展示品 イチゴの新品種


品種名 と ち お と め
種苗登録 登録 (左の年月日)平成8年11月21日
育成の経過 促成栽培に適する大果系優良品種の育成を目的に、平成2年に「久留米49号」と「栃の峰」を交
配し、得られた実生519個体の中から、90−12−25の1系等を選抜した。2ヵ年間の特性検定試験の結果、大果で食味がよく、収量性も優れたことから、平成5年に系統名を「栃木15号」とし、現地での適応性を確認して、平成6年6月に種苗登録の出願をした。平成8年に「とちおとめ」と命名され、同年11月に品種登録された。
特   性 草姿はやや立性で、草勢は旺盛、ランナーの発生も良い。葉は濃緑色で、厚く大きい。花芽分化期は女峰とほほ同程度で、平地育苗で9月20日、25日頃となる。頂花房の着花数は、15花程度で女峰より少ない。
果実は円錐形で、大ささは女峰より大きく、平均果汁は15g程度となる。果皮色は鮮赤色で光沢が優れ、果肉部は淡紅色で女峰よりやや淡い。糖度は女峰より高く、酸度はやや低く、多汁質であるため食味は極めて良い。果皮、果肉とも女峰より硬く、日持ち性は優れる。
病害虫に対する抵抗性は特になく、女峰と同程度と考えられる。

品種名 愛 知 4 号
種苗登録  品種登録申請中       (左の年月日)平成9年8月13日
育成の経過 愛知4号は、果実が大きく、揃いが良く、食味良好かつ収量性が高い促成栽培用品種として、1991年に系506、系507を交配して得た系統から選抜した。育成当初の呼称は、系514であった。

あかねっ娘+アィベリー=系506
リングモールー +とよのか=系507」          
      
 系506 +系507 = 91−506−507−6 →  系514(愛知4号)

 
特   性 @開花、収穫期は女峰と同様かやや早く花のそろいは安定して良い。
A連続出らい性で、女峰、あかねっ娘より早期収量、総収量とも高い。
B果形は、球円錐形〜円錐形で、果実の揃いは良い。食味は良好で、着色、つやはあかねっ娘と同等かややよい。
C休眠は非常に浅い。また、花は株から出て咲くので、ジベ処理不要
そ の 他 @炭そ病、うどんこ病抵抗性は女峰程度である。
A樹勢が強く、管理しやすいが、高温時〜初冬にはチップバーンが発生しやすい。

品種名  愛 知 5 号
種苗登録 品種登録申請中       (左の年月日)平成9年8月13日
育成の経過 愛知5号は、果形、揃いが良く、日持ち性に便れ、奇形果の発生が少ない、促成栽培用品種として、1993年に系510(愛知3号)、麓紅を交配して得た系統から選抜した。育成当初の呼称は、系519であった。      
リンダモール+ク ル ズ=系505+ 女峰 = 系510
 系510 + 麓 紅 =  93−510−1−1→ 系519(愛知5号)      
   
特   性 @円錐の整形果で、非常に揃いが良く、奇形果(不受精果)の発生は少ない。平均1果重は、女峰より大きい。
A果皮は女峰より硬く、日持ち性は女峰と同様に良い。果実は、果皮は鮮紅色でやや濃い。果肉も赤く、いわゆる「業務用」として適する。
B炭そ病抵抗性は女峰程度でやや弱いが、うどんこ病には、「あかねっ娘」程度でやや強い。
C収穫期、収量は、女峰と同等であるが、小玉果が少なく、秀品率が高いので収益性が高い。
そ の 他 @炭そ病抵抗性は女峰程度である。              
A樹勢を強くしすぎると、開花が遅れることがあるので注意する。

