身体に効く栄養成分・食材・調理方法
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「食べていないのに太る」ということはありえない。
「食べていないのに太る」とか「水を飲んだだけでも太る」と言う人の「食事日記」を見
ると、やはり太るべく食べていることが分かります。
太る人は無意識に食べている、とい
うことはすでに指摘しましたが、それ以外にも太る人には、次のような問題点があります。
胃袋のなかに五○○グラムの食べ物が入ったとして、穀物とか野菜を中心に食べた人の場
合は、その九○%が水です。
炭水化物として入ったものは、胃のなかでのボリュームが大
きく、食べたという感じがするわけですが、カロリーでいうと、四○○キロカロリーくら
いのものです。
炭水化物は、食物一グラムあたり○・八キロカロリーくらいなので、五○
○グラムの食物をとったといっても、その程度なのです。
ところが動物性のものとなると、
食物一グラムあたり4キロカロリーくらいはあります。
お肉を五○○グラム食べると、二
○○○キロカロリーにもなり、同じ量の炭水化物の五倍のカロリーを摂取することになり
ます。
「あまり食べていない」という人のほとんどは、お腹のなかに入るボリュームをい
っているわけであって、カロリーのことは気にしていないわけです。
肥満体になっている
人のなかで、明らかに量を食べ過ぎている人というのは、三割くらいです。
残りの七割の
人は、ふつうくらいにしか食べていません。
それにもかかわらず太るのは、カロリーをと
り過ぎているからです。
いまはかなり反省していて、食生活も変わってきていますが、か
つてのアメリカ人は、食事の中心は動物性タンパク質でした。
戦後の日本は、それを真似
したわけですから、かつてのアメリカ人のように太ってしまったわけです。
そうしていっ
たん太ってしまうと、私たちのからだの遺伝子プログラムは、からだについた脂肪をなる
だけ手放さないようにはたらきます。
私たちのからだのなかには、脂肪合成酵素というも
のがあるのですが、それが増えてくるのです。
太古より、人類にとってからだの中に蓄え
た脂肪は、たいへん大切な宝物でした。
その脂肪が一○キロもよけいにつくと、遣伝子プ
ログラムとしては嬉しくてたまりません。
なんとしてでも減らすまい。そのように健気に
決意をして、一生懸命に肥満状態を維持しようと相つとめるわけです。
逆に、痩せはじめ
たときは、どうなるでしょうか?
せっかくたくわえた脂肪が減っていくので、遺伝子プロ
グラムとしては気が気ではありません。
なんとかして、脂肪を元通りにしたいということ
で、たとえ少量の食べ物からでも、なんとか脂肪をつくろうとします。
実際に、そのよう
なはたらきをする酵素が目を覚まし、せっせと脂肪をつくり出すのです。
ダイエットの後、
多くの人がリバウンドしてしまうのは、そのせいもあります。
ダイエットをして痩せるこ
とにより、「これはたいへんだ」と、それまでは眠っていた脂肪づくり酵素が目を覚まし
て、じつに効率よく脂肪をつくりはじめるからです。
人のからだというものは、そのよう
にして守られているのです。
痩せはじめれは、たとえ少量しか食べなくても、それ以上体
重を減らさないように、からだのメカニズムが変わっていくのです。
そのことをダイエッ
トの観点から見ると、太ったら太りやすくなり、痩せても脂肪がつきやすくなるというこ
とで、どちらにしても太りやすくなるという、とんでもない事態になるわけです。
痩せた
ときも太ったときも、私たちの前に立ちはだかっているのは、より太りやすくなるという
現実です。
それくらいに、人類は豊満さというものに憧れ続けてきたということでしょう。
私たちは、そうしたことが実現された、とても幸せな時代に生まれ合わすことにより、ダ
イエットという新しい試練を乗り越えなくてはならなくなったのです。
人類が誕生して、
四○○万年くらいたちますが、肥満ということが大きな問題になってきたのは、第二次世
界大戦後の西側先進国でのことであり、日本においては高度成長経済に入ってからのこと
です。
ここ五○年あるいは三○年くらいのことなのです。そして、私たちはその人類が抱
え込んでしまった新しい大問題に、自覚的に立ち向かうことを決意した、最初期の人の代
表なのです。
人類が、いまもなお進化を続けているとするならば、肥満というハードルに
は、おそらく何かしら大きな意味があるにちがいありません。
遺伝子プログラムを進化さ
せるような、そんな大きな意味が…・。