生活習慣病
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急性腎炎
食事療法の基本方針
急性腎炎は,腎臓の糸球体が比較的急激に障害されたために,
(1)血尿とたんぱく尿,
(2)むくみ(浮腫),
(3)高血圧,
などの特徴的な症状が現われます.
一方,これらの症状があるときには,多くは血液中に老廃物が蓄積します.
急性腎炎は発
症して7〜10日間くらいを極期(急性期:乏尿期と利尿期),その後を回復期といい,
一般に3〜6か月で自然寛解の傾向がみられる,
経過の良好な疾患です.治療の基本は,
安静,保温と食事療法ですが,とりわけ食事療法が大切です.
その病期に
応じて食事の内容は異なります.
◆極期
◆塩分・・・乏尿期は無塩,利尿期は3g以内に
はじめの1週間(乏尿期)は,腎臓からのナトリウム排泄が悪いため,ナトリウムが体内
に蓄積して,むくみや高血圧を引き起こします.
したがって,食塩は厳しく制限して無塩
食とします.
この場合,食品に自然に含まれている1〜2gほどの食塩は仕方ありません
が,みそ,しょうゆなどの食塩を含んだ調味料(添加食塩)は使わないようにします.
利尿がついたら(利尿期),添加食塩は3g以内の範囲で用いてもよいでしょう.
水分・・・1日水分量は〈前日の尿量+500ml〉
むくみや乏尿(1日500ml以下の尿量)のある極期では,塩分と同時に水分も制限し
ます.
水分摂取量は,前日の尿量に500mlを加えた量にとどめます.
たとえば,前日
に400mlしか尿が出ない場含には,く400+500=900ml>以内に水分摂取
をおさえる必要があります.
尿量が多くなってきたら,しだいに水分摂取量を増やしてもよいでしょう.
◆たんぱく質・・・厳しい制限,エネルギー源は糖質や脂質で十分に
発病初期は,腎臓の働きが低下して尿素窒素などのたんぱく質の分解産物(高窒素血症)
が血中に蓄積するため,1日のたんぱく質の摂取量は25g以下に制限します.
一方,エ
ネルギーの摂取不足は,摂取したたんぱく質をエネルギー源として消費して,血中の尿素
窒素を上げるため,腎臓に負担をかけずにエネルギー源となる糖質や脂質類を十分にとる
必要があります.
◆カリウム・・・高カリウム血症のときには制眼
乏尿やむくみのある発症初期には,腎臓からのカリウムの排泄障害があり,しばしば血中
カリウムの上昇(高カリウム血症)を招きます.
高カリウム血症は,心臓を停止させる恐
れもあるので,カリウムが多く含まれる食品のとりすぎには注意します.
極期には,1日
1,000mgに制限します.
利尿がついたら,カリウムを制限する必要はありません.
◆香辛科で食欲抵下を防ぎます
辛子,わさび,こしょう,カレー粉などの香辛料は,以前は腎臓への害が考えられ制限さ
れていましたが,現在では,通常の量であれば害にはならないといわれています.
むしろ
,香辛料は,塩分の少ないことによる食欲の低下を補うので,おいしく食べられるように
じょうずに利用することがすすめられます.
◆回復期
多くの場合,発症後2〜4週間を経過しますと,尿量が増え,むくみは消えはじめ,血圧
も下がって回復期に入ります.
この時期になったら厳しい食塩の制限を緩和します.
腎臓
の働きもかなり改善してきますから,たんぱく質の摂取量も徐々に増やします.
◆症状がなくなったふつうの食事に戻します.
◆塩分は普通食の半分量(3〜5g)で
◆回復期は,添加食塩も1日3〜5gに増やします.
添加食塩3〜5gの食事とは,ふつうの食事の中で,みそ汁,漬物,魚の干物,佃煮,市
販の加工品など塩分の多く含まれる食品を避けて,みそ,しょうゆなどの使いすぎに注意
する程度の食事です.
◆たんぱく質は普通量(1.0〜1.3g/kg)で
たんぱく質の量もしだいに増やし,1日量は体重1kg当たり1.0〜1.3gとします.
◆水分
利尿がついてむくみがなくなれば,水分を制限する必要はありません.
慢性腎炎(肝機能正常)
食事療法の基本方針
慢性腎炎は慢性の腎臓病の中でも最も患者数の多い,ありふれた病気であるにもかかわら
ず,大部分は原因がはっきりせずに経過が長引くというやっかいな病気です
.無症状で単
にたんぱく尿だけが続く例から,しだいに進行して尿毒症状を示す例など,いろいろのタ
イプがあります.