品種名 奈 良 7 号(仮称)
種苗登録 申請中 (左の年月日)平成8年3月25日
育成の経過 1992年4月に「アスカウェイブ」に「女峰」を交配して得られた約3000の実生個体の中から、1993年1月に個体選抜を行って34個体を選抜した。1993〜4年に系統選抜を行って1系統を選抜(系統番号4−1−34)し、この系統について1994〜5年に特性および生産力試験を行うとともに、これらと並行して現地適応性試験を行った。
特   性 草姿は中間で、草勢は「とよのか」、「アスカウェーブ」より強い。葉は大きくて厚く、濃緑色である。ランナーは太く、発生が多い。保温後の腋芽の発生は少ない。花芽分化は無仮枯育苗の場合
9月20日頃で、「とよのか」、「アスカウェイブ」より早い。促成栽培での開花始めは11月初旬で、収穫始めは12月上旬である。休眠は「とよのか」と同程度で短く、5℃以下の低温要求量は約100時間である。
果形は短紡錘形で大果である。平均果重は「とよのか」、「アスカウェイブ」より大きい。
果皮色は鮮赤で、冬期・寡日照下では橙赤となる。果肉色は淡紅である。果皮は強く、光沢が良い。果肉は粘度が高く、多汁質である。
食味が良く、果実の糖度は「とよのか」、「アスカウェイブ」よりやや高く、酸皮は「とよのか」と同程度で「アスカウェイブ」より高い。
促成栽培での収量性は「とよのか」より高く、「アスカウェイブ」と同程度であるが、初期収量が高く、平均果重が重い。
萎黄病、うどんこ病、炭そ病には羅病性である。うどんこ病には「とよのか」より強く、「アスカウェイブ」より弱い。

品種名 さ ち の か
種苗登録 登録 (左の年月日)平成8年2月2日
育成の経過 昭和62年に促成栽培に適した早生性を有し、大果で収量性が高く、食味・香気に煙れ、果実硬度も比較的高い「とよのか」を種子親、極大果で着色の優れる「アイベリー」を花粉親とした交配から、実生280個体を養成し、露地裁培により優良特性を有する36個体を選抜した。これらについて、
昭和63年〜平成3年にわたり、仮植床育苗による促成栽培により系統選抜を行い、着色、果実硬度、果形と果実の揃い、商品果率に便れ、また、糖度が安定して高く、食味の良い系統「8703−01」を「久留米52号」と命名した。そして、平成4年〜7年にかけて特性検定、系統適応性検定試験を実施した結果、本系統は新品種として有望であると判定され、「さちのか」として命名、登録された。
特   性 (1)頂花房の分化期は「とよのか」、「女峰」より数日遅く、やや晩生であるが、連続出蕾性に優れ、
厳寒期のわい化も極軽く、促成栽培に適する形態特性を有する。
(2)草姿は中間〜やや立性で、果梗長がやや長いため、着色促進のための「玉出し作業」や果梗伸長のためのジベレリン処理を必要とせず、省力的である。
(3)普通促進栽培における早期収量及び総収量は「とよのか」と同程度である。また、ポット育苗
あるいは夏期低温処理による早出し促成栽培における年内収量は「とよのか」の50%〜同程度だが、総収量は同程度である。
(4)果実は「とよのか」より小さいが、光沢・着色が優れる。また、果形が良く整い、果実硬度が「とよのか」より約20%高いため、収穫・選果・パック詰めの作業性に優れ、輸送性・日持ち性も高い。「とよのか」より香気は弱いが、糖度が高く、肉質が緻密で、食味は極めて良好であり、ビタミンC含量も高い。
(5)特定病害に対する抵抗性はないが、うどんこ病の発生は「とよのか」より少ない。
そ の 他 農林登録は平成8年8月21日(いちご農林20号)

品種名 あかしゃのみつこ
種苗登録 登録(左の年月日)平成7年8月17日  
育成の経過 育成にあたって最低条件として「女峰」「とよのか」と比較して色の鮮やかさ、果形、光沢、日持ち、果実が大きいこと等の六つの条件をすべて上回ることを目標とし、1990年母「アイベリー」に父「女峰」を交配して得られた品種である。

特   性

1)植物体の特性は、葉の形状が平面であること、ランナー数がやや少ないことなどを除いて、草姿、草勢、草丈などは「女峰」と大差ない。
2)果実特性は、上記の目標をほほ達成している。
3)収量性は、平均1果重が23g前後であり、4月末まで60〜80個収穫可能であることからかなり多収である。            
そ の 他
施肥にあたっては、分解の遅い肥料を使用し、「とよのか」の半分を目安とすること。 電照は必使用すること

 

