生活習慣病
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ネフローゼ症候群






食事療法の基本方針






この病気は,高度のたんぱく尿の排泄により,血液中のたんぱく質が滅少して低たんぱく 血症となり,むくみやすくなります.

従来,ネフローゼは高たんぱく質食が望ましいとさ れてきましたが,最近では,必要以上にたんぱく質を摂取しても,実際にはそれほどの有 効性はなく,かえって腎臓に負担をかけることになることがわかり,あまり高たんぱく食 にしない傾向になってきました.




◆良質なたんぱく質を十分に 


低たんぱく血症の改善のため,尿中から失われるたんぱく質を良質なたんぱく質で補給し ます.
この場合,十分なたんぱく質を確保するため,工ネルギー週多にならないよう気を つけます.




◆中等度から厳格な食塩制限が必要


塩分の制限は病態の段階にもよりますが,高度のむくみがある場含には,厳重なナトリウ ム制限をします.
いわゆる無塩食です.

この場合には,調味料はいっさい使用しません. 自然の食品に含有しているナトリウムだけでも,1日約1〜2gぐらいの食塩相当量にな るからです.
その後,むくみの回復に伴って,ナトリウムの制限も緩和していきます.




◆食欲を高める工夫


厳しい塩分制限の食事は,味気のない食べにくい食事となり,とかく残食がちとなります .

その結果,必要とする栄養量がとれず,逆に病状を進行させることにもなりかねません .
不足栄養にならないためにも,抵塩でおいしく食べられる食品の選び方と調理の工夫が 必要となります.






急性腎不全






食事療法の基本方針






急性腎不全では,急激に腎臓の機能が低下して乏尿,無尿(非乏尿性もある)となります .

そのため,尿中から排泄すべき窒素化含物や水分や塩分の排泄も低下してきます.
した がって,食事としては,病態に即応した内容としなければなりません.




◆急性期(乏尿・無尿のとき)


1)厳格なたんぱく質の制限・・・1日5g以下.

2)厳しい食塩の制限・・・無塩.

3)十分なエネルギーの確保・・・体重1kg当たり1日30〜35kcal.

4)厳しい水分の制限・・・1日400ml前後.

5)カリウムの制限・・・1日1,000mg


この急性腎不全食は,そう長く継続することはありませんが,腎臓病の中では最も厳しい 制限食となります.




◆回復期(多尿のとき)


尿量が増加し多尿になると,水,電解質が大量に失われます.

したがって,水分や食塩を 制限していれば,脱水や低塩症候を起こすので,尿中のナトリウムの喪失量を食塩で補い ます.

一方,高カリウムであったものが急速に低下して低カリウムに傾くので,カリウム を補給します.




◆水分については,電解質の管理が適正であれば制限はありません.

いずれにしても,回復 多尿期の栄養管理には十分な注意が必要となります.






腎盂腎炎



食事療法の基本方針






◆水分は多く尿量を増加させます


腎盂腎炎は細菌感染によるもので,急性の場合,腎機能低下のない限りとくに食事の制限 はありませんが,細菌除去のため水分摂取を多くして尿量を増加させることが必要となり ます.

一方,慢性腎盂腎炎は,腎機能に異常のあることが多く,長い経過を経て慢性腎不 全になることも少なくありませんので,そのときは腎機能に応じて慢性腎炎あるいは慢性 腎不全の食事に準じて行います.




◆栄養量は慢性腎炎に準じます


l日栄養量は慢性腎炎に準じ,本書の献立表は1日工ネルギー2,000kcal,たん ぱく質70g,食塩6gで作成しました.

この食事の内容は,塩分を制限するだけで,ほ かはふつうの食事とほとんど変わりません.

幸いに短期間で回復すればなんら問題はあり ませんが,経過が長ければ,減塩食に慣れないため残食が多くなり,治療効果を妨げる結 果になりかねません.
したがって,栄養不足にならないように注意していきます.






ネフローゼ症候群調理にあたっての留意点






◆塩分含量の少ない調味科を使います


食塩1gに相当する調味料の重量を知っておくと便利です.
また,調味料を使うときは, 計量カップ,計量スプーンで正しい計り方をして使うよう習慣づけます.

◆鮮度の高い材科を選び持ち味を生かします


新鮮な素材は,薄味でもそのものの持ち味を生かすことができますが,鮮度の落ちた素材 は独特の臭いが増し,それをカバーするためにどうしても濃いめの味付けとなります.




◆酸味を利用して塩分を引き立てます


フライ,焼きたての魚は,ソースやしょうゆなど使わなくても,レモン汁などの酸味でお いしく食べられます.

酸味はちょっと補いたい塩分のかわりに,また,塩味を引き立てる うえで効果的です.