◆慢性腎炎の治療は,急性腎炎と同様に,仕事や運動などの日常生活の管理と食事療法,薬
物療法などが大切です
◆食事療法の不要な場合もあります
食事の基準は,症状と病気の重さによって決める必要があります.
慢性腎炎というと,と
かく食塩とたんぱく質の制限を行いがちですが,病気の状態によっては食事療法がほとん
ど必要でない場合もあります.
◆症状が安定し,腎機能に異常を認めない慢性腎炎の人(腎機能正常者)では,添加食塩を
制限するほかは,運動の制限もなく,食事もほとんど普通食と変わりありません.
以下,ほぼ腎機能の正常の慢性腎炎患者の食事ついて述べます.
腎機能正常者の食事療法
◆塩分は1日6〜8gに
むくみや高血圧を予防しなければならないので,添加食塩は,1日6〜8g程度の制限が
必要です.
◆水分・・・むくみがなければ,水分制限の必要はありません.
◆たんぱく質・・・たんぱく質は,健康人よりやや少なめとします.
◆エネルギー量・・・1日30〜35kcal/kg
摂取エネルギー量はとくに制限することや,余分にとる必要もありません.
体重1kg当
たり30〜35kcalを1日の目安量にするとよいでしょう.
◆カリウム・・・とくに制限することはありません.
◆嗜好品・・・アルコールは日本酒1合かビール1本程度に
アルコールは,医師から禁止された人を除くと,いずれも適度なら差し支えないと思われ
ますが,なるべく控えたほうがよいでしょう.
とくに適量のアルコール摂取は,アルコー
ルそのものの害よりも腎臓に対する負担が増して,しばしば病気を悪化させる原因になる
ので慎むべきです.
飲むとしても日本酒1合かビール1本程度と思われます.
急性腎炎調理にあたっての留意点
◆無塩食をおいしく食べるための工夫を
工夫すれば,無塩食といっても必ずしもまずい食事ではありません.
この場合,味を引き立てるために,
(1)食品のもっている自然の旨味を利用する,
(2)酸味や風味を生かす,
(3)油の料埋を取り人れる,
(4)香辛料を使う,などの調理工夫をします.
◆水分制限をじょうずに行うための工夫を
1日の食事に含まれる水分は,汁物など水分の多いものを除いても,1日約600mlく
らいはあるといわれています.
水分制限のあるときには,かゆやスープなどの水分の多いものは避け,1食はパンやもち
などにすると,水分の摂取を少なくすることができます.
慢性腎炎調理にあたっての留意点
減塩食をおいしくつくる工夫
食塩制限食は,薄味で食べにくいため食欲も低下しがちです.
次のような工夫が滅塩料理
をおいしくつくるポイントとなります.
新鮮な材科を
魚でも野菜でも,薄味のほうが素材の持ち味を生かしたおいしい料理になります.そのた
め,新鮮なものを選んで使います.
◆塩分は重点的に
全部の料理に塩分を均等に分けて使うよりも,むしろ煮物など1品に重点的に味付けをし
たほうが効果的です.
◆酸味,香辛科,油,かたくり粉などの利用を
食酢,レモン,ゆずなどの酸味を使うと酢の物やサラダは味がひきしまり,また,魚,肉
類などは焼いて焦げ味をつけると味が引き立つので,少量の塩分でもおいしく食ベられま
す.
◆揚げ物,炒め物など油を使った料理は,油そのものの旨味で無塩でも食べられます.
◆きのこ,昆布,かつお節などの旨味のある食品は,薄味でもおいしく食べられます.
◆こしょう,辛子,カレー粉などの香辛料やごま,しそ,木の芽などの香りのする野菜は,
薄味を補い料理をおいしくします.
◆煮物などの煮汁をかたくり粉でまとめると,とろみの味のために煮物が食べやすくなり,
塩分の使用量は少なくてすみます.
◆煮物は甘味を抑えて
一般に甘味を濃くしたいときに,味をよくするために同時に塩分も儂くしなければなりま
せん.
煮物などは,しょうゆや食塩を減らすだけでなく,砂糖の量も少なめにするとよい
でしょう.
◆汁物は具の量を多めに
みそ汁は汁の量をふつうの2/3くらいに減らして,その分,実をたくさん入れると,み
その量が少なくてすみます.
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使用しないで下さい。

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