2000年6月

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6月10日(土)〜11日(日)

6月9日の金曜日の夜に、車で入りました。昼間の嵐の梅雨入りも一段落ついて、雨は上がっていたのですが、ついてみると昼間の風のせいでかなりうねりがあり、岸にうちよせる波の音がかなり大きくなっていました。風はやんでいるのでだんだんおさまってくるはずですが、まあ明日の午前は様子をみながらのんびりいこうね、といって飲むものを飲んで(おっと古酒があるでわないか)、とりあえず寝ます。

朝になると、うねりもおさまってきました。でも海の中はかなりかきまわされているだろうなーと思いつつ、今日帰るわけじゃないからとゆっくり支度をはじめます。そうこうしているうちに薄日も射してきたりして、これは結構よくなるかな、と思いつつエントリーします。

浜から足を踏み入れてみると、足元にやたらと石がごろごろ・・・昨日の波で、かなり石が岸のほうに打ち寄せられて来たようで、いつもの砂浜が石ころの浜に変わっていたのでした。足を取られながら波打ち際を突破して潜降してみると、うわっ砂だらけの海藻の切れっぱしだらけではぬわいかっ。
これはあまり良くないかなーと思いつつ進んで行くと、急に水が澄んできました。砂が舞っているのは岸の近くだけで、少し先に行けば、それほどでもないようです。といっても時期が時期なので透明度が良い、といえる程ではないのですが、濁りはあまりありませんでした。

今日の海中で目立ったのは、子供(そういや人間の子供も泳ぎに来てたな、寒がってたけど)や若魚の群れでした。特にメバルが多いです。あちらこちらに群れで漂っていました。3cmくらいのもんですが、成魚と同じように頭を上にしてぷかぷか浮いているのもいたりして、やっぱり親子だねーなどと考えつつ進むと、今度はムツの子供が群れています。10匹くらいの小さな群れですがあちこちにいます。そのうちこれがもう少し大きくなって、集まって夏に見られる大群になるんだろうけど、そうなるとだんだん深いほうへ移動してしまうんですね。

防波堤の先あたりにいくと、今度は一面にクロホシイシモチがちらばっています。こちらは若魚だけでなくて、成魚も混ざっています。若魚はただ群れているだけですが、成魚のほうはおなかに卵ができはじめているようで、カップルになりかかってるところでした。なかにネンブツダイがちらほら混ざっています。クロホシイシモチが群れで漂っている間をすり抜けて行くのは、ウミタナゴの若魚です。体が銀色に光るので、遠くからでもすぐにわかります。

うねりが残っていて、水底近くにはいろいろなものが漂っています。ホンダワラのかたまりやカジメの切れ端(根こそぎ抜けているのもある)、アメフラシの卵塊(黄色やピンク色のそうめんのかたまり状)、アントクメの葉っぱ(遠目で魚と間違える)なんかが、ゆらゆら揺れています。カジメ林につっこんだりしようもんならもう大変、揺れるカジメの間に岩がつきだしていると、カジメが動いてるんだか岩が動いてるんだかわからなくなります。

防波堤をこえて深くなると、うねりの揺れは小さくなります。ムツやメバルの子供はこっちのほうにもちらほらしています。キタマクラの婚姻色で青くなったやつがうろうろしてますが、メスのほうはまだその気になってないみたいです。オスといえば、カミナリベラのオスも目立ってます(冬の間はどこにもいなかったのに)。メスの群れにまとわりついたり、オスどうしでいがみあったりしています。

防波堤の裏側、テトラポッドをこえてゴロタのあたりにいくと、その上に小さな魚の群れがびっしり。近づいていくと、クロホシイシモチの若者たちでした。まだ産卵するほど大きくなっていないので、ただ集まっているだけです。よく見るとその中にネンブツダイやコスジイシモチが混ざっています。1匹ちょこまか動き回っているのがいたのでよく見ると、アジの子供でした。仲間とはぐれちゃったので、とりあえず群れの中に身をよせているんでしょうか。群れの下のゴロタの間には、これは大人のクロホシイシモチがいます。ペアになっているのもいますね。

砂地の上の1mくらいのところに、3cmくらいでまだらのある細い魚が小さな群れを作っています。体がまだらで、帯びれのつけねに黒い斑点があります。ハゼの子供っぽいけどなんだろう(あとでドロメの子供と判明)。1匹オレンジ色の魚が混ざっていました。沖縄にいるアカメハゼみたいな雰囲気です(図鑑を見ると、チャガラの子供らしい)。

と、ここで突然午後のダイビングに話が飛びます。同じコースをたどってクロホシイシモチの群れまで来ると、その先になにやらだ円形のものがゆらゆらゆら・・・近づいていくとヒレが波打っていて、反対側に足が生えていて・・お、これってコブシメ、ではなくてコウイカでした。
すぐそばにもう一匹います。大きさは、手のひらより少し大きいくらい(手を近づけても逃げない)なんで、20cmちょっとですね。2本の足を持ち上げて体色をころころ変えているのがオスで、もう一匹はメスのようです。横のヒレを波打たせてホバリングしているところを下から見ると漏斗管(口とは違うぞい)が膨らんだり縮んだりしていました。

このコウイカの様子は、水中写真家の小林安雅さんがずっと追い続けていました。この日も撮影をしていたのですが、交接する様子を撮影できたとのこと。そのうちテレビで放送される予定だそうです。

翌日(11日)もコウイカをねらって同じようなコースをたどりました。
昨日と違うところは
・チャガラの子供のもう少し大きくなったのがいた。横じまがうっすらと出てきていたのでまちがいなし。
・テングハギ系の子供(死滅回遊魚)が出現。ちと早いんでないかい。
・シマアジの群れが今年初出現。これもちょっと早いけど、その分小さかった。
・スダレチョウチョウウオの幼魚(これも死滅回遊魚)を発見!これはいくらなんでも早すぎる。ちなみにこれ、赤沢で見たのは初めてです。
なお水温は、だいたい19度くらい(ウェットで入るにはまだ低いかも)。透明度は5〜6mくらいでした。


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