ANTLERS Diary Ant-mark



1999.08.15 2nd.ステージ 第 2節 


鹿島アントラーズ vs
       横浜エフマリノス

     人無きベンチ
        鬼無きフィールド





ゼマリオ解任が決定(私の心の中)したのは、スターティングメンバーを見たとき
だった(心の中では今季終了後の退任は当確だったんだけど)。

前節、FW柳沢の負傷で急遽フィールドに入った中田には驚かされた。ダイナミッ
クな動き、攻撃する姿勢、ロングパス、シュート、ドリブル。攻撃が好きなボラン
チだと知ってはいたが、自由に動けるように指示するとここまで素晴らしい輝きを
するのかと再認識した。

最近オリンピック代表での3バックが定着し、守備が上手くなったイメージがある
が、やはり中田の真骨頂は高校選手権で見せたスケールの大きい攻撃センスだった。
当時は東福岡の試合をほとんどみなかった事もあり、鹿島でいた番輝くのは中田
だと思っていたほどだ。

しかしその中田はフィールドにもベンチにもいなかった。メインの選手用観戦席で
私達と同じように試合を眺めていた。怪我をしているとい話もきいていない。

ゼは何を考えているのだろうか?あの中田の守備と攻撃よりもリカルドのほうが
素晴らしいとでも思っているのか?阿部があれよりも輝けると思っているのか?
百歩譲って経験のあり、自分の好みな阿部をボランチに据えたかった、小笠原、
中田と若いメンバーばかりで構成するのが恐かったという配慮があったとして、
なぜベンチに入っていないのか?

活躍して結果を出した選手が試合に出れないのであれば、どこに厳しい競争が存在
するのか?鹿島は有力な若手ばかり集めて試合にも出さないで潰しているのか?と
よく他チームのサポから言われる。しかし鹿島には正しい生存競争があり、若手同
士での切磋琢磨があって、そこから更に磨かれたタレントが出てくる。その捨石が
できるのは致し方ない、と堂々と説明していたのに、その競争が正常に働かなくて
どうするというのだろうか?

鹿島のスタメンは、高桑、名良橋、秋田、室井、相馬、内藤、阿部、ビス、小笠原、
マジ、平瀬。マジが復帰し、室井と小笠原がレギュラー入りしていた。

試合開始。前節レイソル戦はレイソルが明神と下平という猟犬のように激しい守備
をするボランチを使い、かなり激しくうまいサッカーをしてきたのに、鹿島はまる
で真剣味の薄い練習試合のような軽いプレーで敗戦していた。

何練習試合みたいにプレーをしているんだ、とかなり頭にきていた。今日の試合も
同様「何、練習試合みたいにしているの」と思ってしまった。但し今日はいい意味
で。

鹿島のプレーは練習試合のようになんのプレッシャーもなく、楽々とパスを回して
攻めていっている。相手のエフマリノスは井原と小村と上野がラグビーをやってい
ると勘違いをしていたが、それ以外は相手にならず。練習試合のように出来てしま
ったという感じだった。

原因はマジが復帰したことで前線にポイントが創れるようになったこと、ワルデマ
ールが解任されて練習量が減って身体が軽いのか、阿部が中盤のスペースを埋める
べく積極的に前めの位置でパスを捌いたことなどがあり、前線とぽっかり開いてし
まう中盤という悪いクセは出なかった。

しかし何よりの原因は小笠原だろう。小笠原はボディバランスよく相手に絡まれて
もしっかりとドリブルで抜いていき、積極的に前線へ攻撃的にパスを供給。チャン
スと見れば最前線のスペースへ走り込み、シュートを狙う。精度や決定的な能力は
おいていて、パフォーマンスだけならばビスを充分に上まっていた。

守備にもしっかりと帰る。決して無駄なパスがなく、常に攻撃の意志が感じさせる
パスを出していく。味方がボールを持った瞬間一瞬だけボーとして味方のスペース
を創ったり、パスコースを創るといった細かな動きはやや少なかったが、それ以外
は今日は素晴らしい出来だった。

鹿島の全得点は小笠原。一点めロングパスがマジに通ると、マジはシュートも打て
るのに一人抜こうと切り返す、この無駄な動きとキレの無さでスペースを失う。そ
こへキチンと走ってきた小笠原。マジのパスをダイレクトで蹴り込む。ゴーール。

