生活習慣病
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下痢症






食事療法の基本方針




◆下痢の治療の方針は,下痢を伴う疾患のタイプによってそれぞれ異なります.


急性下痢の食事療法の進め方は急性胃炎の場合と変わりませんので,ここでは,病気のいかんにかかわらず,まず下痢 が止まり,食事が全がゆまで回復したとき,再度,下痢を繰り返すことがなく,予防でき る食事について述べます.




◆食歴を確認し下痢のしやすい食品を避けます


下痢をした人は下痢への恐怖感にとらわれて,食事ができなくなり,低栄養をきたすこと がままあります.
牛乳を飲むと下痢をするというような禁止食品は避け,それにかわる食 品を選択します.




◆腸に刺激を与えない 


冷たい飲物,油の多量摂取,食物繊維(不溶性)の多い食品,香辛料,発酵を起こしやす い食品などは,腸粘膜を刺激して下痢を増悪させるので控えます.また,野菜は生を避け ,煮物など加熱料理にします.




◆食物繊維は1日10g程度に 


固い不溶性の食物繊維は1日10g程度までとし,かつ消化のよい調理方法を選びます.
水溶性の食物繊維は,胃内で撹絆され,ゼリー状になり,消化されやすい状態になります から,とくに制限はありません.




◆3回食が無理なら5〜6回食に 


一度の食事量が多いと、お年寄りや子供には消化菅に負担がかかりすぎて下痢を再発する ことがあります.
食前に,通常の量より多くないかどうか確認し,一度に食べるのが無理 なら,5〜6回食とします.

 全がゆを食べられる時期には,脱水症状はないと思われますが,飲み物はカフェインの 少ない番茶がすすめられます.




◆下痢のあと2週間以内を目安に普通食に戻します


栄養基準量は,下痢の再発予防が優先ですから,全がゆ食においては,健康時の必要量よ り低くなります.

しかし,厳重な食事療法を長く続けることはかえって低栄養状態を招き ますから,普通食に戻すのは下痢後約2週間以内ぐらいを目安にするとよいでしょう.
普 通食の栄養基準量は各年齢層および労作に準じた健常人の8割ぐらいとし,自信がついた ら健常人と同程度に上げます.
この栄養量を満たすためには,まずどの食品(食品構成) をどのくらい(分量)摂取するかを決めます.
次に具体的に食品選択を行うわけですが, 毎食毎回の栄養素のバランスがとれるように選択することが前提です.その際,ここに掲 げた項目を参考にするとよいでしょう.

本書に掲載した下痢の場合の献立例は,全がゆ食 (1,600kcal)が基準になっています.軟飯や普通食になったときには,副菜の 食品構成はそのままにし,主食の量だけをその人に合った量に変更すれば基準量が満たさ れるようになっています.
ただし,お年寄りや幼児については異なります。






下痢症の調理にあたっての留意点





下痢の再発を予防する食事療法は,食物繊維の種類と量,消化吸収のよい調理方法がポイ ントとなります。




◆殻類・・ご飯は全がゆ,軟飯にします.

うどんは焼きうどんのような油を多く使う料理は避けます.パンもよく,トーストにマー ガリンは消化のよい組み合わせです.




◆いも類・・食物繊維が多く含まれていますが,水溶性なので使用できます.

ただ,さつま いもは発酵しやすいので,避けたほうがよいでしょう.
料理は煮物中心になりますが,長 いもは煮るよりすったほうが消化がよくなります.




◆果実類・・一般に水溶性の食物繊維を多く含んでいます.

軟らかい果実や,バナナ,もも ,メロン,りんごなどを選び、柿(干し柿も含む),なしなどは不消化のため避けます.
フルーツ缶や煮りんごなどもかまいません.ただ果物は発酵しやすいので,食品構成どお りにとります.




◆魚介類・・カキ以外の貝類は避けます.

魚は100g当り脂質が10g以下を目安にして 選択します.塩漬したものや干物は避けます.




◆肉類・・脂肪のない肉や,加熱すると固くなる肉質の牛肉や豚肉は避けます.

挽肉,ささ 身,若鶏,鶏レバーを使い,蒸したり,煮たりします.脂肪の少ない部位ならハンバーグ でもよいでしょう.




◆卵類・・調理は半熟を基本にします.

卵は油の吸収がよいので,テフロン加工のフライパ ンを使用するのも一方法です.




◆豆および大豆製品・・豆腐や焼き豆腐はよいのですが,一般に豆類は発酵しやすいので避 けたほうがよいでしょう.




◆乳類・・牛乳をそのまま1本という方法は避け,クリーム煮や牛乳ゼリーのように,料理 の形で使うようにします.

乳糖不耐症の人には,乳糖を分解する乳酸菌が入っているヨー グルトがすすめられます.




◆油脂類・・フライ,てんぷらは油を多量に摂取することになりますので避けます.

フライ パンにサラダ油を薄くひいて調理するような料理ならよいでしょう.マヨネーズ,マーガ リンなら1日10g程度は大丈夫です.




◆緑黄色野菜,その他の野菜・・野菜の摂取量が多いと,食物繊維が多くなります.

1食当 り合わせて100g以内を一応の目安とします.
葉菜類はおひたしまたは煮びたしにしま す.根菜類はおろしても生食は避け,煮たり蒸したりして軟らかく調理します.
100g 中の食物繊維が多くても,少量ならば使います.




◆海藻類・・含まれている食物繊維が水溶性なので使用してもよい食品ですが,よく噛まな いと消化されません.

加工された味付けのり,のり佃煮,寒天などを選びますが,ひじき やわかめは普通食が食べられるようになってからのほうがよいでしょう.




◆調昧料・・砂糖,みりんは甘すぎないように使うこと.

酢,香辛料は避けます.料理の酒 はアルコール分がとぶので,使用してかまいません.




◆嗜好品・・アルコール飲料,コーラなどの炭酸飲料,コーヒー,甘すぎるお菓子は避けた ほうがよいで、しよう.









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