ワゴンのボディ補強!

 

最近行ったジムカーナで、サイドターンをした時の事です。

思い切りGが掛かった状態でテールを振り回した時に、リヤがよじれて、つられて車体が横転するんじゃないか?、という

挙動をしました、全然転倒なんぞはしなかったのですが、トラクションは抜け、車体はターン中にそのまま失速しました。

 

「なんだろう?、どっかセッティング悪いかなぁ?」、と、色々悩んだのですが、どうもボディが原因のような気がして、

今まであまり考えてこなかった、ボディ補強を検討する事になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

話題のウレタン補強、賛否両論の意見が巷にあふれています。

無論、商品として売っている訳ですから、肯定的な意見、説明、解釈はあります。

ただ、否定的な意見が多いのが、この製品の特色ですね、ネットで見ている限り・・。

「補強としての効果はない」

「剛性が上がったような錯覚がするだけ」

「事故った時に板金修理が効かない」

「すぐ劣化して、内部でボロボロになる」

「水が抜けなくなるので、車体が腐る」

こんな所でしょうか、他にもあるのかな?。

 

 

自分の車に補強が必要だと思い至ってから、補強に関してあれこれと 検討を重ねてきました、

タワーバー&ロアアームバーは既に実施済みなので 除外するとして、ワゴンのリヤを効果的、かつ積載能力を

損なわないように 補強するのは、相反する部分があって困りました。

 

とりあえず、サーキット等と、町乗りを割り切って分け、サーキットでは リヤシートを撤去し、シート取り付けネジ穴と、

Cピラーベルト取り付け穴を 結ぶクロスバーを製作して、後部空間の歪みを抑える事にしました。

ストリートにおいては、腰下になるサイドシル、メンバー周りをウレタン注入する 事により、剛性UPを期待する事としました。

タワーバーにも、トライアングルバーを追加して対処します。

 

 

さて、ウレタン補強を行うかどうかの判断として、首記の否定的な意見が頭を悩ませる 訳ですが、とりあえず、一つ一つ検討して見ましょう。

対象となるウレタン補強は、ベルコ製の「パワーウレタン」とします。

 

「補強としての効果はない」

さて、一番肝心な部分です、この説を推す方々の理由としては、 「あんな麩菓子みたいなので強度が上がるもんか!」と

イメージ的な意見から 「中空パイプの中身を充填しても、中身は強度に関係ない」と理論派まで、 ありますが、

「実際車に詰めたらどうなるの?」が問題ですね。

 

この辺の具体的データは、発砲ウレタンの元祖と言われる、ベルコのHPに 載っていて、実際の車に充填した実測データが公表されています。

数値的には確かに外力による変形に対して、変形量が減っています。 非常に説得力のある資料と言えます。

この資料の真偽を考えると、販売側の資料ですから、都合の良いように 直されている可能性も否定できませんが、

総合的に判断すると、信憑性は 高いと思われます。

理論的な反論もあるかと思いますが、理論はある程度、規定された条件での 考察に過ぎないので、実際に適応される場合の総合的な判断、

という意味では 足りないモノと考えています、四角い断面に充填しての実験等も、実際の 車は理想的な角断面ではなく、複雑な断面形状をしているからです。

その辺を踏まえると、データを否定するに足りる理論的反論が見出せないので、 これに関しては、「それなりにあるだろう」と判断しています。

 

「剛性が上がったような錯覚がするだけ」

そうかもしれません、親父にまでその可能性を言われました(笑)、しかし、 データが存在する以上、錯覚とは言い切りにくいです。

車体共振周波数が上がっただけ、 という話もありますが、それはそれで、動的な剛性が上がった事の結果では ないでしょうか・・・。

 

「事故った時に板金修理が効かない」

かなりそうだと思います、ウレタンを掻き出してから板金と言っても、そうそう全てを 掻き出せるとは思えません、修理の手間は非常に大きくなるでしょう。

しかし、板金修理って、どの程度やります?。 擦った、ぶつけた、凹んだと、修理をするケースは、大抵主要な構造部分ではない所の 修理が非常に

多いと思います、ピラーの曲がった車を修理して、サーキットで使う人は 少ないですよね、サイドシルを溶接修正するケースもそうは無いでしょう。

事故等でそこまで派手にやれば・・大抵廃車にしますよ。

 

 

「すぐ劣化して、内部でボロボロになる」

一般的なウレタンは、確かにその傾向が強いです、バイクのシート下地なども ウレタンですが、表皮が剥がれて、日晒しになると一気に劣化します。

表皮がしっかりしている分には・・以外と平気ですよ。 私の経験上では、紫外線が大敵のようです。

鉄板の中に封入した場合なら・・そう心配はないと考えてます。 大体10年以上乗る事は少ないのですから・・。

それ用に作られていると謳われている品なのですから。

 

