高齢期の病気と食事
Welcome
Welcome
老化に伴う

  1. 糖尿病の食事療法の基本方針
  2. 食品選択,調理にあたつての留意点







  3. 1)★糖尿病の食事療法の基本方針<



    ●毎日の生活に必要なエネルギー量を超えない食事量にします

    糖尿病の治療の第一歩はインスリンを節約することから始まります. このインスリンを節約するためには, 各人の毎日の生活に必要なエネルギーを超えないような食事量にすることが大切となります.こうした意味から,糖尿病の食事療法は,栄養のバランスをとり,本人にとっての適正な食事量をとることがポイントとなります.

    ●『糖尿病食事療法のための食品交換表』を用います  

    適正な食事量をバランスよくとるためには,どの食品にどれだけのエネルギーがあるか,どのような栄養素が含まれているかを知っておく必要があります.そのために各食品をわかりやすく分類した『糖尿病食事療法のための食品交換表』があります.この交換表は,食品を栄養素別に6つのグルーブに分類して,各食品の80kcalに相当する食品量が示されており,この食品量を1単位と呼んでいます(1,200kcalの場合は15単位の食品量をとれることになります)。医師から指示されたエネルギー量をこの交換表を使ってバランスよくとります.高齢者では1,200〜1,500kcalの指示エネルギーが多いのですが,通常交換表の(主食)の摂取量を増やすことによりエネルギーを増やします



    ●本人の食習慣を大切にしながら食事制限をします

    高齢者は今までの食生活への自信も強く,長いこと培われた嗜好もあります.したがって,無理に全体を変えるより,食事のポイントとして総摂取エネルギーが指示工ネルギーを大きく超えないようにしたうえで,野菜やカルシウムが不足しないよう,糖質や脂肪に偏らないよう,また薄味の工夫をするなどの注意をして,本人の食習慣は大切にしてあげたいものです.また,高血圧や高脂血症,腎症などの合併症が多くみられますから,合併症の有無でも食事内容を変える必要があります.合併症のある場合には,医師,栄養士に相談しましょう.




    2)★食品選択,調理にあたつての留意点。



    ● 糖尿病の食事療法は一生続けていくもので す.エネルギーの少ない食品を多くして,見 栄えをよくし,満足感を得られるように工夫 しましょう.



    ●表1・・・主食,いも,豆類  

    高齢者の好きないも類,豆頼も表1に入りますので注意 します.主食を雑炊や野菜たっぶりの煮こみ うどん,混ぜごはんなどにして量を増やし, いもや豆頼もじょうずに使ってみます.

    ●表2・・・果物  

    1日量の果物は季節のものをじょうずに使います.お菓子が好きな人 にはお菓子がわりに利用します.ジュースや 缶詰,レーズンなどの乾燥品は避けます.

    ●表3・・・魚・肉類,卵,チーズ,大豆製品  

    ぶり,さんまなどの脂肪分の多い魚ではエ ネルギーが高くなります.同じエネルギーな らあじ1匹やたら1切れのほうが見栄えしま す.新鮮な魚介類を選び,塩蔵品は少なめに します. 咀しゃく力や嗜好面から肉を好まなくなり がちですが,バランス面からは1日1回くら いは表3に分類される肉類を入れましょう. 脂肪分の多い肉類は少量にして,挽肉は赤身 や鶏ささ身を挽いてもらいます.挽肉団子の スープ煮や,ロールキャベツはボリュームも 出ます.卵は血中コレステロールが高い人は 医師と相談して量を控えます.  豆腐は木綿1/3丁が絹1/2丁に相当します. 油揚げやがんもどきはエネルギーが高くなり ますから量に注意します.表3の食品は,主 莱になりますから,食卓が貧弱にならないよ うに各食品の1単位量をしっかりつかみます.

    ●表4・・・牛乳,ヨーグルト  

    骨粗鬆症の予防のために,カルシウム源としての牛乳は ぜひとりたい食品です.飲むと気持が悪く なったり,下痢をしてしまうなど,牛乳が不 得手な場合は,ヨーグルトに交換したり,牛 乳を料理に使ったりしてとります.

    ●表5・・・油脂類  

    油は少量でもエネルギーの高い 食品です.植物性の油脂を中心に,正確に計っ て使います.揚げ物は衣をつけた調理より素 揚げ,空揚げのほうが油の吸収をおさえられ ます.油の吸収量は,てんぶらやフライは材 料の20%,かき揚げ30%,空揚げ10%です. すなわち,100gの魚のてんぶらでは20gの油 を吸収することになります.  肉類は網焼きやしゃぶしゃぶ,魚類は包み 焼きなどに工夫して油を控えます.ピーナッ ツやくるみ,ごまなどの種実も油脂類に入り, エネルギーが高いものですから控えめにとりましょう.

    ●表6・・・野菜類  

    表6・・・野菜類 300gで1単位と,各表のなかでもっともたっぶり食べられる食品で す.糖尿病では腸の働きが不活発となり,便 秘を訴えることが多くみられますので,繊維 を多く含むノンエネルギーのきのこ類や海藻 類と組み合わせて,毎食たっぶりとり,満足 感を出します.交換表では,糖質のやや多い 野菜と少ない野菜を,有色野菜と淡色野菜と に分けて掲示しています.種類を多くし,偏 らないようにしましょう.漬物など塩分の多 い野菜は少量にします.

    ●調味料  

    みそは1日12g(小さじ2杯 程度),砂糖は1日6g(小さじ2杯程度)に おさえます.みりんやはちみつも砂糖の一種 と考えて使いましょう.煮物やみそ汁は,だ しを濃くとって素材の味を生かすことにより, 調味料の量を控えます.

    ●アルコール飲料

    よく日本酒は悪く,ウイスキーはよいなどといわれますが,これは 誤りです.1単位量をよく覚え,医師と相談 してとりましょう。




    高齢期の病気と食事。へ戻る。