ANTLERS Diary Ant-mark



2000.04.29  1st.ステージ 第10節 


 鹿島アントラーズ戸 vs
           ヴェルディ川崎

  Antlers! Go Home!!
        






新鹿島スタジアムは、なんだか別空間にきた感じにさせられた。工事の途中だからかもしれない。
国立競技場などの開放されたスタジアムばかりいっていたせいかもしれない。いや違うのだろう。
以前は4つのブロックに分かれたいた観客席がひとつの構造物としてスタジアムを取り囲む。そし
て空を低く取っていたスタジアムの屋根はなくなっている。しかし、二階席に当たる部分が今度
は高く高く聳え立ち、外と中の空をどこまでいっても別空間にしていた。コロッセオ、そんな感
じがした鹿島スタジアム。横浜国際とは比べ物にならない臨場感。仙台スタジアムのようなやさ
しさを感じさせない戦いの舞台としての雰囲気。新鹿島スタジアムはアントラーズの新しい家と
して充分な威厳を感じさせた。

そんな舞台で、アントラーズは0-3という無様な敗戦を喫した。

直接の敗因は金古の軽すぎるプレー。1点目の失点も2点目も3点目のファールでさえも、金古が起
因となってしまった。相手をブロックして高く和がキャッチしやすいようにする、確かに高桑の
飛び出しは遅すぎた。しかし一度ブロックすると決めたら、倒されても相手を通すべきではない。
その必死さが金古には足りなかった。そして失点後はショックを引きずり、ますます軽いプレー
しかできなくなってしまった。

鹿島スタジアムで戦うのが夢だったと語った金古。前半の多くのシーンでは無難なプレーをして
いた。最終ラインからのロングパスも冴えていた。しかし、緊張していたのだろう、大胆さも
不敵さも、必死さも闘志も足りなかった。金古にはこの屈辱を心に刻み、次回のチャンスに活か
して欲しい。

「直接の敗因」は金古だった。しかし本当の敗因は攻撃陣が点を取れなかったことにつきる。平
瀬はせっかくのチャンスにミスを連発し、碌なポスト役にならなかった。それを平瀬に期待する
のは酷なのか、しかし去年の鹿島スタジアムでは、左側から何度もペナルティエリアに侵入し、
勝利を呼び込むアシストをしていた。平瀬ゾーンは確かに存在していたのに。

しかしこの試合で、もっとも敗因となるべきは中田だった。前節ビスマルクがいない試合では輝
きもみせていたのに、この試合ではまるで引退前のベテランのようなプレー振り。ボールをもら
ったら近くの選手にパスして、お終い。その選手が敵に囲まれるのをただ見ているだけ。いや彼
的には奪われた場合のためにカバーしようとしていたのかもしれない。

しかしそうではない。ジーコはパスした瞬間には次のパスに備えて走り出せ、常にゴールを目指
せとは言わなかったか。自分が次のターゲットになり、味方のパスコースを増やすべきではない
か、自分が走ることで相手のマークを一枚ひきつけるべきではないか、パスをもらいにきた味方
を囮にドリブルで切れこみ、得意のロングパス、アーリークロスをみせるべきではないのか。

中田のプレーは緩慢に次ぐ緩慢。自分がボールを奪われても追いかけはしない。敵のカウンター
攻撃。なぜ攻撃が終わったシーンで中田がいた晩最後から走ってくるのか。中田はFWなのか。平
瀬は確かに下手だ。しかしその平瀬は足がつろうがどうしようが構わないという勢いで走りまわ
っていた。駆け引きではなく、全力でゴールにトライをしていた。けっして、味方からのリター
ンパスをまるで他人事のように見逃したりはしない。

中田は疲れているのか。であれば出ないほうがいい。中村祥はしょぼいセンタリングで笑いを誘
ったが、あの時間帯からでてきて何度と無くオーバーラップを繰り返した。中村幸聖は初舞台、小
さいながらも小気味よいステップで、ジーコ達ブラジアリンが惚れこんだという事が理解できる
自分のタレントをフィールドで証明していた。

中田は日本代表ではないのか。鹿島アントラーズのレギュラーではないのか。中田ら若手がいた
からこそ、フロントはジョルジ、内藤、阿部らを移籍させたのではないのか。それに応えてこそ
真のレギュラーではないのか。

中田の危機はもう訪れてしまったのだろうか。このままの中田であれば、鹿島では必要のない選
手になってしまう。応援しているだけに、タレントを感じるだけに惜しい。押しすぎる。



サポーターは一体何をしにスタジアムまでくるのか。応援をしにくるだけではない。応援するこ
とで、興奮することで、チームと一体化して、チームの勝利を楽しみ、幸せな気分になって帰っ
ていくのだ。

全試合勝てて、そんな気分を味わい続ければいいだろう。しかし現実にはそれは出来ないのかも
しれない。優勝できれば本当に幸せだろう。しかしそれも毎年とはいかない。今年や去年のよう
に育成が主眼の年もあるのだ。

だから最低でもホームで勝って欲しい。鹿島の勝利を望む人たちが1万5千もやってくるのだ。そ
の人達の多くは地元にすみ、鹿島アントラーズを色々な所で支えているのだ。また東京などから
私のように試合を見にやってくる人間もいる。そういう人間にとって国立開催が望ましいか、と
いえばそうではない。鹿島スタジアムで見て勝つこと、それが鹿島のファンとしてのプライドを
支えているのだ。鹿島スタジアムで強い鹿島が見たい。それが希望なのだ。ゴールデンウィーク
とあって、大旅行の末、鹿島までやってきた人もいるだろう。鹿島スタジアムにはそういう人達
の願いが最も結集している場所なのだ。

だからこそ鹿島アントラーズはホームで勝ちつづけるべきなのだ。勝つために普段の何倍もの気
迫を見せてほしい。ここはあのチャンピオンシップを勝ち取った場所ではないのか。あの熱気に
包まれて、燃えるような試合を見せた場所ではないのか。あの日の試合でみせたハートをまた私
達に見せて欲しい。




Back