身体に効く栄養成分・食材・調理方法
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「動物性食品は、必要ない」
と米国農務省が警告(一九九六年)
私たちはいま、乳製品や肉類をものすごい勢いで消費していますが、これはとても危険な
ことです。
乳製品や肉類というのは、タンパク質であるという印象もありますが、実際に
は脂肪がおもな食品なのです。
ただ、乳製品にはカルシウムなども入っているので、量さ
え適当であるならば、これはとってもよいでしょう。
それに、成長期の子供たちは、これ
らをとる必要があります。
しかし、肥満した人は、肉類はまったくとる必要がありません
。
というと、驚かれる方も多いでしょうが、これはホントのことです。
肉食大国であった
アメリカ人でさえも、一九九六年には、そのことを公表しました。
コレステロールも植物
系で十分にとれているので、魚介類もあえて食べる必要はありません。
イカにはいいタン
パクも入っているのですが、基本的にはコレステロールの塊のようなものですから、好き
でときどき食べるのはいいのですが、食べなければならないと頑張って食べる必要はあり
ません。
動物性の脂肪のとり過ぎは、さまざまな病気の引き金になります。
体内に入った
脂は、まずリンパ液の中に入って、それが高濃度になると血液のなかに流れ込んでいきま
す。
そうして、最終的には脂肪というかたちになって、血管の壁や内臓にこびりついてし
まうからです。
脂というものは、大量であればリンパ管のなかに入っただけでも、たいへ
ん悪い役割を果たします。
リンパ管のなかにはリンパ球が流れていますが、そのリンパ球
というのは、免疫をつかさどっています。
病原菌や毒素などが入ってくると、それをやっ
つけて病気にならないようにしているわけです。
そこに、ドロドロの脂が流れ込んでくる
と、ただでさえゆっくりと流れているリンパ液の流れが、さらにゆっくりとなります。
そ
うすると、リンパ球のはたらきが鈍り、免疫系が抑えられることになるわけです。
脂っこ
いものをしょっちゅう食べている人が、風邪を引きやすいのは、そのためです。
風邪くら
いならまだいいのですが、免疫系が抑えられるということは、抵抗力が非常に弱まるとい
うことですから、癌にもかかりやすくなりますし三倍から、五悟という報告があります。
、Oー157などの病原菌の格好の標的にもなってしまうわけです。
リンパ管で高濃度に
なった脂は、血管のなかに染みだしていきますが、そのときには脂だけでは流れません。
血球やタンパクなどが付着して、へドロ状態で血管の中を流れていきます。
脂を多くとっ
た人の血液を、食後二時間ぐらいたってから調べると、血液のなかに脂が浮いているのが
見えます。
空腹のときの血液と、脂っこいものをとったあとの血液は、まったく違うので
す。それは、素人が見ても十分に分かるほどです。
血液の中に、きらきらと光る脂の玉が
、浮かんでいるのです。
その脂の玉こそが、糖尿病や動脈硬化の元凶なのですが、それは
このようにして実際に見ることができます。
だからといって、脂がまったく必要ないのか
というと、そのようなことはありません。
女性ホルモン、男性ホルモン、副腎皮質ホルモ
ンなどのホルモンは、脂から作られているので、脂がまったくないと困ることになります
。
頭のはたらきにとってよいということで、一時たいへんな話題になったマグロの目玉の
後ろにあるEPAやDHAなども、脂から作られています。
そこで、実際に脂がどれくら
い必要なのかというと、全摂取量の一五%くらいでしょう。
一日に二○○○キロカロリー
をとる人だと、脂肪は三○○キロカロリーもあれば十分だということです。
脂肪というの
は一グラム九キロカロリーですから、これをグラムになおすと、一日に三三グラムの脂肪
をとればよいということです。
日本の国民の平均的な脂肪摂取量は、最近では五○グラム
ほどです(平均的脂肪摂取量統計による)。
必要な脂肪は三三グラムほどですから、それ
だけですでに一・五倍ほどもとり過ぎていることになるわけですが、脂肪というのは肉の
なかに含まれているだけではありません。
