身体に効く栄養成分・食材・調理方法
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朝三、昼二、夜一、というように食べる
一日に一定の量を食べるとすると、二回で食べるのと、三回に分けて食べるのとでは、二
回で食べるほうが太ることになります。
そのよい例が、お相撲さんです。
お相撲さんは朝
食抜きで激しい稽古をして、すきっ腹になったところで、ドカ食いをし、そのあと昼寝を
します。
そうして、見事に太るわけです。
そのようにして太ると、体のなかに大量のイン
スリンがたまっていって、だいたいが高インスリン体質になります。
インスリンは、膵臓
のランゲルハンス島から分泌されるホルモンであり、ヒトの体のなかで唯一の血糖値を下
げてくれるホルモンです。
ところが、そのインスリンも過剰になると、脂肪を作るホルモ
ンに変わってしまうのです。
そのため、太って高インスリン体質になると、過剰なインス
リンが、より積極的にせっせと脂肪づくりに励むので、ますます太ることになります。
そ
のインスリンに天敵はいないのかというと、これがいるのです。
それは、グルカゴンです
。
グルカゴンというのは、インスリンとは逆に、血糖値を下げすぎないようにするホルモ
ンです。
それに、脂肪を分解するはたらきがあります。そうして、インスリンとグルカゴ
ン(それに、成長ホルモン、副腎皮質ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、カテコラミンな
ど)で、ヒトは血糖値を一定の範囲内に保とうとしているわけです。
そのインスリンとグ
ルカゴンには、面白い違いがあります。
昼間、目覚めているときにはインスリンとグルカ
ゴンの分泌速度には、さほど大きな開きはありません。
血糖値の上がり具合によって、イ
ンスリンがジワジワと出てきたり、ドッと出てきたりしますが、その五○分後くらいに、
グルカゴンが登場します。
ところが、夜になってヒトが寝てしまうと、インスリンが出て
きたあと、五時間くらい経たなければ、グルカゴンは出てこないのです。つまり、五時間
ほどものあいだ、インスリンだけが出ているという状態になるわけです。
そこに、ダイエ
ットにとっての非常に大きな意味があります。
夜になって寝入ると、インスリンのみが出
てきます。
インスリンは、血液のなかのブドウ糖をグリコーゲンに変えて、血糖値を下げ
るというのが基本の業務です。
しかし、寝る直前までチーズやサラミをさかなにお酒を飲
んでいたら、インスリンの業務はそれだけではおさまりません。
せっせと、脂をつくりは
じめます。
しかも、そのとき、五時間近くも天敵のグルカゴンはいないのです。
まさに独
り舞台のやりたい放題といった感じで、インスリンが五時間近くも、脂をつくるのです。
だからこそ、朝食はしっかりととるべきなのです。
食事は一日三回にすべきなのです。
そ
のうえで、朝・昼・夜をご三・二・一の割合で食べれば、なおベターです。
一日の食事量
を六とみて、その半分にあたるものを朝に食べてしまう。
そうすると、そのほとんどは昼
間の活動によって消費されてしまうので、脂肪として蓄積されるものは、ほとんどなくな
ってしまいます。
ダイエットの法則からすれば、そのようにすべきなのですが、ふつうは
まったく逆になっています。
朝はなにかと忙しいので、食べないか、食べてもちょっとだ
けにしておく。
昼は朝以上には食べるけれども、これもそれほどゆっくりとはしていられ
ないので、ほどほどにしておく。
そうして、一日の仕事が終わったあとの夕食を、ゆっく
りと食べる。
一日の仕事を終えてのお酒は最高だということで、アルコールもとる。
女性
なども、ナイト・キャップということで、ぐっすり眠れるように、寝る前にお酒を飲むこ
とが流行っています。
そうして、老若男女を問わず、太っていく傾向に歯止めがかからな
い状態が続いているわけです。
ですから、ここで重い切って、朝をたくさん食べるという
ように切り換えるべきです。
朝たくさん食べると、食べたことが刺激になって、心と体が
目を覚まします。
そうすれば、代謝が高まります。
心も体もしゃんとするし、パワーも元
気も出てきます。
その反対に、朝ほとんど食べないでいると、体や脳がなかなか目を覚ま
しません。
光や音、食べるというような五感を直接に刺激するものは、新陳代謝を非常に
高めるのです。
時々でけっこうですから、朝に一日のうちの半分を食べるようにしてみて
ください。
そうすると、摂取した食べ物は、脂に変わるどころか、新陳代謝を高めること
により、むしろ脂肪を燃やすことになります。
脂肪は代謝が高まらないと燃えないのです
。
プドウ糖が燃えているなかで、脂というものは燃えるのです。私たちは、学生の頃「脂
肪は、炭水化物のなかで燃える」というように教えられたのですが、これはいまも間違っ
ていません。
炭水化物がブドウ糖になって燃えていると、脂も非常に効率よく燃えて、減
っていくのです。
それから、食べるときは穀物、野菜を中心にしたほうがよいでしょう。
かつては、穀物と野菜のほかに、果物もよいとされていました。
しかし、果物の九○%は
水分です。
それに、果糖が多く含まれています。
ということは、果物を食べると、その水
分を吸収するときに糖(果糖)も吸収され、どうしても血糖値が高くなってしまう。
と、
インスリンが登場することになり、インスリンがたくさん出てくると、脂肪づくりに励み
ますから、太る原因になりかねません。
そこで、私は果物抜きの穀物と野菜を中心とする
〃コクサイ食〃(穀菜食)を提唱しています。
朝に〃コクサイ食〃をしっかりと食べるこ
との効用は、それ以外にもいろいろとあります。
そのなかで、ここでとくに強調したいの
は、炭水化物をとると食欲を抑えるはたらきのあるセロトニンが分泌されるという点です
。
炭水化物をとると、セロトニンが分泌されて摂食中枢のはたらきが抑えられ、空腹感が
出てこなくなるのです。
その反対が、脂肪系の食べ物です。
コッテリしたものを食べると
、脳内モルヒネ系のセロトニンが減り、必ず空腹感が出てきます。
そこで、間食というこ
とになるわけです。
ですから、間食をしたくなることの原因は、脂の摂取にあるわけです
。
脂っこいものを食べて、脳内のセロトニンが減ってしまえば、ものすごく食べたくなり
ます。
それは、脳内物質の命令なのですから、もはや理性で立ち向かうことは不可能であ
るともいえます。
そのことは、ダイエットをした経験のある人は、みんなよくご存じです
。
しかし、それでもなお工夫の余地はあります。
ショートケーキやアイスクリームは避け
て、お団子やお煎餅にすればよいのです。
ショートケーキやアイスタリームなどは、脂の
塊のようなものですから、これはごくたまにとか、ときどきにすべき間食です。
朝を和食
系とか〃コクサイ食〃にすると、間食が欲しくなくなります。
間食をしないと、脂も入ら
ないので、お昼も大量に食べずにすみます。
そうすると、三時のおやつも欲しくなくなり
、夜のご飯の量も減ることになります。
一年の計は元旦にありといいますが、ダイエット
にとっては、一日の計はまさに朝にありというべきでしょう。