身体に効く栄養成分・食材・調理方法
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消臭
★緑茶は悪臭の原因である微生物を殺菌しいやな臭いを吸着する。
大森正司(おおもりまさし)
1932年(招和7年)生まれ。
東京農業大学大学院農芸化学専攻博士課程修了。
農学博
士。
お茶研究の権威の人で、「茶の化学」(朝倉書店/共著)、「緑茶健康法」(三心堂
出版社)など著書多数。
口臭や体臭、また冷蔵庫やおふろの臭いなど、身のまわりにあるほとんどの悪臭の原因
は徴生物です。
一般にワキガといわれる、ワキの下の臭いを例にとって述べてみましょう
。
ワキの下には汗を分泌する汗腺が無数にあります。
このように汗をかきやすい部分は
、最も微生物が繁殖しやすいところです。
微生物は二○分に一回細胞分裂をくり返すた
め、たとえ朝にシャワーを浴びたとしても、夜には想像もつかないような数にふえている
ことになります。
この微生物は、汗の分泌物に含まれるたんぱく質や脂肪酸といった物
質を分解します。
すると、悪臭の元となる生成物が生み出されます。
この生成物こそが体
臭の正体です。
したがって、汗そのものは無臭にもかかわらず、時間がたてばたつほど
微生物の数がふえて、体臭がきつくなるというわけです。
同じように、口臭や足の裏の蒸
れ臭、また冷蔵庫やおふろなどの悪臭も、微生物が繁殖することから生じています。
こ
うした微生物の繁殖を抑える抗菌・殺菌作用があるのが、お茶に含まれているカテキンと
いう物質です。
同時に、カテキンはいろいろな物質と結合しやすい性質があるため、いや
な臭いを吸着します。
つまり、お茶は悪臭を元からシャットアウトする一方で、臭いを
吸いつけて和らげる、という二段構えで抜群の消臭力を発揮するというわけです。
では
、お茶を利用した消臭法を、いやな臭いのケース別にご紹介しましょう。
★口の臭い
口臭予防のためには、少し硬めの歯ブラシで歯と歯ぐきを一○分以上かけて丁寧に磨き
、微生物を落とすことが第一です。
しかし、歯磨きのたびに毎回そのような磨き方がで
きないという場合は、お茶を利用するとよいでしょう。
お茶のなかでも、カテキンが多く
含まれている番茶がおすすめです。
飲むだけでも口臭予防になりますが、食後に歯の前後
を通過させるような感じで、くちゅくちゅと、うがいをしてください。
ただし、虫歯や
歯槽膿漏、胃腸の悪い状態などが原因となって口臭が生じる場合もあるため、いちがいに
微生物の作用によるものとはいい切れません。
前記したような病気の可能性があるならば
、早めに専門医の診察を受けるようにしてください。
★体の臭い
常に体を清潔にしておくことが大切ですが、たとえ朝にシャワーを浴びても、微生物は
細胞分裂をくり返してたちまち繁殖してしまうため、五〜六時間もするとまた臭いが強く
なってきます。
そこで、お茶を活用すれば、微生物の繁殖がかなり抑えられます。
ま
ず、カテキンの多い番茶を濃いめにいれて、木綿の布をひたします。
シャワーを浴びた
あと、この布で汗をかきやすいワキの下などをふきます。
入浴後に、お茶にアルコール
を混ぜたお茶化粧水を使用するのも体臭対策に効果的です。
★靴下の臭い
靴下を洗濯したあと、お茶にひたしてから絞って乾かします。
このように仕上げた靴下
は、一日履いたあとの蒸れ臭がずいぶんなくなるはずです。
実際に、普通に洗濯した靴
下の先端と、お茶にひたしてから乾かした靴下の先端を切り取り、微生物の数を比較しま
した。
その結果、普通に洗濯した靴下では微生物が一○○万個であったのに対して、お
茶にひたした靴下では、一○○分の一の一万個に抑えられていました。
★おむつの臭い
排泄物は微生物のかたまりです。
とくに老人の場合は、赤ちゃんと比べて排泄物の量も
多く、悪臭もひどくなります。
そこで、お茶にひたして乾かしたおむつを利用すると、
微生物の繁殖が抑えられ、悪臭や肌荒れを防ぐことができます。
こうなれば、ケアされる
ほうも、ケアするほうもらくになるでしょう。
また、おむつを取り替えるときにぬるい
お茶にひたした布で、お尻をふくと、カテキンの抗菌・殺菌作用によってお尻を清潔に保
つことができます。
★冷蔵庫の臭い
冷蔵庫は、さまざまな食品の臭いが充満する臭いの宝庫です。
お茶がらを布の袋に入
れて冷蔵庫内におくと、簡単な消臭剤になります。
臭いを消すだけでなく、カテキンの殺
菌作用によって微生物の繁殖も抑え、食品を衛生的に保存することができます。
ただし
、カテキンはカビに対しては弱いので、冷蔵庫に入れたお茶がらはこまめに取り替えるよ
うにしてください。
★おふろの臭い
一度湯ぶねにためたお湯を沸かし直してまた入浴したり、家族が多くて長時間にわたっ
ておふろを利用する家庭などでは、どうしてもおふろ場の臭いやぬめりが気になります。
入浴後五〜六時間もすると、おふろ場の中は微生物でいっぱいの状態になっています。
そこで、お茶がらを布の袋に詰めて入り口をひもでしばり、これをおふろに入れておく
と、微生物の繁殖を抑え、お湯のぬめりや臭いを防ぐことができます。