生活習慣病
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動脈硬化症
食事療法の基本方針
◆適正エネルギー量
動脈硬化症の食事管理でもっとも基本的なことは,エネルギー量の適正化です.
年齢,性
別,体重,運動量,合併症などを考慮してその人のエネルギー所要量を決定します.
◆動脈硬化症の各危険因子に対する配慮
高血圧に対しては,適正エネルギー量で体重コントロールをはかり,肥満を防止します.
肥満度の高い場合は,エネルギー量を標準体重当りの計算値から10〜20%減量します
.
付加食塩は1日6g程度としますが,降圧剤との併用時には極端な減塩食は避けます.
また,利尿剤の使用に伴うカリウムの喪失を予防するために,カリウムの補給に注意しま
す.
とくにカリウムはたんぱく質中に多く,たんぱく質は腎不全期でないかぎり制限不要
です.
むしろ,魚介類の含硫アミノ酸は降圧作用をもつので積極的に摂取します.また,
魚油中のエイコサペンタエン酸(EPA.またはイコサペンタエン酸IPA)・ドコサヘ
キサエン酸(DHA)は抗凝固因子として動脈硬化症の治療に有効です.
また,指示され
た1日のエネルギーの範囲内で,コレステロール降下作用のあるリノール酸の多い植物油
を使用します.
便秘を予防して血圧の安定をはかるため,食物繊維を十分とり,リズムの
ある生活を心がけるなかでスムーズな排便を習慣づけます.
食品選択・調理にあたっての留意点
★コレステロール指数(CIJ)の活用
食品の血清コレステロール濃度に対する影響の強さは,飽和脂肪酸(S)による上昇,多
価不飽和脂肪酸(P)による低下,食品中コレステロールによる上昇,の順ですが,食品
中にはSは少ないけれどコレステロールの多いものや,コレステロールは少ないけれどS
が多いなど,食品の選択に迷うものも多くあります.
この食品中コレステロール値と脂肪
酸組成を一元化し,食品の脂質含量やそのエネルギーに対する考慮も行った指数がコレス
テロール指数(Cholesterol lndexforJapanese=ClJ)
で,その指数を加減することにで血清コレステロール,とくにLDLコレステロールの増
減を予想できるわけです.
食事療法開始にあたっては,これまでの食生活の実態をよく把
握し,そのClJより下回る組み合わせを行うようにします.
★食品交換表による食品選択
食品選択にあたっては,エネルギーのとり方にもっとも関係のある『糖尿病食事療法のた
めの食品交換表』の活用が能率的です.
★各食品のとり方
○牛乳
高LDL血症の場合には,低脂肪乳,脱脂乳と交換します.
○肉類
肉類の脂質は飽和脂肪酸が多いので,脂質の少ない部分を用います.鶏肉は皮なしを使用
します
○魚介類
魚の脂質は多価不飽和脂肪酸が多く,動脈硬化症には効果的な脂質ですが,酸化すると過
酸化脂質となり有害です.
魚介類は干物を避け鮮度に注意して使用します.
○油脂類
調味料の油はすべて常温で液体のものを使用します.
バターは高リノール酸マーガリンヘ
,ラードはサラダ油へ切り替えます.
○大豆製品
毎日使用したい食品です.大豆はP/S比が高く,高脂血症に効果的である一方,大豆た
んぱく質もコレステロール低下作用に関係があるといわれています.
○食物繊維
食物繊維を十分にとるためには,主食を高食物繊維とすることと,野菜を1日300g以
上摂取する工夫が必要です.
調理にあたっての留意点
★植物油の酸化防止
一般に,油脂の酸化は常温でも自動酸化が行われますが,その環境によって進行が異なり
ます.
貯蔵温度が高いと反応は速く進行し,とくに光は著しく酸化を促進させます.
植物
油には天然の抗酸化剤であるビタミンEが含有されていますが,揚げ物に連続使用するこ
とは避けます.植物油はマーガリン,ドレッシング,マヨネーズなど加熱しないで用いま
す.
★煮物で流出するカリウム
カリウムは調理上の損失が多く,とくに茄でるとその流出が多くなるので,野菜は炒める
,生食にするなど調理法に注意します.
ただし,腎不全期などカリウム制限食の場合には
その逆となります.
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