2点めも後半早々、小笠原なら名良橋へのパス。名良橋は限界まで抉って抉って
小笠原へマイナスのパス。小笠原がまたも押込む。ゴーーール。鹿島2−0。

鹿島は充分勝てていた。相手はバウベルを投入し、FWから1.5列めの選手をい
れたことでマークがズレてしまっていたが、後は三浦アツを押えさえすれば、デブ
な城はカズへの道を歩み出しているし、中村は相変らず左を押えられると危険では
ない(カズへの道とは、カズはイタリアでの経験から強い体を創るために筋肉を付
けすぎて動けなくなった状態を差す。日本人はその特徴であるスピードを削っては
いけない。当って耐える事も必要だが、スピードを犠牲にするならば、その選手が
海外に立つ意味はない。日本人の持つテクニックとスピード。それが世界に通用する)

しかし鹿島の悲劇はここからはじまる。

パウベルの自由な動きを押えれるためにゼは何をしたのか?病み上りで運動量の
落ちたマジをいつまで入れでおくのか?ゼはしかし同点に追いつかれるまで何も
出来なかった。

お気に入りのリカルドをだったらなぜもっと早くにいれないのか?リカルドを投入
しようとしたのは同点に追いつかれてからだった。マジに代えて長谷川を入れてチ
ェシングさせたり、本山を入れて危険なカウンターサッカーになぜ転じようとしな
かったのか?

小笠原、ビスの運動量は明らかに落ちいていた。2点を執念で守り切れない選手も
なさけないが、相手の方の状況変化に応じて、こちらも交代選手を入れて何故対応
できないのか?中盤の枚数を増やすだけで充分逃げ切れたはずの試合だった。

中田がいれば?阿部と中田をボランチにおき、内藤を実質フリーマンにしてバウベ
ルを押えさせることが可能だった。一旦ボールを奪えば、室井が上がって、中田が
前へ出て、FWの小笠原、平瀬とで逆襲も可能なはずだ。

本田という鬼のような守備の選手がいない今、そうしてでもどんな泥くさい事をし
てでも勝ちに行くべきなのに、ゼは状況が悪化するまでは放置。何かポリシーが
あるのだろうか?であれば結構。そのポリシーを自由にやらせてあげる(あげた)
のだから、失敗の場合はきちんと責任を取ってもらいたい。

選手達の淡白で混乱しやすいプレーにも悲しいものを覚えるが(一昨年、去年なら
ばフテブテしいほど小汚いサッカーで露骨に守備を固めてロングパスなサッカーを
していた)、それ以上にゼの遅すぎる、そして無能な采配には絶望した。

今季終了とはいわない。ナビスコカップ、ACCのためにも、「信賞必罰」という
言葉を徹底させてチームのムードを代えて欲しい。私達はどんな状況になっても
鹿島スタジアムへ向かうだろう。だからこそ勝てるチームをつくって欲しい。
誰がどう見ても素晴らしい才能ばかりなのだから。決して弱小チームに優勝しろと
思っているのではない。充分な戦力があるのだから、せめてホームだけでは負けて
欲しくない。


私達と一緒に今までに築いてきたホームの誇りを打砕かないで欲しい。




試合終了後の事はほとんど触れられていない。伝聞だがまったく他意のない情報を記す。

サポシーのインファイトは試合終了後、サポシーの観客に残るようお願いをしていた。
そうして座り込みを始め、監督にここに来て事情を説明してもらいたいと抗議を
始めた。

これに輪をかけたのが試合後のゼのコメント。
「9割がた試合を支配していたが、得点されたことによりバタバタと崩れてしまった。
  何と言っていいのか。すべて皆さんのご覧になったとおりです。
  今までやるべきことは、すべてやってあるのだが、前節、今日と90分集中力が続かな
  かった。今度はいかに90分間集中できるか、選手達と話し合いたい。」

「守備を固めるよう選手を小笠原と交代した」(交代は同点後。しかもアタッカーの
 本山を投入。何のつもりでコメントしたのか?)

しばらくすると鈴木社長が出てきて、今日は選手も監督も既にスタジアムを出ている
ので、後日改めて話合いたいと言うが、インファイトは動かず。社長はジーコとの話
合いで今季はこのまま行くと決定しているので今は代えるとは約束できないとも言っ
ていた。

社長もいなくなり、そのままインファイトは放置されたまま一時間半が立つ。一触即発
の中、チームから全員は無理なので代表者と話合いたいと提案があり、代表者が向かう。
その後、チームとの話合いを行う。回答は来週中に文書等の形で報告するという約束。

インファイトは空っぽな鹿島スタジアムで「鹿島アントラーズ」コールを行い解散した。

以上。



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