ANTLERS Diary Ant-mark



2001.05.07  2001 J1 1st 第8節  


鹿島アントラーズ vs
         清水エスパルス

   勝っても負けても
        負け続けても






完敗、惜敗、余裕勝ち、完敗、そしてボロボロになって延長負け。磐田に負けてからの
鹿島の戦いだ。三冠王者の威厳はないし、鹿島としてのプライドもない。唯一の勝利の
浦和戦はもともと折込済み。ショックアブソーバー浦和に勝っても自慢にはならない。

今季最高の前半戦を展開しながら一得点しか奪えない非勝負主義な試合展開が後半の苦
労となり、ダイレクトパスを5本以上も繋げられるような楽な相手なのに、自分達のリ
ズムを取り戻す切っ掛けとする事ができず、翌節の完敗を呼び込んでしまう甘さ。

しかし鹿島ではクラブハウスでさえ信じられないような水を含みきったフィールドとな
ってしまった市原戦を除いて(それ以上に市原のズデンコプレスが素晴らしかったのだが)
他しかに鹿島の調子は良くなってきている。

スーパーカップで3-0で破れた清水相手、しかも相手は優勝争いの最中なのだが、しっか
りと戦い、相手の攻撃を受け止め、逆に少ないチャンスを活かして2-0とリードまで奪っ
て見せたのだ。モットラムが昔のようにもっと走り、もっとゲームを尊重していれば、
もう少し鹿島に勝ち目があったのかもしれない。

しかし相馬や中田、本山とファビアーノを失い、名良橋と柳沢をレッドカードで失った
鹿島には例え同点に追いついても勝ちぬくだけの精神力や体力は残っていなかっただろ
う。まして敗戦後の高桑と羽田の負傷という厳しい現実を突き付けられては、勝利うん
ぬんよりも戦えるのか心配になっていく。札幌では苦戦が必至だろう。

ただ個々人のプレーには素晴らしいものがあった。小笠原は腸炎のためなのか、動きに
以前のような切れはないが、ビスマルクは段々と走れる時間が増えている。まだマジが
地蔵でなかった時代にマジとの間で何度も見せたようなペナルティエリア手前からFWへ
のスルーパスを何度も見せている。夏までには90分走れるようになるかもしれない。

根本は左サイドバックとして何度かスタメン出場し、段々とプレーに慣れが出てくるよ
うになってきた。清水戦ではOPTAでベストイレブンに選ばれるほど評価されている。守
備では相変わらず期待できないが、回りとの連携も取れてきている。もっと回りが理解
できれば根本もロングキックだけでなく、自分自身で上がりドリブルが見せられるのだ
が・・・・・。(もっとも確実に活かす方法は野沢を入れてあげることなのだけど。この
二人は本当相手を見ないでパスを繋いでいくことができるくらい信頼が有る。)

しかし何よりもエースの復活が私に鹿島に対する淡い期待を抱かせている。浦和戦では
ロートルと雨で暴走したロボットが相手なので、どんなに素晴らしいドリブルや突破、
ポストプレーをしてみせても疑いの目でみていたのだが、少なくともその試合での2得点
がエースに自信を取り戻させたようだ。

この試合では先制点を取ったドリブル、ペナルティエリアに入る瞬間しっかりと相手DF
を押さえ込み、冷静にシュートを決め、一人少なくなりワントップとなった後も、斎藤
や古賀、森岡の三人のDFを相手に素晴らしいカウンターとポストプレーを見せつづけた。
そのパワー溢れるドリブルとポストプレーは今までにないほど力強いものだし、冷静な
状況判断とオフザボールの動き、そしてパスの正確さは「これが柳沢だ」と思い出した
くなるほどのモノだった。

北海道に行きたくないのかレッドで退場してチームの敗戦を決定的にしてしまったが、
そのプレーは多いに期待させられた。98年CSで負傷して途切れてしまった柳沢がやっと
私達の前に戻ってきたのかもしれない。



個々のプレーぶりもそうだったが、清水戦はひさしぶりに鹿島らしい魂が見えた試合だ
った。試合内容的には完敗だがほとんど一人少ない状態で必死に戦いぬいた。試合後の
スタンドからは罵声ではなく、拍手と鹿島アントラーズコールが沸いた。選手が戦えば
サポーターだって感じるものがあるのだ。例え負け続けていたとしても、鹿島アントラ
ーズの戦いが観れるのであれば、それだけで観戦する価値はある。そしてその戦いが出
来ていれば、絶対に勝てる。今は時間と自信がないだけなのだ。



あと10日後、5/19にアントラーズは鹿島スタジアムに帰ってくる。もう2度と放浪す
ることはないだろう。2000年無理やり優勝してしまったとはいえ、この3年間鹿島は
苦しみつづけた。その苦しみも5/19に終わるのだ。白いコロッセオのようなスタジアム。
カクテルライトに輝く緑色の絨毯、赤い壁となるだろう満員のスタンド。それが彼らを
迎えるのだ。

傷つきボロボロになったアントラーズ。負けつづけて自信を失っているアントラーズ。
その彼らに今してあげられる事はホーム4万人の声援で勇気づけ、声援と拍手で支え
信じ、そして供に戦い喜び悲しむ事なのではないだろうか。それがホームなのだ。


98年、2000年、鹿島アントラーズは私達に大いなる喜びを与えてくれた。鹿島の
勝利で喜び、元気になった事もあった。だからこそ、負け続けている今だからこそ、鹿
島アントラーズを逆に元気つけてあげたい。

どんなに負けつづけていても。
勝てる時も負ける時もそこに
鹿島アントラーズが在る。



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