身体に効く栄養成分・食材・調理方法
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おふくろの味の「コクサイ食」に戻ろう。







〃コクサイ食〃(穀物と野菜中心の食事)だと、必ず痩せられるかというと、そうとはい いきれません。

穀物のなかにはデンプンがたくさん含まれているので、これを大量にとれ ば、デンプンも中性脂肪に変わり、太ることになります。

しかし、同じ二○○○キロカロ リーをとるにしても、植物性のものでとったほうが、はるかに満腹感があるのです。

なぜ ならば、植物性のものには、繊維素が非常に多く含まれていて、その繊維素が満腹感に大 きく関係しているからです。

繊維素が、第六の栄養素として注目されだしたのは、そのよ うな理由もあるからです。

栄養素というと、まず最初は三大栄養素ということで、炭水化 物、脂肪、タンパクが注目されました。

その後に、ビタミン、ミネラルも大切だというこ とで、五大栄養素ということがいわれ、さらに繊維素が加わって、六大栄養素となったわ けです。ファイバー○○とか、XXファイバーというような飲み物がブームになっていま すが、そのファイバーとは要するに繊維素のことです。

食物繊維は、消化・吸収されない ので、エネルギー源にはなりません。

だけれども、お腹のなかに入ると、水分を吸収して 膨張するので、非常に食べた気がします。

そのうえ、便を軟らかにして、お通じをよくし ます。

消化・吸収されずそのまま排泄されるので、そのようなことになるわけです。

そう したことだけでも、ダイエットには非常に適しているということで、ダイエットのノウハ ウ本などにも盛んに取り上げられました。

みなさんも、どこかで読まれたことがあるでし ょう。




その繊維素を多く含む食べ物にはどのようなものがあるかというと、おふくろの味 を探せばよいのです。

きんぴらゴボウ、煮豆、筑前煮、ヒジキの五目煮、切り干し大根の 煮物などには、植物繊維がとても豊富に含まれています。

単品でいうと、トウモロコシ、 ブロッコリ、キャベツ、モミガラ、オートミール、リンゴなどに、多く含まれています。

おふくろの味の〃コクサイ食〃がよいのは、それだけではありません。

肉類あるいは直接 に脂肪をとると、脂肪酸というものが摂食中枢に入っていって、食欲系が目を覚ましてし まうのです。

そのようにして目を覚ましてしまった食欲系を、無理に黙らせるようなこと をしますと、これはそうとうなストレスになります。

そうすると、そのストレスによって 、また太ることになります。




そのほかにも、最近分かったことですが、タンパク質が大切 だということで、あまりにもタンパク質をとりすぎると、骨粗鬆症になりやすくなります 。

これはなんだか逆のようで、にわかには信じがたいことですが、本当です。

それは、イ ヌイット(かつてエスキモーとも呼ばれていましたが、それは「生肉を食べる人」を意味 する言葉なので、ここでは彼ら自身が自分たちのことを呼ぶときに使うイヌイットという 言葉を使います。

イヌイットとは「人間」という意味です)を調査することによって判明 しました。

よく知られているように、イヌイットはかなり寒いところに住んでいるので、 脂肪もタンパク質もかなりとります。

私たちが一日に必要とするタンパク質の量というの は、体重六○キロの人で、だいたい六○グラムほどです。

ところがイヌイットの人たちは 、五倍近い二五○〜三○○グラムものタンパク質をとっています。

それに、カルシウムの ほうも、一日に三○○○ミリグラムもとっています。

普通は、六○○ミリグラムほどなの で、こちらのほうも五倍ほど多くとっているわけです。

それにもかかわらず、老人には骨 粗鬆症が多いのです。

これはどういうことでしょうか?

答えを見る前に、もうひとつ補助 線を引いておきましょう。

アフリカのバレツ族の人たちは、平均すれば一日にタンパク質 を四七グラムしかとっていません。

その土地には、アルマジロや蟻のほかには、タンパク 質源がほとんどないからです。

カルシウムはどうかというと、こちらも四○○ミリグラム ほどしかとっていません。

しかしながら、この一族には骨粗鬆症はほとんど見られません 。

つまり、タンパク質とカルシウムのバランスによって、骨粗鬆症は起きるのです。

タン パク質をゴソッと摂取した人は、かなりのカルシウムをとらないかぎり、骨粗鬆症になる 危険性があるということです。





体重六○キロの普通の人

タンパク質摂取量・・・60g

カルシウム摂取量・・・600mg




イヌイット

タンパク質摂取量・・・300g

カルシウム摂取量・・・3000mg




バレツ族

タンパク質摂取量・・・47g

カルシウム摂取量・・・400mg




そのメカニズムは、次のように考えられます。

タンパク質や脂肪などの動物性のものが入 ってくると、からだは酸性に傾きます。

そうすると、酸性のままでは困るので、アルカリ 性のものを出して中和しようとします。

最初のうちは、体内にあるさまざまなアルカリ性 のもので対処するわけですが、その物質もやがては使い果たしてしまいます。

そうすると、 仕方がないので骨からカルシウムを引っ張ってきてしまう。

と、カルシウム分が抜かれた 骨は柔らかくなり、ちょっとした衝撃にも耐えられなくなり、骨粗鬆症となるわけです。




昔は高タンパクを目標として、動物性タンパクなども、ずいぶんいいようにいわれたので すが、タンパクをとりすぎると、そのような弊害もあるのです。

タンパク質についての結 論としては、タンパク質は大切だからと、肉などでどんどんとらなくても、必要なタンパ ク質は「おふくろの味」のなかにあり、それくらいの量でちょうどいいということです。

もちろん、たまには動物性タンパクをとってもかまいません。

肉をまったく食べないと、 そこまで決めてしまう必要はありません。

食べたくなくなれば、食べなくてもよいという ことです。

タンパク質が必要なので、頑張って食べなくてはならないというように、思い 込む必要はないということです。

昔は高タンパクが目標とされましたが、その後にタンパ ク質についての研究も進み、いろんなことが分かってきました。




そうした研究成果を踏ま えて、一九九六年に米国農務省もついに「人間には動物性食品は必要ない」との公式見解 を明らかにしたわけです。

それは、肉食の超大国であるアメリカが、ついに肉食について の反省を、公式に、本気ではじめたということであり、アジア的なるものが、食生活、食 文化のなかでも、見直されはじめているということでもあります。

アメリカでは、寿司バ ーをはじめとする和食がいまもたいへんな人気です。

それはもはやブームの域を脱して、 食文化として定着したかのような観があります。

日本でも、戦後は長らくフランス料理が 外で食事をするときの王様のように君臨していました。

しかし、それはやがてアメリカン テイストのファースト・フードヘと移り、さらにイタメシ(イタリア料理)ヘと移り、い まはアジア各地の料理が、エスニックという名のもとに、日本の若者にもおおいに支持さ れています。これらの動きは、いったい何を意味するのでしょうか?

多くの人が、きたる べき食生活のありかたというものを、敏感に感じはじめているということではないのでし ょうか。

たとえ、栄養学というものの流れに大きな変化が起きていることを知らなくても 、「このままでは、いけない」と、みんなが気づきはじめているということではないので しょうか。

その多くの人の気づきは正しいのです。

そして、脳内モルヒネ系にポイントを おいたダイエットは、その流れの主流ともなるべきものであり、これからの人間の価値観 、世界観に根ざした、文明批評的な広がりさえも有した理論と実践の体系なのです。






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