高齢者の病気と食事
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老化に伴う

  1. 虚血性疾患の食事療法の基本方針
  2. 食品選択にあたつての留意点
  3. 調理にあたつての留意点







  4. 1)★食事療法の基本方針<



    ●危険因子の除去には食事療法が必要です

    虚血性心疾患とは,狭心症と心筋梗塞のこ とで,その成因は冠状動脈硬化です.虚血性 心疾患の予防や増悪防止には,いわゆる危険 因子の除去が必要となります.危険因子には 高血圧,高脂血症,肥満,糖尿病,痛風,喫 煙,運動不足,ストレス,性格などが考えら れます.このうち,高血圧から痛風まではす べて食事療法が必要です.  治療としては,発作時には絶食とし,臨床 症状が落ち着けば,1〜2日目より流動食, 軟食,常食へともっていきます.この場合, 心臓に負担をかけないよう,食事療法の基本 は低エネルギー食,低ナトリウム食とします.

    ●低エネルギー食  

    まず肥満のある人では, 減食によって体重減少を図らなければなりま せん.肥満は心臓に余分な負担をかけ,心臓 部への脂肪沈着をきたします.また過食は, 腹部膨満のため横隔膜を押し上げ,呼吸困難 を起こしやすいものです.  肥満が除去されたあと,あるいはやせの強 い人では,食欲不振のためむしろ低栄養とな りやすくなります.したがって,たんばく質 は十分に,しかも良質のものをとらなければ なりません.

    ●低ナトリウム食

    食塩は6〜8g くらい としますが,むくみのある人はさらに食塩制 限をします.しかし,厳しい食塩制限は一般 的に味がまずくなり,なかなか食欲が起こり ませんから,食品選択や調理をするうえでい ろいろな工夫が必要です.食塩をまったく使 用しない調理でも,日本食の場合,1日に1〜2 gの食塩が含まれてしまいますから,実際は 食品に添加してある塩分の合計プラス1〜2g がからだに入る塩分量になるということを覚 えておきましょう.




    2)★食品選択にあたつての留意点。



    ●主食となる食品

    ここで注意しなければならないのは,加工食品の塩分です.パンは 8枚切り100gには1.3g,即席ラーメン100g 中には4〜6g,即席うどんにも3〜6g,即席ス パゲティ3〜4gの塩分が含まれています.心臓病などの病気をもった場合にはとても食べ られない食品が多くあります.また惣菜コー ナーで売られているパック詰のすしやおにぎ り,焼きそばなどにも相当量の塩分が含まれ ているため注意しなければなりません.した がって,米が一番よいと思われますが,米ば かりでは毎日が単調になり,食事の楽しさを 味わうことができませんので,かぎられた塩 分のなかで,うどん,パンなどを少しずつ取 り入れてもよいと思われます.

    ●主莱となる食品  

    良質のたんばく質源で ある魚,肉,卵,大豆とその製品,牛乳を, 部位や種類を選びながら取り入れていくこと が望ましいでしょう.最近,脂肪酸のエイコ サペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸が血液 凝集能を抑制する働きをもつといわれていま す.これは,さんま,さば,いわし,あじな どに多く含まれていますから取り入れましょ う.  肉は飽和脂肪酸が多いので,油の少ない部 位や鶏肉などをとるとよいでしょう.  大豆は,不飽和脂肪酸を含むため積極的に 取り入れていきたい食品です.豆腐,納豆, 凍り豆腐,湯葉など,1日に1回は料理に取 り入れましょう.  卵はコレステロールが多い食品の代表的な ものです.コレステロール値が非常に高い場 合は卵白のみとし,卵黄はとらないようにし ます.しかし,コレステロールはからだのな かでもできるので,食品に含まれるコレステ ロールばかりに注意を向けず,からだ全体か らみるようにすることが大切です.コレステ ロールを含む食品は,他の大切な栄養素も含 んでいることに注意すべきです.

    ●副菜となる食品  

    ビタミン,ミラネルを豊富に含んでいる野菜,きのこ,海藻,果物 を取り入れていきます.しかし,あまり消化 の悪い食品は,初期の段階ではとらないよう にし,病状が落ち着いた状態になったらとる ようにしたほうがよいでしょう.

    ●間食  

    エネルギーが多くなりやすい菓子, ジュース類などは避け,果物と牛乳にかえた ほうがバランス的によいでしょう.






    3)★調理にあたつての留意点<



    ● 入院して1〜2日は絶食し輸液で対処しま す.その後,数日で流動食,軟食,常食へと 食事段階を上げていきます.



    ●流動食  

    主食が流動食のときは,副食も それに合わせ,ヨーグルトや,かぽちゃの裏 ごし,ミルクセーキなど,流動性で栄養のあ るものを選んで調理します.

    ●軟食

    主食が三分がゆ,五分がゆ,七分がゆ,全がゆとだんだん上がっていきますが, それぞれに合った副食を選び,調理形態もミ キサー状,とろみ状,刻み状,正常な形態へ ともっていきます.

    ●常食

    おもに,少ない塩分量でおいしく 食べる工夫が大切になってきます.これは一 般的に高血圧症食や動脈硬化症食などの食事 の留意点と同じです.違うところは,脂質量 を総エネルギーの20%前後に保つことです. したがって,あまり油っこい料理は控えたほ うがよいでしょう.調理に使う油も質を考え て,不飽和脂肪酸の多い大豆油,とうもろこ し油,綿実油などにします.バター,ヘッド, ラードなどは飽和脂肪酸が多く,動脈硬化を 促進しますから注意してください.




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