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カゼ







★お茶うがいはウイルスの侵入を防げカゼの悪化を防止




島村忠勝

昭和大学医学部教授

 






★ウイルスの侵入を防げるお茶


 毎年インフルエンザに悩まされる季節がやってきます。

カゼをひいて仕事に支障をきた したり、まえまえからの約束をキャンセルせざるをえなくなったり、全国のあちこちで学 校閉鎖になったりと、本当にたくさんの人がインフルエンザに悩まされるわけです。

 そ んなインフルエンザの予防に最も効果的な方法が、「お茶でうがいをする」ことであるこ とをご存じでしょうか?

カゼの予防には〃うがいが有効〃とはよくいわれています。

でも 、水でうがいをしても、実はさしたる効果はありません。

「お茶で」うがいをすることが ポイントなのです。

 それはどういうことかというと、お茶の成分であるカテキンに秘密 があるのです。

カテキンにはさまざまな殺菌作用や解毒作用があることが知られています が、インフルエンザウイルスに対しても有効に作用することが判明しました。

 そもそも インフルエンザというのは、インフルエンザウイルスの感染によって呼吸器が冒される急 性の感染症です。

空気中に浮かんでいるインフルエンザウイルスが鼻から侵入し、鼻腔や のどの粘膜の細胞に付着、またたく間にその数を増大させます。

そして感染後ご一○時間 ほどで細胞を破壊し、のどの痛みやセキ、発熱など、カゼ独特の症状が現れるのです。 

インフルエンザウイルスの表面にはギザギザした突起部があって、ウイルスが侵入すると このギザギザが粘膜の細胞とくっついて離れないようにします。

 しかし、お茶でうがい をすることによって、インフルエンザウイルスと細胞の結合を妨げることができます。

お 茶の成分であるカテキンが、ギザギザしたウイルスの突起部の上に覆いかぶさり、ウイル スと細胞との結合を妨げるのです。 

私たちの実験では紅茶を用いましたが、その濃度は 非常に薄いものでした。

家庭で通常飲まれている紅茶の濃度は二%程度で、実験ではこれ を四倍に薄めたものを便用したのですが、顕著な効果が得られたのです。

時間も五秒間で 一○○%感染を抑えることができたのですから、それは驚くべきスピードといえるでしょ う。

カテキンは、接触するだけでインフルエンザウイルスに付着し、瞬時に著しい効果を あげることがわかったのです。

 


★ぬるめのお茶でうがいする。


 こうしたカテキンの効能については、他のさまざまな動物実験でも証明されています。

 インフルエンザウイルスをマウスの鼻に垂らした場合、一○日間ですべてのマウスが死 んでしまったのですが、インフルエンザウイルスに紅茶を混ぜたものを垂らしたマウスに ついては、まったく死にませんでした。

これは、カテキンによりインフルエンザウイルス の感染が防げたからです。

 ブタも、インフルエンザにかかることが知られています。

二 ○○○頭規模の子ブタを飼っている農場に協力してもらい、二つの農場でカテキンを水に 溶かしたものをスプリンクラーから噴霧し、別のもう二つの農場では水だけを噴霧すると いう実験を行いました。

これを三○分に一回、二○秒間噴霧するということを六カ月間続 け、どちらのグループからも四○頭ずつ、一カ月ごとに採血して抗体(ウイルスが体内に 入るとそれに対抗するために作られる物質)を調べました。

 その結果、水だけを噴霧し たグループではほとんどのブタがインフルエンザに感染したのに対し、カテキンを噴霧し たほうでは感染が見られませんでした。

この実験でも、カテキンがインフルエンザを予防 することが証明されたのです。

 ヒトの集団でも、カテキンのインフルエンザ予防効果を 検討することにしました。

ある職場で合計約三○○人を対象に、お茶でうがいをするグル ープとしないグループに分けました。

そして、実験前と実験終了後に採血し、血液中の抗 体を調べたのです。

 調査の結果、お茶でうがいをしたグループのほうが統計学的にイン フルエンザにかかりにくいといえたのです。

 流行するインフルエンザには、A型とB型 があって、通常のワクチンはA型かB型どちらかにしか効きません。

毎年、「今年のカゼ はA香港型だ」とか今度はB型だ」と話題になっているでしょう。

しかし、カテキンはご く少量でA型、B型どちらにも効果のあることも明らかになっています。

 では、うがい の方法ですが、特別なノウハウなどありません。

お茶の種類も、緑茶、紅茶、ウーロン茶 など、お茶の葉を煎じたものであればなんでもかまいません。

濃度も、薄くても大丈夫で す。

普通に飲んでいるお茶を四倍くらいに薄めたものでも効果はあります。

 外出先から 帰ってきたときや、のどの調子がおかしいと感じたときに、気がついたときにそのつど、 やけどしない温度のぬるめのお茶で、ガラガラとしっかりうがいをしましょう。

思いきり顔を上に向けて、のどの奥までうがいをすることが大切です。

 私は一○年ほど前から、 「お茶によるうがいのすすめ」のポスターを全国の小学校に配布してきました。

 こんな 報告があります。

お茶の本場、静岡県のある小学校では、お茶うがいを一日二回、登校時 と下校時に取り入れました。

すると周辺の学校がインフルエンザで学校閉鎖になっても、 閉鎖しないですんだそうです。

 さらによいことに、お茶うがいはインフルエンザにかか ってからの悪化防止にも有効です。

感染したウイルスが隣の細胞に感染しようとするとき にカテキンがこれを阻止し、進行を抑制すると考えられるからです。









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