酸味は食酢だけでなく,ゆず,すだち,果実酢,トマト,ケチャップ など料理とうまく合わせて利用します.




◆油脂類をじょうずに使い,油特有のコクと風味を生かします


揚げ物は,材料の表面を油で覆うので,材料の旨味を逃がさず,また,油特有のコクと風 味が加わり,薄味でおいしく塩分の節約ができます.




◆香辛科を利用して食塩を節約


少量の香辛料の利用によって味が引き立ち,食欲不振も解消されます.

じょうずな香辛料 の使い方は,日本料理の場合はほとんど仕上げに使い,西洋料理,中国料理では2〜4種 類ぐらいを組み合わせた使い方をします.




◆だしやスープの旨味を生かします


煮物のときは,濃いめのだしを使って旨味をプラスします.

旨味を生かすには,塩分を控 えたほうが効果的です.
砂糖,しょうゆも控えめとします.






急性腎不全調理にあたっての留意点






治療用特殊食品には,それぞれの食品がもつ特徴があり,その特徴をよく理解して適正に 使用しないとせっかくのよい性状が生かされません.




◆粉あめ 


砂糖を使用する料埋にはすべて利用できます.

ただ多量に使用した場合,味覚的に若干の 欠点があります.




◆カロライナー


おいしくするためには,少量の砂糖と併用するほうがよいでしょう.

また,自然な形でエ ネルギーの確保をする場合は,よく練り込む料埋か,寒天で固める調埋法が最も効果的で す.
ただし,固める場合,ゼラチンは不向きです.

一方,野菜料埋に用いるときには,浸 透圧の関係で脱水を生じるので使用量に注意します.




◆マクトンオイル


揚げ物の場合,融点が低いため衣に色がつかず,若干の視覚的不満が残ります.
炒め物な どにはよいでしょう.




◆マクトンパウダー


従来のマクトンI650やマクトンM740を改良したもので,簡単に水に溶けるため, いろいろな献立に利用できます.

シチューやチャーハン,ピラフ,煮物に,また,クッキ ーやアイスクリーム,シャーベットなどに用いることができます.




◆マクトンゼリー


1個25gでエネルギーは100kcal.ジャムとマーマレードの2種類あり,そのま ま用いられます.




◆でんぷんもち


パックのままボイルして,軟らかくなったらそのまま5分ぐらい放置して使用します.
そ のほうが歯ごたえがありおいしく食べられます.

また焼く場合には,遠火でゆっくりと気 長に焼きます.




◆でんぷんめん(きしめんスタイル)


茄でて冷やし,つけめんにすると口当たりがよく,量的にも抵抗なく食べられます.

くず きりと同じように蜜をつけて食べてもよいし,また,揚げ葉子にするなど調埋の方法を変 えることで,趣きの変わった味わいが出ます.






腎盂腎炎の調理にあたっての留意点






減塩食をつくるには,材料の持ち味をできる限り生かし,酢や香辛料をじょうずに使った り,だしやスープの旨味を生かすように工夫することが大切です.




◆煮物の場合


昔からの言い伝えに,煮物の味付け順序は,「サ・シ・ス・セ・ソ」とあります.




サ=砂糖


材料に甘みを含ませるときは,先に砂糖を入れ,塩味は後に入れます.




シ=塩


材料に早くしみこむ性質をもっていますので,煮物の場合,砂糖の後に入れます.先に入 れた場合,塩味のききすぎは修正ができません.




ス=酢・セ=しょうゆ・ソ=みそ


これら3種類の調味料は醸造してつくられた調味料です.

香りと独特な味をもっているの で,特徴を生かした使い方にします.
南蛮漬,みそ汁,田楽,寄せ鍋など料理によっては 煮ながら酢,しょうゆ,みそなどで味をしみこませることがあります.
この場合は,いず れも一度に全量入れず,少し残して仕上げに加えると,いちだんと風味と香りが高まりま す.




◆和え物の場合


素材に下味を付け,合わせ調味料は別につくっておき,食べる直前に和えます.




◆炒め物の場合


生臭みのあるものは,先に下味を付けておくか,しょうが,にんにくなどの香辛料で臭み を取り消し,強火で炒めた後,最後に調味料で味付けします.




◆揚げ物の場合


揚げる前に調味して衣をつけて揚げる場合と,下味だけで揚げてからソース類をかける場 合と,てんぷらのように,味なしで揚げてからつけ汁をつける場合とがあります.
いずれ の場合も,油も一種類でなく,ごま油と混合して使用すると香りと旨味が加味されます.




◆蒸し物の場合


少量の調味料で下味を付けて旨味を引き立てるか,でき上がった上にソースか,だしのき いたあんをかけます.




◆焼き物の場合


調味液に漬けてから焼く場合と,たれなどつけながら焼く場合と,素焼きにして調味料を つける場合があります.









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