筑波実験植物園

 我が家でもっとも利用しているハーブ園が「筑波実験植物園」である。



 正式名称は「国立科学博物館筑波研究資料センター筑波実験植物園」という非常に堅い名前がついているハーブ園である。

 敷地面積は14万平方メートルで、その中に大きな温室が3つ、これは、熱帯資源植物温室、サバンナ温室、それに熱帯雨林温室があり、これらの温室を取り囲むようにして、各種の植物別に区画が整理されており、整備された道が園内を縦横に走りちょっと休憩ができるあずまやや、水のみ場、洗面場所などもそれぞれ何ヶ所かあり、どの季節に行ってもしっかりと1日かけて見てしまう植物園である。

熱帯資源温室(右側)とサバンナ温室  左の写真が温室の一部なのだが、この温室に後ろに羊歯やランなどを中心に展示している熱帯雨林温室がある。また、この温室の道を挟んだ右手には「研修展示室」があり、植物に関する基本的な知識を普及するためのパネルによる展示、模型や各種化石などがあり、音声による説明も詳しくわかりやすいものとなっている。

 実際に我が家が御世話になるのは、この研修資料館の3階部分である。年間を通して同植物園の教育普及活動の中心となっているわけだが、植物園案内、植物観察会などを月2回以上開催しており、加えて自然実験講座や植物園セミナーなども1ヶ月に1度の割合で実施されているのである。

ハーブ園、真冬のためまだ観察できるものは少ない  右の写真が、温室周りに作られているハーブ園である。
 昨年(1999年)10月17日に行われた植物園セミナー「ハーブのはなし」は、園長の小西先生によるスライドと資料に基づくハーブについての説明のあと、野外実習で、100種類を超えるハーブの説明等あり、2時間と限定された時間では勿体無いくらい充実した内容であった。

 また、このハーブのセミナーの2週間ほど前から、研究管理棟では、ハーブによる染色やハーブクラフト、食としてのハーブ等の展示会、講習会なども実施されていて、いずれも希望すれば無料で講習会やセミナーに参加できるのである。  
 また、うれしいことに、講座や講習会は土日に開かれるので、小学生からサラリーマンまで、いろいろな人が参加することができるのである。

 現在はラン展を行っているのだが、今日2月12日は「セツブンソウ」の植物園案内、明日13日は植物園セミナで「ランはどこから来たのか」となっている。


 [資 料]
 場所:茨城県つくば市天久保4丁目1−1  電話:0298-51-5159
 URL:http://www.tbg.kahaku.go.jp/
 開園時間:9時〜16時30分
 休園日:毎週月曜日(ただし祝日・休日は開園)、
     祝日・休日の翌日(ただし、土曜・日曜は開園)
 入園料:一般・大学生 310円 65歳以上の方及び18歳未満の方は無料
 行き方:東京駅八重洲南口から常盤高速バス「筑波センター」行き終点で下車→
     関東鉄道「つくばテクノパーク大穂」行き「筑波実験植物園前」下車
     (車の場合は、常磐自動車道「桜土浦IC」から北へ約8Km)




秋の筑波実験植物園

 9月30日一日を使って、筑波実験植物園に行ってみた。

9月30日、筑波実験植物園、午前10時30分撮影、午前10時30分撮影。右の並木がメタセコイア、左の黄葉がマロニエととちの木  管理棟である入り口から入ると、右側にメタセコイアの並木が立ち並び、各種温室や、その先にある広大な植物群へのプロムナードとなっている。今回は、ハーブ園も少し見たのだが、秋色を楽しむべく屋外実験植物園のほうを歩くこととした。もちろん、見学の中心は「山地草原区画」部分である。

9月30日、筑波実験植物園  中央にある池の部分が湿地植物区画あるいは水辺植物区画となっており、春は水芭蕉なども見られるのであるが、この季節のメインはどうしても彼岸花ということとなる。彼岸花といえばどうしても「紅」ということだが、ここには「白花マンジュシャゲ」もある。ただ、「紅花」よりも花期が早いため、9月末では既に花を落としている。今回は紅花を撮影することができた。

 しかし、秋といえばやはり萩やススキやオミナエシである。
 ぐるりと回り込んで、高地性の山地草原区域にはいると、萩は殆ど終わっている。ススキは今を盛りに天まで伸び、秋風にまだ開かぬ穂を気持ちよさそう任せている。
 しばらく歩くとオミナエシが咲いている一角に出るのだが、ここに白花のオミナエシがあるのである。オミナエシは黄色が当たり前だと思っていたが、白花なのである。
9月30日、筑波実験植物園にて撮影
 白花オミナエシのそばに行って観察用の標識を見ると「オトコエシ」となっている。
 左の写真の左側は普通のオミナエシであるが、右側が白花オミナエシである。
 考えてみればオミナエシは「女郎花」と書くのだが、オトコエシは「男郎花」とでも書くのであろうか。