品種名 佐賀2号
種苗登録 申請中 (左の年月日)平成9年3月
育成の経過 平成3年に草勢が非常に旺盛で、かつ立性を示し、果実が大果の「大錦」を種子親に食味、香気に優れ多収性の「とよのか」を花粉親にして交配した。交配実生53個体を養成し、促成栽培で優秀な形質をもつ5個体を選抜した。平成4〜5年にこれらについて系統選抜を行い、草姿、果実の着色、
硬度と商品化率に優れた1系統を選抜した。平成6年から生産力・品質、生理生態反応の把握のため
栽培特性試験を行い、平成7年から「佐賀2号」として現地適応性試験を実施した。その結果、新品種として有望と判定されたので、平成9年3月品種登録申請を行った。
特   性 (1)草姿はやや立性で、分げつが少なく、第2花房以降の果梗長は「とよのか」より伸びるので、芽かきや玉だしが簡素化できる。
(2)花芽分化期や開花始め期は「とよのか」よりさらに早く、連続して果房が出曹してくるため、収穫の中休みがない。また花房当たりの花数は少なく、摘花が省力化できる。
(3)果形は円錐形でそう果の落ち込みは小さい。果皮は鮮紅色で光沢があり、果肉色は白である。
(4)果実は溝果がなく、形状に優れ、果実の秀品率、大玉率、収量ともに「とよのか」より高い。また、果皮、果肉の硬度が高いため、収穫、パック詰めがしやすく「とよのか」より出荷調整時間が大幅に短縮でき、輸送生・日持ち性も高い。
(5)果実の香りは「とよのか」より弱いが、糖度が高く、酸度が低いので、食味はよい。
(6)病害に対する抵抗性は特にない。
そ の 他 品種登録申請中の品種名は、登録される前に名称変更をする予定である。

品種名  濃 姫
種苗登録 申請中 (左の年月日)平成7年3月17日 
育成の経過 ・昭和63年交配 アイベリー(♀)× 女峰

・平成3年    岐阜1号(仮称)

・平成7年    種苗登録申請 

・平成8年   「濃姫」(名称変更申請)
果実特性 ・大果(平均果重15.6g)で果形はやや長円錐
・果皮色は鮮赤、果実硬度は軟らかい
糖度は「女峰」、「とよのか」より高く、酸度は女峰より低く、「とよのか」より高い。糖酸比は両品種より高く、食味は良好
生育特性  、
早生品種である(「女峰」「とよのか」と同程度)
草勢は強い
ランナー発生は多い
休眠打破低温積算時間は250時間程度である。
収量性は「女峰」「とよのか」より高い傾向にある。
病害虫抵抗性
炭そ病:「女峰」程度に弱い
萎黄病:「宝交早生」よりやや強い程度
うどんこ病:「女峰」よりやや強い
アブラムシ:「女峰」より発生少ない傾向にある
そ の 他  

品種名 TC−4(仮称)
種苗登録 申請中 (左の年月日)1997年1月10日
育成の経過 1987年に「とよのか」と「千鶴」を交配し得られた実生株約200株から炭そ病、うどんこ病に抵抗性を持ち、早生、大果、多収、良食味で、促成栽培に適する6系統を選抜した。1988年〜1992年にかけて特性検定、生産力検定を実施し、実用性が高いと認められた1系統「TC−4」を選抜した。1989年〜1992年には現地適応性試験を行い、早生性、多収性、耐病性について高い評価が得られ、促成栽培用品種として有望と認められた。千葉県品種問題協議会において新品種として出願が
決定し、1997年1月10日付けで種苗法第7条第12項の規定に基づき登録申請を行った。
特   性 @ 草勢は旺盛で、草姿は「とよのか」に比べ立性、葉色はやや淡く、小葉はやや丸   い。
A 花芽分化期は9月20日頃で「女峰」、「とよのか」と同程度に早い。
B 収穫開始期はポット育苗で12月上旬、平地仮植育苗で12月中旬からとなる。
C 果皮色は鮮紅色で着色は良く、果形は豊円錐型の大果となる。
D 頂花房の花数は10〜12花でやや少ないが、花房の連続出蕾性が強く収量は4   月下旬までで10a当たり5 tと多い。
E 頂果房1〜2番果の糖度は10度程度で、桃の香りとさわやかな酸味があり、食味   はよい。
F うどんこ病、炭そ病に強く、収穫期の殺菌剤散布はほとんど必要ない。
そ の 他 市場出荷および直売や、イチゴ摘み等の観光用に有望である。

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