介護予防
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食べやすい食品、食べにくい食品

を教えてください。










(1)「ゼラチンタイプ」の薦め

摂食・嚥下障害の患者さんにとって食べやすい食品,飲み込みやすい食品の条件として,

次の四つがあげられます。



@密度が均一である

A適当な粘度があってバラバラになりにくい

B口腔や咽頭を通過するときに変形しやすい

Cベたついていない(粘膜にくっつきにくい)

これらの条件を満たすのが「ゼラチンタイプ」ですが,患者さんの好みの食品,

味加減など嗜好にも配慮が必要です。

患者さんが食べる前にまず自分が食べておいしいか,食べやすいかどうか確認してください。



(2)ゼラチンと寒天の違い

よく誤解される「ゼラチン」と「寒天」を例に食べやすさの違いを説明しましょう。

濃度にもよりますが,一般的にゼラチンで固めたものはとても食べやすく,

嚥下食として理想的です。肉,魚,野菜,果物なんでもミキサーで細かく粉砕して

味付けしてゼラチンで固めれば,噛まなくてもよいし,

軽く舌で押しつぶすこともできて,ツルリとのどを通過します。

最近わかったことですが,ゼラチンは口の中で表面がとけて滑りやすくなると共に,

とけた表面に周囲の残留物をくっつけて一緒に飲み込みやすくなる効果があります。

食後にゼラチンゼリーを食べると口やのどがきれいになります。

これに対して,よく似てはいますが寒天で固めたものはどうでしょうか。

寒天は産地によって性状に大きな差があります。

また塩分濃度がわずかに変化しただけで硬さが大きく変わってしまいます。

少し硬目の寒天ゼリーは変形しにくく,噛まないと飲み込みにくいし,

噛めば細かい粉々になってしまいます。

舌での押しつぷしもしにくいし,そのまま飲み込むと変形しにくいため咽頭の通過が困難となります。

ゼラチンのようにツルリとした滑らかさと軟らかさを出すことはなかなか難しいものです。

硬目の寒天ゼリーを嚥下造影で確認してみると,

嚥下力の弱い患者さんでは喉頭蓋谷や梨状陥凹に細かい粒が残ったり,

丸飲みした場合は咽頭を通過できず,きわめて危険です。

ゼラチンと寒天の違いに気づいて,意識している人は少ないので注意が必要です。

とくに初期に寒天食品を出すことは避けたほうがよいでしょう。

なお,市販のヨーグルトのなかにはゼラチンに少量の寒天が混合され食べやすいものもあり,

上手な使い方をすれば寒天も絶対だめというわけではありません。

一方,ゼラチンゼリーも長く口の内に含んで飲み込まない患者さんではとけ出して,

咽頭に流れ落ちてむせるということも起こります。

状態に合わせて使い分ける必要があります。



(3)食べにくい食品

嚥下障害の患者さんにとって,食べにくく飲み込みにくい食品,また危険な食品は,

硬いもの,パサパサしているもの,そしゃくしにくいもの,粘膜にくっつきやすいものです。

具体的にはナッツ類,揚げ物(てんぷら,フライ),とうもろこし,生野菜,こんにゃく,のり,

わかめなどといわれています。

また,さらさらした汁ものやジュース類もむせるため飲みにくいものです。

最近はやりのこんにゃくゼリーやナタデココについても,

弾性がありすぎて食べにくいと思われます。

病院や施設などで出されるきざみ食も食べにくいので注意してください(Q31)。

摂食・嚥下障害の原因によって食べやすさ,食べにくい食品も異なりますので,

患者さんに合わせて一つひとつ食物形態を検討していくことが大切です。

患者さんの好みも重要な因子です。




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