介護予防
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鼻から管で栄養をとっている患者さんに
食べさせる手順を教えてください。
病気は何か,どのくらいの期間経管栄養が行われていたか,患者さんの全身状態はどうか,
などによって対応が異なります。
ここでは,
@脳卒中後,
A2〜3か月以上経管栄養が行われていて,
B現在は意識が良く,
C全身状態も良い,
といった場合を想定して説明します。
以下のことを1日3回,1回10〜20分を数日間施行します。
@口腔ケア:1日3回以上丹念に行ってください。清潔に保つとともに,
口腔内をいつも湿らせておくことが大切です
A頬・口唇・舌のマッサージ:手や寒冷刺激器を用いて外側を,
またアイスマッサージの棒を用いて内側も行います
Bのどのアイスマッサージ:マッサージの後ゴクンとしてもらいます
C頸部の緊張をとる:用手的マッサージ。
自動または他動で前後・左右・回旋運動などを行います
D呼吸法:口すぼめ呼吸,息こらえなどアイスマッサージ後のゴクンが
しっかり行えるようになってきたら以下のことを開始します。
体位は30度仰臥位・頸部前屈とします。
@少量の飲水訓練と氷なめ
Aゼラチンゼリーやプリンの摂食
この段階を数日行い,患者さんの状態をよく観察し記録に残します。
発熱はないか,呼吸状態の悪化はないか,痰や咳の量と性状に変化はないか,
炎症反応(CRP,白血球数など)は出ていないか,聴診所見に変化はないか,
胸部レントゲン検査で異常はないか,などを注意深く観察します。
しっかり飲み込めて,患者さんの反応が良ければまず合格です。
むせた場合は休憩して,呼吸状態を観察してくたさい。
軽くむせても,体んで呼吸状態が安定していれば摂食を続けて良いと思います。
以上を行い最低3日間は患者さんの状態を観察して,異常がなければ食事をアップします。
少しでも問題があれば中止して基礎訓練だけに戻してくたさい。
数日して患者さんの状態が安定すれば再び段階的摂食訓練をはじめから行います。
なお摂食訓練にさいしては,毎回必ず5分くらい基礎訓練を行い,
引き続いて摂食訓練を行うようにしてください。
問題があるケースでは,可能ならば嚥下造影を行い対策をたてるようにします。
さて,摂食・嚥下訓練中の栄養確保はどうしたらよいかが問題となります。
いろいろな場合を想定して利点と欠点を考えてみましょう。
(1)鼻からの経管栄養を継続したまま訓練を行う
訓練する側にとってはいちばん楽な方法です。
しかし,管の違和感,とくにゴクンと飲み込むときの違和感が
患者さんにとっては大きな不快になります。
また,管の周囲が不潔であること,見た目がよくないことなどの問題点もあります。
Q78をご参照ください。
(2)訓練するときだけ鼻からの管を抜く
しばしば行われている方法だと思います。
患者さんが鼻からの管を嫌がってしばしば抜いてしまうので,抜いている間に基礎訓練をしたり,
摂食訓練をするという受け身的なやり方をしていることもあります。
積極的にこの方法をとるときの工夫例として,私が用いる方法を述べます。
@朝の注入が終わってから管を抜く
A日中は管なしで過ごし,その間に基礎訓練と摂食訓練を行う
B日勤帯の最後のほうで(午後4時過きころ),
人手が多いときに鼻から管を入れて2回目の注入を行う。
管をそのまま留置して,夜間は抜かないこととする
C準夜帯に(午後10時ごろ)もう一度注入する
このようにすると,栄養確保と日勤帯での十分な訓練時間が確保できます。
欠点としては管を再び入れるときの患者さんの苦痛と
介助者側の手間が大変であることがあげられます。
また,日常的な食事時間のリズムと注入時間がずれる点も問題です。
しかし,訓練時に空腹感があるという利点もあります。
(3)OE法ないしOG法の利用
間歇的に口から管を出し入れして栄養を確保する方法です。
患者さんの協力が得られる場合はたいへんよい方法です[Q80]。
しかし,介助者が方法に慣れていないと,ややとっつきにくいと思われます。
(4)点滴で補う
中心静脈栄養などが行えればベストですが,医療のバックアップがないと不可能です。
感染を起こしたり,ルートを確保するときの気胸の危険などが問題です。
末梢からの点滴ではカロリー摂取が十分ではありません。
以上,摂食・嚥下訓練時の栄養の確保について述べてきました。
長い間経管栄養を行ってきた摂食・嚥下障害の患者さんが,
いきなり管を抜いてその日から全部食べられるということはありません。
「訓練期間中の管と栄養の確保をどうするか」が,成功の鍵を握っています。
管を抜いたその日から全部食べられるようになる場合もあるかと思いますが,
それは摂食・嚥下障害がない患者さんに経管栄養を行っていたということでしよう
(これも大間題ですが・・・)。しかし,管を抜いて何回かの食事はうまく行っても,
だんだん食べられなくなったり,肺炎を起こしてきたりして,
また経管栄養に逆戻りという例が多数あります。注意しなければなりません。
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