ANTLERS Diary Ant-mark



2000.11.08  2nd.ステージ 第11節 


鹿島アントラーズ vs
         清水エスパルス

     再開
        そしてクライマックスへ





清水が追いつき一対一になるまでは鹿島のサッカーは慎重、悪く言えばツマラ
ナイ守備ばかりだった。カウンター攻撃も鈴木が持ちすぎてしまうこと、柳沢と
かぶってしまいお互いのプレーを殺し合ってしまうことで、守りばかりが目立っ
てしまった。

致し方ないのかもしれない。今日のDFは名良橋、羽田、中田、相馬。中心の一人
はルーキーで、もう一人はサテライトだけで経験のあるポジションだ(代表での
F3とは微妙に違う。代表のF3は時間をかけさせ相手のプレーの自由度を奪う仕事、
鹿島でのDFは、最終的にボールを奪うのが仕事)。本田がDFラインに引きながら
一生懸命押さえていた。ビスマルクもボランチの位置まで引いている。今日の相
手は天敵に近い清水。しかも相手の得意国立。致し方ないのかもしれない。

中田と羽田のディフェンスライン。ポロポロだと思っていたが思っていたよりも
ずっと安定していた。中田が最後にいったように全て羽田さんのおかげなのだが。
中田が前目に当たり、羽田がしっかりとこぼれたまを奪う。中田はF3のように、
時間を稼ぎつつ防ぐが、羽田は奪う。相手に当たりその体つきから信じられない
ほど、しっかりと受けてたち奪っていく。中田のマークもれも走っていってカバ
ー。相手が迫ってきていても落ち着いてボールを裁いていく。

正直ルーキーとは信じられないほどの落ち着き。市船の選手は高校時代に完成さ
れてプロでは通用しない、そういう定説があった。羽田もすでに完成されている
のだろうか。しかし安永、久保山というしょぼいとはいえ昨年度のチャンピオン
チームのFWを相手に羽田はパーフェクトなプレーをしめした。

羽田、金子、根本、曽ヶ端。鹿島の世代交代は安心できすぎて、もったいないく
らいしっかりと準備されている。鹿島の新時代ははじまったばかりか。

清水は後半までアレックス、オリバ、沢登を出さない余裕なのか、何かあるのか。
しかし清水の中盤は鹿島がボールをもつと三人が一気に押し寄せてボールを奪う。
そしてダイレクトでパスを繋ぎながらサイドにボールを回して責めてくる。試合
後のゴールキック21が示すように、それだけFWが下手なこと、そんな下手なFWに
何度もチャンスを提供するため中盤が攻めつづけていた。

そんな中、鹿島は前半終了前に名良橋がいつものほぼクリアな近いミドルシュー
トを相手DFに当てながらゴール叩きこむ。清水もアレックス、市川のコンビで中
田のオウンゴールを誘う。

同点に追いつかれた鹿島はまだ動きが本調子でないのか、柳沢を下げて本山を投
入。柳沢と鈴木のツートップ。鈴木はフィジカルと根性を活かした走りでボール
を奪い、キープしつつドリブルで入ってこようとするが、それは柳沢がいようか、
いまいが関係無し。柳沢がフリーの時でも鈴木はそこをみていられない。ドリブ
ルやキープが行きすぎて、持ちすぎになってしまう。持つところと持たない所の
メリハリがついてくれば鈴木はいいのだろうが・・・・。

柳沢とのコンビではいいところはなかった。ただ下手というのばなくコンビが合
っていなかった、という感じだった。もし鈴木がしっかりとなれば、スピードの
平瀬、技の柳沢、そして力の鈴木として、個性の違うカードを鹿島は手にするこ
とが出来る。

キングオブセンカドハーフ、ドリームメイカーの本山は入るだけでゲームに何か
作用を及ぼすのか。本山は相手と相手の間、ギャップに存在してくる。突然では
なく何時の間にか。そしてそのドリブルは既に相手に心理的なプレッシャーを与
えられるようになったのか。ユースでは通用したけどJリーグでは簡単に止めら
れてしまう、そんな批評が遥か昔のようだ。

本山が入ってすぐ、本山の絞りに絞りきって繰り出したスルーパス。相馬は名波と
組んだあの日々のように完全に抜け出してトラップ。惜しくも相手の足にひっか
かり、相手のクリアでコーナーキックに。

なぜか今までのコーナーキックはショートコーナーばかり。ビスマルクが相馬に。
相馬はなぜかトラップしてボールを止めてセンタリングを上げようとする。こん
な事を繰り返していたのだが、ここでビスマルクはファーめがけてセンタリング。
これを飛び込んだ中田が仰け反りながら額に当てながら、ゴールへ突き刺す。
ゴォォォォォぉぉぉぉーーーーーール。2-1。二点目が取れない呪縛からついに開
放された。鹿島は追いつかれながら再びリードを広げた。

ビスマルクの怪我だったのか、それともこのヘッド決めるための罠だったのか。
実際中田のマークをしていた大榎は油断したままでしっかりと付けていなかった。
これが作戦だったら正に名将トニーニョセレーゾ。そんなことはない・・・。
しかし若手ばかりの小クラブ・ビトーリアをブラジル選手権ベスト4まで導いた
のだから、実はそうなのか。

その後の鹿島は鈴木が得たPKをビスマルクが外すという事もあったが、それに責
任を感じたのか、ビスマルクと小笠原は完璧ともいえる敵コーナー付近でのボール
キープで、審判の痺れを誘いタイムアップへ。鹿島再開後、最大の鬼門を突破し
た。せっかく再開したのにもうクライマックス。鹿島の負けられない戦いは続く。





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