介護予防
Welcome
Welcome




嚥下障害があるように思いますが、

どこへ行って誰にみてもらえばよいでしょうか?








日本では医学教育のなかに嚥下障害のカリキュラムがしっかりと組まれておりません。

耳鼻咽喉科の分野で嚥下の治療,研究が行われてきましたが,適当な入門書がなく,

正直にいって「はじめから難しいという観念」があります。

私も,教えてくださる指導者にも巡り会えず,嚥下の勉強に苦労をしました。

しかし最近は嚥下障害に対する関心も深まり,論文が書かれ,

研究会や講習会が開かれるようになりました。

徐々に日常診療で嚥下障害に対処してくださる先生が増えていると思います。

まずは耳鼻咽喉科,リハビリテーション科,歯科口腔外科,神経内科,消化器科などを

受診されることをお薦めします。

また,本書は高齢者を対象としていますが,小児領域では脳性麻痺児を対象に,

歯科や小児科を中心として理学療法上,作業療法上,言語療法上などと協力して,

摂食・嚥下障害のリハビリテーションが系統的に行われています。

摂食・嚥下障害に対しては医師よりも看護婦さんのほうが取り組みが熱心で,

早くから論文や症例報告がなされています。

また理学療法上,作業療法上,言語療法上のこの分野への参加も心強いものです。

とくに嚥下障害を専門的に行おうという訓練士もいて,技術も向上しています。

介護を直接担っているヘルパーさんや介護福祉士などの取り組みも盛んで,

今後はそれぞれの知識や技術をいかに患者さんに還元していくかというシステム (チームアプローチ)を考えなければならない時期にきています。

米国には嚥下センターがあり,嚥下訓練土(swallowng theraplst)

という職種が存在します。

日本ではまだ本格的なセンターはありません。

医師だけでなく嚥下を専門に治療してくれる訓練士の数もきわめて少ないのが現状で,

訓練は嚥下障害に興味をもっている言語療法上,理学療法士,作業療法士に頼っています。

また,看護職員や介護職の方々が日々の生活を支えるという立場から,

勉強して嚥下訓練に取り組んでいらっしゃいます。これからの分野といえるでしょう。

平成7年9月に第1回日本摂食・嚥下リハビリテーション研究会が

昭和大学歯学部口腔衛生学の金子芳洋先生のお世話で開催されました。

小児から成人まで,医師,歯科医師,コメディカルを含めた学際的な研究会で

1000名を超える参加者があり,

会場に入りきれず入場制限まで行われなければなりませんでした。



第2回は平成8年9月に名古屋で開催され,参加者は3000名を超えました。

第3回は平成9年に東京で開催され,研究会は学会になりました。

第4回は平成10年9月12日,13日浜松で私が大会長で行うことになっています。

学会員も2000名を超えこの分野への関心はますます高まっています。






◎なぜ経口摂取を目指すのか



医学的にみれば,経管栄養で生命を安全に維持できます。

しかし,より自然に,より人間的に生きるとはどういうことかを考えると.

目から食べる意味がおのずとわかってきます。

昔は口から食べられなくなればそれで死が訪れました。

しかし,医学が進歩するにつれて食べられなくなっても生き続けることが可能になり.

精神活動を維持し続けることができるようになりました。

しかし一方では,ロから食べられる機能を残している患者さんに対しても

安易に経管栄養を行うという弊害が生まれています。

上手に訓練すれば口から食べられるはずの人が,

鼻から管で栄養をとっているというのはたいへん不幸なことです。

食べることは動物の根源的な欲求です。「味気ない」とはよくいったもので.

口から食べられない人生はなんと味気ないことでしょう。

味覚は脳を刺激し,精神活動を賦活します。

また,ロから食道を通って胃に運ばれた食物は,

直接注入された栄養より消化吸収も良く,

下痢なども起こしにくいと思われます。

ロから食べるための訓練には時間と労力がかかりますが,

食ぺられるようになったときの喜びは何ものにもかえがたい貴重な宝であると信じています。




左側のフレーム内にmenuが表示されている場合は、
使用しないで下さい。
TOPに戻る