 考えてみればいずれの花も万葉の植物といわれているものである。彼岸花は現在はリコリスと言う名で園芸種も増えてきている。このはなは多くの名前を持っていいるのだが、その代表的なものが「曼珠沙花」である。万葉時代の呼び名は「いちし(壱師、石蒜)」である。

 路の辺の壱師の花の灼然く人皆知りぬ我が恋妻は

 一方オミナエシはそのままの名なのであるが「おみな」が女性をあらわす言葉らしい。

 をみなえし咲きたる野辺を行きめぐり君を思い出徘徊りきぬ


国立科学博物館 筑波実験植物園 2014年4月25日追記


 植物園の名前は実に厳めしい。
 しかし、ここは誰でもが気軽に入ることができるつくば市にある植物園なのである。
 数年ぶりに訪れてみると、いくつか実験用の建物が増えた様子が伺えたが、植物の展示に関しては大きな変化はなく、そういう意味では安心して見学できる植物園であった。
 今回訪れた日は4月15日(火)は天気も良く、広い園内を散策するにはまさにうってつけの天候であった。

 

 入り口と、植物園内のあちこちにこのような案内版が設置されていて、植物園全体の植物配置と現在地が記されている。
 非常にわかりやすく、利用者の動線を考えての案内板の設置に感心してしまった。

 この植物園の入園料は、一般は310円、ただし、65歳以上と18歳未満は無料である。
 また、団体(20名以上)だと、一人210円となる。
 思わず入場券の自動販売機でチケットを買おうと思ったが、券売機の横に張り紙があって「リピーターズパスを1,030円で購入するとその日から丸々1年間無料で入れる。」旨の掲示があった。

 そこで、入り口で係員の方に確認すると、すぐにでも対応でき、今日から会員になれるという。
 さっそく1,030円を払い込んで「リピーターズパス」を作っていただき、パンフレットと説明書をもらって園内に入った。

 説明書を読むと、翌年の応当日まで何回利用しても無料ということ、特典として、
@上野の国立科学博物館常設展入場無料
A東京白金台の自然教育園の入園無料
が付いており、そのほかにもショップやレストランなどの割引も受けられるという。

 筑波実験植物園には、少なくても今年は4回はいく、いや、もっと行くだろうな、無料であれば。
 上野や白金台方面には年に数回は行く予定がある、その時に無料で利用できるというのは素晴らしい。
 そして、来年3月で65歳だ、今度は何の制約もなく無料で入園できる。
 リピーターズパスを申込んでよかった。

 

 園内を1時間以上かけて一周して来ると再び右の温室が見えてくる。
 サバンナ温室と熱帯資源植物温室だ。


 この二つの温室と、その後ろにある熱帯雨林温室が、筑波実験植物園のメインの温室と言ってよく、いずれも全面ガラス張りの温室で温度と湿度を管理している。
 植わっている植物の手入れもよくされており、また、見学者が見やすいように動線も作られている。

 そしてもう一つ、これら温室群の右側に「水生植物温室」がある。
 ここには水生植物群の展示とともに、ヒスイカズラ(写真左)があって、今回も花の咲き誇っている時期に来ることができた。

 小一時間歩き回って、大体全体の植物群の配置の感触をつかんで、帰ろうと思って出口の方に歩き始めた。
 ところが、中央通路のところの芝生で無数の展示が行われていることに気が付いた。

 この特別展示はすべてハーブの展示であったが、大きく分けて3種類のハーブを展示していた。
 展示内容は、タイム、ミント、ローズマリーである。

 よくぞここまで、というくらい多くの種類のそれぞれの展示であった。
 結局、全部を回ってみて、すべて展示されているハーブを写真に収めてきた。
 写真総数は一気に200枚を超えてしまった。

 今回はその中からタイムを紹介したいと思う。
 ただ、全部は紹介出来ないので、主だったものを紹介しようと思う。

レモンタイム


ゴールデンタイム


フレンチタイム


クリーピングタイム


シルバータイム


ラヴェンダータイム


カムファータイム


ベルガモットタイム


オレンジバルサムタイム



 ゴールデンとシルバーを除けば、殆どどのタイムなのか見分けがつかない。
 実際には、一般的なコモンタイムや日本のタイムと言われているイブキジャコウソウなどとも見分けがつかない。  結局、見分けるには香りで確認するしかないのだが、調香師でもなければなかなか同種のハーブのわずかな香りでの見分けは難しいのではないかと思う。
 しかし、この時点では香りの確認はしていないので、早い時期に再度、筑波実験植物園を訪れて、このタイムとミントの一つ一つの香りを確認してみたいと思う。