9月の赤沢

1

砂の中に隠れるオキエソ。見つかるとさっさと逃げ出しますミノカサゴの正面顔。相変わらずあちこちで見かけます
コロダイの幼魚。これもあちこちで見られますヤマドリの顔に大接近
これが問題のシロブチハタ。岩陰からこちらをうかがうような目がかわいいです

台風の影響も消え、波穏やかな赤沢から例によってお届けします。9月に入って道が空いてきたせいか、川越から厚木回りで西湘バイパスへ出て、真鶴は旧道、ビーチラインも使わなかったのですが、順調に4時間で着いてしまいました。でも曇り空で、時々雨もぱらついてきて、天気はあまり良くありません。
それでも海の中はいろいろなものでいっぱいなのですが、なにぶん今回はフォトコンがあるので光が足りなくなるのが心配です。

●今週の珍種
砂地にちょっとした石がごろごろしているところに、シロブチハタの幼魚がいました。黒字に白の模様があって、けっこう目立ちます。石の間に隠れようとするのですが、大した石でもないので、すぐに追い立てられて、外に出てきてしまいます。明らかにハタの形をしているのですが、その小ささはつかまえたくなるほどかわいいです。図鑑によると、成魚はサンゴ礁域に住むとか。南から流されてきてしまったようです。

●今週のどこにでもいたもの
コロダイの幼魚が、あちこちで見かけるようになりました。去年までだと細っこいくねくねしたのは見つかって、その後どこへともなく消えてしまっていたのですが、ことしはだんだん成長して体の形が変わっていくのがあっちの岩陰、こっちの砂地とどこででも見られるようになりました。日に日に大きく成長しているようすがわかるので、このままどんどん育っていって、おとなのコロダイの形に近づいて行くところを見たいものです。

●今週の隠れ上手
砂地にぽつんとあるアンカーに、キヘリモンガラの幼魚が隠れるようにして住みついています。こいつがなかなかの隠れ上手で、ロープづたいに上っていったかと思うと、また戻ってきてアンカーの陰に隠れたりとちょこまか動き回って、写真を撮らせてくれません。やっとアンカーの上で一瞬止まったところでシャッターを切ったKさん、ストロボのスイッチが切れたままでしたよ。

●今週の回遊魚
沖の魚礁で魚を見ていたら、カンパチの10匹くらいの群れがやってきました。ほとんどは遠くをまわっていましたが、中でも好奇心が強いのか、3〜4匹が近づいてきました。ダイバーの回りをぐるぐるとまわって楽しませてくれます。近いところでは1m以内にも近づくほどで、流線型の体をひらめかせて行っては戻り、何回もまわっていきました。そのうち飽きたのか離れていってしまい、遠巻きにしていた仲間と一緒になりました。それにしても、こちらの動きに合わせて行ったり来たりをするカンパチとは、一緒に踊っているような気持ちになります。

●今週のハタタテダイ
台風のせいか、ムレハタタテダイの勢力分布ががらっと変わってしまいました。岸に近いところにいたのはほぼ全滅で、少し深いところ(そして遠いところ)に中心が移ってしまったようです。それでも元気な姿を見せてくれますが、ここにはアオリイカの産卵床の残骸の木の枝があるので、その中に逃げ込んでしまい、先週見られたようなまとまった群れにならないのが、写真を撮るほうとしてはちょっと不満です。でもやっぱりかわいいけどね。

●今週の穴の住人
穴がたくさんあいている岩があり、昔そこにギンポがたくさん住んでいたのでギンポ岩と呼んでいたのですが、いまはその穴の中にイセエビの小型のものが住んでいます。外から見ると2本の触覚だけを出しており、近づいていくと奥に入ってしまうのですが、それでも目玉までは十分見ることができます。細い針金みたいなものがあれば引っぱり出せるのですが、それはちょっとかわいそう。

●今週の滞在者
沖の魚礁の中は、相変わらずゴンズイがひしめき合っています。完全に占領されて、他の魚はかろうじて上の方に居場所があるくらい。それにしても、ここに来てから3週間ほどになるのに、いっこうに出ていく気配がありません。餌はどうしているのだろうかと疑問に思います。それとも、夜の間にみんなで餌を探しに行って、また戻ってくるんでしょうか。ゴンズイたちはこっちの思惑など関係なく、魚礁の中でひしめき合っています。

●今週の黄色い連中
その魚礁に、相変わらずヨスジフエダイが10匹くらい居着いています。先週までは魚礁の上を泳ぎ回っているだけだったのが、今週は上を泳いでいるのあり、魚礁の中に入り込んでいるのありと、ますます群れとしてのまとまりがなくなってきてしまいました。沖縄とかで見ると、だいたい整然とした群れを作っているものなのですが、ここにはその片鱗もうかがわせません。やっぱりサイズがまちまちなので、群れとしての自覚に乏しいのでしょうか。

●ところでフォトコンは・・・
水の色は澄んでいるのですが、浮遊物が多く、決して良い透明度とはいえない中で実施されたフォトコンでしたが、ふたを開けてみればなかなかの力作揃い、海況の悪さを吹き飛ばすような写真が集まりました。SEA&SEAのMX−10に機種を限定したフォトコンでしたが、豊富なアクセサリーにより、変化に富んだ写真が見られました。優勝の写真はカミソリウオ。それを自然光で撮り、カミソリウオがまるでレントゲンを使ったような透明感で写し取られたものでした。でもこれは意図したものではなく、2枚連続して撮ったので後の写真はストロボが光らなかったせいだという裏話です。それでも、バックのブルーがきれいに出ていて、不思議な雰囲気のある写真に仕上がっていました。


戻る 次へ