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Aー10神経の刺激により、
高血圧にも低血圧にもなる。
条件付け理論の歴史のなかで、とりわけ強く印象に残るのは、アメリカの心埋学者のミラ
ー博士の行ったネズミを使っての実験です。
ミラーは、ネズミの脳のなかの快感を感ずる
A−1○神経の部分に電極を埋め込み、尻尾に血圧計を取り付けました。
そうして、ネズ
ミの血圧が上昇したときには、そのネズミの快中枢であるA−1○神経に電気刺激を与え
脳内麻薬を分泌させ、血圧が下降したときには刺激を与えないようにしました。
そうした
ところ、そのネズミの血圧はつねに上昇ぎみとなり、高血圧のネズミとなりました。
さら
にミラー博士は、その逆の実験も行いました。
ネズミの血圧の下降時には快中枢のA−1
○神経部に電気刺激を与え、上昇時には何もしないで放置したのです。
するとこのネズミ
の血圧は下降したままとなり、低血圧のネズミとなりました。
ミラー博士のこの実験は、
自律神経機能がコントロールできてしまったということを示しています。
血圧というもの
は、自律神経によって調節されているので、意識的にコントロールすることはできないと
いうのが、それまでの常識でした。
しかし、A−1○神経を刺激して快感による誘導を行
えば、そのネズミは無意識のうちに血圧をコントロールしてしまったのです。
これは大変
重要な発見でした。ミラー博士が、この実験結果を報告すると、ネズミにできることなら
、当然人間にもできるはずだろうということで、アメリカの多くの学者がこれを人間に応
用してみました。
そのうちの一つが、自律訓繰法を取り入れた高所恐怖症の治療だったの
です。
このほか、シャピロ博士は、人間の血圧のセルフコントロールに成功しています。
シャピロ博士は一○人の男子学生に実験をお願いして、次の三つのスライドを用意しまし
た。
スイスの美しい景色
女性のヌード
サラリーにボーナスを加える
この三つのものは、ピーター少年における飴玉、ネズミにおけるA−10神経の刺激など
、要するに脳内麻薬による報酬(快感)と考えてよいでしょう。
そうして、一○人の男子
学生には自分の血圧が分かるようにし、血圧が上昇すればこれらのスライドを見せ、上昇
しなければ見せないというようにしました。
結果が、どうなったかは、もうお分かりでし
ょう。
一○人の男子学生は、みるみる高血圧になりました。
その後に、血圧が下降すれば
スライドを見せるというように、逆にしたところ、これもネズミのときと同じように、一
○人の男子学生は、見事に低血圧ぎみになりました。
それまでは、自律神経系に属するた
めに、コントロールすることはできないと思われていた血圧も、そのように快感という脳
内麻薬を利用すればコントロールできるということが証明されたわけです。
これもまた、
たいへん画期的な発見でした。
そうなれば、あとはもうこの発見を押し進めるだけです。
呼吸、胃腸のコントロール、花粉症をも含めたアレルギー反応、喘息の発作など、それま
では不可能と思われていたことが、次々とコントロールされていきました。
脳内麻薬をコ
ントロールできる自律訓練法やバイオ・フィードバック法を効果的に便用することにより
、臨床的に目ざましい治療成績をあげていったのです。
ところで、自律訓練法とかバイオ
・フィードバック法というと、なんだかむずかしそうですが、これはずっと昔から、ヒト
が動物に芸を教え込むときに使っていた手法でもあります。
ボリショイ・サーカスの熊の
芸などを見ると、熊が一つの芸をやりおえると、必ず角砂糖のようなご褒美をあげていま
す。
イルカやオットセイなどの芸もそうです。
何かを上手に演じるたびに、小魚や魚の切
り身をあげています。
ヒトの祖先が、イヌを家畜にしはじめたときも、馬に乗りはじめた
ときも、牛に車や鋤をひかせようとしたときも、きっとそのようなことをしたに違いあり
ません。
それらは、ヒトが意図することをしてくれた動物への快感をもたらす脳内麻薬の
ご褒美です。
そうして、家畜へと飼いならし、さまざまな芸を教え込んでいったわけです
。
それは、ミラー博士がネズミの脳内に電極を入れ、Aー10神経を直接刺激した場合に
比べれば、パワーはかなり劣ります。
しかし、動物の食欲系を刺激することによって、間
接的に脳内モルヒネ系を分泌させるということであっても、根気よく繰り返せば、両じ結
果が得られるのです。