身体に効く栄養成分・食材・調理方法
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動脈硬化







緑茶は悪玉コレステロールの上昇と酸化を防ぎ
血管を修復

富田勲

静岡県立大学薬学部教授








★悪玉コレステロールの酸化で傷む血管


 戦後、日本人の食生活は大幅に変化しましたが、それに伴い、私たちを脅かす病の形も 様変わりしています。

 かつて不治の病と呼ばれ、多くの人々の命を奪った病気は結核で した。

一汁一菜で、たんぱく質やビタミンといった重要な栄養が不足していた当時の食生 活では、結核のような感染症に対抗しうる体力を養うのは困難なことでした。

 しかし、 肉や乳製品などを多くとる欧米型の食習慣が普及し、日々の食卓がすっかり豊かになった 現在では、結核はほとんどその姿を消し、ガンという病気が死因の第一位の座につきまし た。

 そしてこれに続くのが、心臓病や脳卒中といった、成人病と呼ばれるグループです 。 

ことに目を引くのが、心臓病による死亡者数の増加です。

従来日本では、欧米に比べ て心臓病は少なかったのですが、近年その数はふえる一方です。

やがては欧米のように、 心臓病が死因の第一位になる可能性もあります。

 心臓病の増加をもたらしている要因に 、日本人の血中コレステロール値の急激な上昇があげられています。

 油っぽい食事が多 い欧米人は、日本人よりはるかにコレステロール値が高いといわれていました。

 しかし 、食生活が欧米並みになったわが国でも、中高年世代のコレステロール値の上昇は顕著で す。

ハンバーガーショップやファミリーレストランといった外食チェーンで育った世代で は、コレステロール値がすでに欧米人の平均値を超えているという指摘もあるほどです。




 本来、コレステロール自体は、人体にとって重要な働きをする必要不可欠な成分です。  にもかかわらず、なにかと目の敵にされるのは、コレステロールが多すぎると血管の内 壁にそれがどんどん蓄積され、動脈硬化が起こって心臓病や脳卒中など、こわい病気の引 き金となるためです。

 動脈硬化とは、血管の壁面にコレステロールなどの物質が蓄積し たために、血管が弾力性を失って硬くなり、

血液の流れが悪くなってしまう病気です。

  動脈硬化がひどくなると、血管が詰まったり、破裂したりすることもあります。

そうなる と、血液が通わなくなって組織が死んで機能しなくなります。

 脳の血管に血の通わない 虚血の状態が発生したのが「脳卒中」、心臓の筋肉に血液を供給する冠状動脈に起こるの が「狭心症」や「心筋梗塞」です。

いずれも生死に関わる結果を招くことは必至です。

  ところで、問題のコレステロールは、大きく善玉コレステロールと呼ばれるHDLと、悪 玉コレステロールと呼ばれるLDLの二つのタイプに分けることができます。

 HDLは 体内の余分なコレステロールを回収し、肝臓に運搬しますが、逆にLDLは体じゅうにコ レステロールを配って歩く働きをします。 

コレステロール値の「善玉と悪玉の比率」は 、「一対二」が理想的といわれます。

 そのバランスがくずれてLDLがふえすぎると、 LDLが血管壁にへばりつく形でコレステロールが蓄積されます。

 本来、LDLという 物質自体は悪くないのですが、これが血管壁に染み込むと、老化と、多くの病気の元凶と いわれる活性酸素(細胞に損傷を与える不安定で有害な酸素)によって酸化を受けます。

 酸化されたLDLはコレステロールを血管壁に取り込む働きを活発にするため、いっそ う取り込まれるコレステロールの量がふえ、血管壁をより厚くさせ、動脈硬化を悪化させ るのです。




★ したがって、動脈硬化を予防するには、


@血中のLDLコレステロールをへらす

Aその酸化を防ぐということが必要なわけです。

 


★コレステロールの増加も酸化も防ぐ




○ ここでいよいよお茶の登場です。


結論からいいますと、お茶、とくに緑茶に最も多く含まれているカテキンの一種エピガロ カテキンガレート(EGCG)という成分がLDLの増加を防ぎ、その酸化を抑制する強 力な力をもっているのです。

 私たちの実験では、カテキン入りのエサを長期間与えられ ていたラット(実験用シロネズミ)は、普通のエサのラットに比ベ、血液中の総コレステ ロール値が約三○%も抑えられることがわかりました。

 別の実験では、普通のエサを与 えたAグループ、脂肪や砂糖をたくさん含んだエサを与えたBグループ、さらにBと同じ エサに一%の茶カテキンを含んだエサを与えたCグループをの三つを比較しました。

 す ると、脂肪や砂糖を多く与えたBグループでは、Aグループより善玉のHDLがへり、悪 玉のLDLが増加していました。

 しかし、脂肪や砂糖とともにカテキンも与えたCグル ーブでは、LDLの増加はBグループより三○%も抑えられ、しかもHDLの量にはほと んど変化がなかったのです。

 また、カテキンの抗酸化作用(活性酸素による酸化を防ぐ 作用)を調べる実験では、ラットに緑茶粉未入りのエサを与えたあと、その腎臓や肝臓を 取り出し、薬品で、強い酸化を起こし、その度合いを比べました。

すると緑茶を与えられ たラットは普通のラットより、いずれの臓器でも酸化が抑制されたのです。

 そしてさら に、カテキンはLDLコレステロールの酸化にも影響するかどうか、ということについて も実験しました。

 ブタの血液から取り出したLDLに、緑茶のカテキン、ビタミンCと E、BHTと呼ばれる薬品(食品の酸化を防ぐための添加物)をそれぞれ加え、銅イオン で酸化させました。

 その結果、いずれも酸化を抑制する効果を示しましたが、なかでも カテキンの抗酸化力が最も強力であることも明らかになりました。

 このように緑茶は、 悪玉コレステロールの上昇を抑え、悪玉コレステロールの酸化を防ぐ優れた健康食品です 。

 日ごろから緑茶を多く飲む習慣を取り入れれば、恐ろしい動脈硬化の予防に確実につ ながることでしょう。









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