トプコン ベセラー スーパーDの修理


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 東京光学の技術を結集した名機REスーパーが登場したのが1963年である。記念すべき世界初のTTL一眼レフカメラの登場である。これの海外版がベセラー社向けに提供されたスーパーDである。この固体は正面向かって右肩にロゴがある前期型である。以前に一時期REスーパーを所有していたが、稼働率が低く手放してしまっていた。ただ標準レンズのREオートトプコール58mm F1.8の写りが忘れられず、安い個体を探していたところ少々難あり品にめぐり合った。本当はF1.4も試してみたいところであるが、こっちはめっぽう高く、ちょっと試しにという価格相場でないことが残念である。
 本機は角にあたりがあること、露出計の動作がおかしいという難点はあるものの、シャッター動作は問題なく、レンズもきれいな状態であった。
 露出計は電池を入れると、明るさに応じて針は振れるが、シャッタースピードを変えたり、絞りを変えてもどうも動作がおかしい。すぐ黒い物体が出てくるのである。露出計自体は動いているようなので、何とかしたいという思いがわいてきた。きっとメカ的な原因と判断し、分解に取り掛かった。

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 分解しようとまず右肩トップカバーを外すため、巻き戻しノブを外し、その後見えてくるネジを全て外したが、ネジが結構ゆるんでおり、ネジがない部分もあった。どうも分解歴があるようだ。全てのネジを外し、トップカバーを外そうとしたが、前カバーにひっかかって外れない。なんとか力ずくでと思ったがどうしてもだめなので前カバーも外した。これを外すにはレンズストッパーも外す必要がある。このとき小さなバネを飛ばさないように注意が必要である。
 写真でわかるように露出情報は細い鎖で伝達されている。これで露出計のコイルの位置を物理的に回転させているのである。後にキヤノン他の会社はこういうところに糸を使用していたが、さすが初代は鎖である。信頼性を高めるためであろうか。でも鎖の位置が少し変で、ずれているようだ。

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 この鎖はシャッターダイヤル側にも延びている。でもプーリーをちゃんと通っていないぞ!
 左肩のトップカバーも外すことにする。ここで問題発生。巻き上げレバーのかに目ネジが堅くて回らないのである。右にも、左にも回らない。あまり力を入れすぎて傷つけるのも怖くて力の加減が難しい。そもそも順ネジなのか逆ネジなのか?
 ここで一つの仮定を立てた。前述のように分解歴があるようである。ネジが硬いのは前に分解しようとした人が、逆ネジを知らずに固く締めすぎてしまったせいではないか?きっと逆ネジなのだ。と思い込み、時計方向にぐっと力を入れてみた。「うっ、動いたぁ!」
 そう、ここだけは逆ネジで正解でした。ここをクリアすると後は問題ない・・・と思ったのですが、これでシャッタースピードダイアルも文字盤を外し抜き取ると、バネで巻き取られていた鎖が緩んでしまうことが判明。どうも前に分解されたとき、そのために鎖がゆるみプーリーから外れてしまったようである。

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 これが正規の鎖のルートである(と思う)
 この状態で他のカメラの露出計を参考にして鎖のテンションを調整した。このとき最初失敗したのは、ファインダーを搭載せずに調整してしまったため、上部からの光が原因で大幅にズレを生じてしまった。再度ファインダーを搭載して調整をしなおすはめになった。

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 こちらが右側の経路。

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 こちらが左側である。



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