生活習慣病
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胃・十二指腸潰瘍
食事療法の基本方針
◆重症では絶食から流動食
消化管出血(吐血,下血)を伴う重症のケースでは,入院により2〜3日の絶食後,流動
食3〜5日の絶対安静期を経て,おまじりから三分がゆを3〜5日続け,食欲が出はじめ
るころには五分がゆ→全がゆ→常食へと進めてゆきます.
◆ 軽症では刺激物や胃液分泌を促す食品を避けます
軽症の場合には,胃の庇護に留意しながらふつうの生活を行い治療をします.
基本は,潰瘍部位に直接刺激を与えず,胃の運動と胃液分泌を抑制することに重点をおい
て,各栄養素を十分補給していくことにあります.
これは症状の軽減と潰瘍の治癒を促進
するとともに,全身の栄養状態を高め,再発防止を目的とするものです.
@胃内停滞時間が短く,消化のよい食品を選びます・・・半熟卵,牛乳・乳製品,白身魚
,刺身,牛肉薄切り,パン,ご飯,もち.
A胃の運動や胃液分泌を促進する食品は避けます・・・アルコール,コーヒー,コーラ,
香辛料の多量摂取,酸味の強い食品,脂肪の多い食品.
B潰瘍部を直接刺激させないこと.とくに冷たすぎ・熱すぎの食事を避け,残渣の多いも
の,過食・過飲を慎みます.
C少量で栄養価の高いものとします・・・卵,生クリーム,チーズ.
D食事は規則正しく決められた時間に摂取します.
E早食いの習慣はやめて,ゆっくり,よく噛んで食べます.一口入れたら20〜30回は
噛むようにします.
Fゆっくり楽しみながら食事をとります.
G食後はゆったり休息をとります.
Hたばこ,アルコールは避けます.
I副食の固さとしては,五分がゆから全がゆを用い,米飯になったら軟飯にして,主食と
間食の量でエネルギーを調整します.
全がゆ,常食になるとエネルギー量を増やし,1日
l,600〜2,000kcal(体重1kg当り35〜40kcal,たんぱく質は体
重1kg当りl.2〜1.5g)とします.
胃切除術後
食事療法の基本方針
◆術後の胃腸に合わせて,積極的な栄養補給を
消化管の手術後は,組織損傷部の回復と,体力の回復のために高エネルギー・高たんぱく
質の食事が必要です.い食事量の不足は,低栄養状態,術後合併症の原因となるため,積極
的な栄養補給をします.
そのため,手術後は,小さくなった胃,短くなった腸に対応して
いくために,無理なく,安全に十分な栄養補給ができる食事計画を立てなければなりませ
ん.
したがって,術後食事方針の第1には,消化管機能の減弱した状態と食欲に合わせ,
段階的に食事をすすめることが必要です.
第2には,最小の量で最大の栄養量を吸収しや
すい形で与えることです.
第3にとくに胃手術後の場合は,減少した胃容積に適した食事
量を分割して与えることになります.
なお,手術の種類別に応じた術後食の摂取経過を表
1に掲げておきます.
胃切除術後の調理盛りつけにあたっての留意点
術後食の調理の基本は,素材を流動状にしたり,ぺ一スト状にしたり,おろしたり,刻ん
だりして,消化・吸収を容易にする調理方法を選ぶことです.
また,とくに新鮮な食品を
使用するとともに,加熱して食品衛生上の安全性を高めることが重要です.
手術後は創部
に対する不安感が大きく,しばしば心理的な摂食不振がみられますから,次に述べるよう
な食べさせるための工夫が大切です.
献立作成時のポイント
@皿数を多くします(一品のボリュームが少なくなるので,手をつけやすい).
A味の組み合せにできるだけ変化をつけます(しょうゆばかり,砂糖ばかりでは素材の連
用と同じで飽きがきます).
Bおかゆをおいしく食べさせるために,悔干し,練りうに,たいみそ,のり佃煮,金山寺
みそなどを添えます.
C食後の満足感が味わえるようなデザートを用います.この場合,市販品で材料が不明確
なゼリーやお菓子類ではなく,栄養価の高い病人用のデザートを用いるようにしましょう
.
消化態栄養剤を用いた手づくり品は,安心感を高めます
D食欲が出るように,香りと色彩に心を配ります.
しその葉,レモン,ゆず,かぼすなど
のかんきつ類,パセリ,サラダ菜,チェリ一缶など,さりげなく添えてみましょう.
調理・盛り付けのポイント
@料理の素材がわかるように調理します.
術後の食事はどうしても素材や調味料が限られてしまいますから,見た目で食べさせる工
夫が大切です.また,素材がわかると安心感も得られます.
たとえば,そぼろ風やぺ一ス
トにすると,素材がわからなくなってしまいますから,魚は蒸し焼き風にしたり,たっぷ
りの煮汁で煮ます.
野菜類やいも類はlcm角切りにして圧力鍋などを利用して調理する
と軟らかくなります.固さとしては,口の中に入れて噛まずに溶ける状態になっているこ
とが望ましいといえます.
A一般に盛り付けの際には,器には7分目程度の盛り付け量とし,器の空間を見せるよう
にします.
B術後の食事は,創部への刺激を避けるためにとくに適温の食事が望まれます.
温食は体
温+25℃,冷食は体温−25℃と,体温との差が25℃ぐらが快適とされています.し
たがって温度刺激が少なく,おいしく感じられる温度は,一般的に高いほうでは60〜7
0℃,低いほうでは12〜15℃で盛り付け,配食するのがよいでしょう.
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