野菜にも穀物にも含まれているわけです。
一日
に三三グラムの脂肪というのは、野菜や穀物を中心にして食べていると、もうそれだけで
十分とれている量なのです。
そこで、米国農務省の「人間には動物性食品は必要ない」と
の発表が、俄然、真実味を帯びてくるわけです。
「脂肪がまったく必要ないというわけで
はない。
しかし、一日に必要な脂肪は、野菜と穀物を中心にした食事で、十分に摂取でき
るのだ」というわけです。
肉をまったく食べないようにするというと、抵抗感のある人も
いるでしょう。
育ち盛りの子供がいる家庭では、たまには子供と一緒にステーキや焼肉や
シャブシャブを食べにいくのも、大きな楽しみのひとつでしょう。
そうしたときには、ス
テーキならば、鉄板やフライパンで焼いたものではなく、網焼きにして脂肪分を減らした
ものにするという工夫をすればいいわけです。
焼き肉の場合は、だいたいが綱焼きですが
、これなどもそのようにして脂をとるという東洋の知恵の一つなのかもしれません。
シャ
ブシャブも同じです。
熱湯にくぐらせると、もうそれだけでかなりの脂が抜けるわけです
から、そのようにさまざまに工夫をしてできるだけ脂肪をとらないようにすればよいわけ
です。
牛肉など、これまでは、ばくぜんとタンパク質のようなイメージを思い描いていた
人が多かったでしょう。
でも、よく調べると、カロリー比にすれば、タンパク質はわずか
二○〜三○%であり、脂肪が七○〜八○%なのです。
牛肉一○○グラムのなかに、タンパ
ク質は一八・三グラム、脂肪は一六・四グラム含まれているということで、重さからいえ
ばタンパク質のほうがわずかに重いわけですが、カロリーから見ると、タンパク質一に対
して脂肪はニなのです。
牛肉というのは、目に見える脂身をとったとしても、カロリーの
六七%は脂肪であり、まさしく脂肪の塊といっても過言ではない食材なのです。
これまで
動物性タンパクの代表とされてきましたが、実際には動物性脂肪ともいうべきものであっ
たわけです。
かつてさかんに動物性タンパクが必要であるといわれ、いまも多くの人がそ
れを素朴に信じていますが、その根拠となった実験は、きわめて単純なものでした。
それ
は、ネズミを使っての実験でした。
植物性のもの一種類だけ(サッマイモならサッマイモ
)を食べさせたネズミと、動物性の食事を与えたネズミとを比べると、動物性の食事を与
えられていたネズミのほうが成長が早かったのです。
そこで動物性のほうがいいのだろう
ということになったわけです。
この実験のおかしなところは、実験ではたしかにそうでは
あっても、現実のヒトはけっして一種類だけの食品を食べ続けているわけがないという点
です。
ヒトも、成長期にはたしかに動物性タンパクが必要です。
しかし、肉体的な成長が
とまったあとは、植物性のものを中心にして、いろんなものをまんべんなく食べたほうが
よいのです。
植物性のものを一種類だけ食べさせるという実験では、そうした観点がすっ
ぽり抜け落ちているのです。
それともう一つは、必須アミノ酸についての理解です。
必須
アミノ酸というのはたしかに体のなかではつくられません。
しかし、体のなかにいっぱい
貯蔵されているのです。
それは、腸から吸収されるのを見れば分かります。
アミノ酸の足
りない食べ物をとっても、腸から吸収されるときには、アミノ酸は全部そろうのです。
な
ぜそのようなことになるのかというと、それは腸壁などにたくわえられていたアミノ酸が
吐き出されてくるからです。
必須アミノ酸というのは体のなかに貯蔵されていて、それが
出てきて吸収されるわけです。
ですから、毎日動物性の食事をとらないと、必須アミノ酸
がなくなるというように心配する必要はないのです。
タンパク質というと、すぐに動物性
のものや魚介類を思い浮かべる人が多いのですが、植物系のものにも十分にタンパク質は
含まれているのが分かるでしょう。
「畑のタンパク」というのは、けっしてオーバーな表
現ではないのです。
そうしたことから、動物性のものは食べないほうがいいというのが、
今後の一つの大きな流れになっていくのではないでしょうか。わたしは、そのように見て
います。