないのだが、比較的蚊が多く、網戸などなかったものだから数か所刺されてしまった。
 部屋にエアコンがついていたのであまりドアや窓を開けることは少なかったが、それでも蚊に刺された。
 また、夜中に、ちょうど深夜零時頃に歩道をうろついていたら、昼間簡単な屋台の食べ物屋が出ていたあたりに20匹を超える大型のネズミが徘徊しており、近づくと逃げて行くものの、人が立ち去ってしばらくするとまたちょろちょろと出てきていた。
 さらに、ムカデなども平気で深夜の歩道にいるので、夜歩く場合には注意が必要だ。
 街灯は立派なものが建っているが、その多くが明かりがつかず、深夜はスマホの懐中電灯機能がとても役に立った。