「水が抜けなくなるので、車体が腐る」

確かにこれは困りモノです、サイドシルに進入する水分は、車外下側での跳ね上げ水が 挙げられますが、これは進入ルートのサイドシルが充填されれば、

進入自体できません。 気になるならば、穴部分をコーキング材で塞いでおけば良いでしょう。 一番の懸念は、車体内側での結露の発生です、

ネット上で、ウレタン補強を行った 車のボディを大胆にも切開して状況を確認したHPがありましたが、そこでも 結露が溜まったと想定される濡れ、

水溜まりが確認できます。 程度や車体の差異があると思いますが、最近の車は防錆ワックスが内部にしっかり 塗られていて、多少の事では錆びない、

と思われますが、大きな不安要素ですね。

 

私としては、この結露問題をクリアできれば、ウレタン補強を採用しようと考えました。

さて、結露をどうするか、方法は二つあります。

1:結露をスムーズに逃がす。

純正の車体が行っている手法ですね、サイドシルに滴を落として排水する方法です。

ウレタンで補強を考える場合、別途排水ルートを設ける必要があります。 全体的に発生する結露に対しては、排水ルート対処は難しいですね。

 

2:結露自体をさせない

匂いは元から絶つ!、の発想です、要は結露させなきゃ良い、と。

結露しない環境にしか車を置かないのが理想ですが・・ムチャですよね。

全ての結露を止めるのは無理がありますが、要はウレタン充填したサイドシルに 進入する水滴の発生場所・・そこのみを対処すれば水溜りは発生しません。

具体的に言えば、各ピラーが挙げられます。 結露の発生条件は、外気は冷たく、内部は湿度&温度が高い状態で発生します。

外気で冷やされたガラスに、内部の湿度を含んだ空気が接触し、そこでの温度低下により、 飽和限界に達した湿気が、冷たいガラス表面に水滴として出現する、

これがよく車内で見かける結露です。

ピラー部分も、外気と内気を分断するのは鉄板一枚ですから、結露が発生しやすい部分と いえます、ここの結露を防止するには、外気、又は内気の熱的接触を絶つ、

つまり断熱です。

建築物で断熱処理と言えば、窓には二重ガラス、壁面にはガラスウール断熱材、 発砲スチロール、そして隙間には発砲ウレタン・・・はい!!。

ピラー内部をウレタン充填してしまえば、断熱&内気接触を絶つことができますので、 結露を抑止する事ができます。

私としては、ピラーにもウレタン充填を行う事で結露問題を払拭できると考え、 ウレタン補強に手を出す事に腹を決めました。

残された課題が一つ、それはピラーへの充填をどのように行うか・・。 ボディ構造の把握も含めて、施工方法の検討が必要です。

これは、サイドシルへの充填の際に思案した方法を試し、かつ、ウレタンの 特性を肌で感じてから詳細を検討します。

最悪、注入が困難な場合は、建築用のスプレー式ウレタンを注入すれば、とりあえず 断熱は可能ですので、見切り発車としましょう。

理想はベルコ製ウレタンを注入して、ピラー剛性も確保したいですねぇ・・・。

 

 

『サイドシルへのウレタン注入』

シルへの注入時の注意点 インプレッサならではの注意点を書き出したいと思います。 施工車両は言うまでも無く、私のSRXワゴンです。

後期WRXとほぼ同じボディですので、参考になると思います。 他のNAでも、似たようなもんでしょう。

 

<Aピラー根元>

写真の通り、サイドシルの前方空間は、ここで開いています。 配線コネクタなどを収納していますので、引き出して新聞紙などで 塞いでおく必要があります、

充填されるまではよく監視しておいた方が良いですね。

 

<Aピラー〜Bピラー間、サイドシル>

各部に穴が開いていますので、一つも漏らさず塞いで下さい、それと、ブレーキ配管の 樹脂製サポートも、穴に止めてあり、圧が高いとそこから漏れます。

外して塞いで置きましょう。(私もこれにやられた) 下の合わせ面、後方部分に一箇所、水抜き用の穴がありますから、ここも忘れずに 塞いでおきましょう。

 

<Bピラー根元>

ここはピラーと連結せず、鉄板で分離されています、が、前方にサイドからの穴があり、 2枚の鉄板を貫通していますので、塞ぐのが面倒です、

Bピラー側空間に多少出るのは 問題ありませんので、適当にテープで塞ぎます、新聞紙詰めでも良いでしょう。

 

<Bピラー〜Cピラー間サイドシル>

ここも各部に穴が開いていますので注意です、下側にも一箇所水抜き穴があります。 リヤシート部に渡るサイドビームがありますが、空間的には

繋がっていませんので、 そちらから漏れる心配はありません。 その他は前方のサイドシルと同様ですので、注意してやれば問題はないでしょう。

 

<Cピラー近辺> ここの構造は他のピラーと違い、サイドシルから連続的にリヤフェンダー〜Cピラーへと 空間が繋がっています、連続充填できるので便利なのですが、

注入量に気をつけないと、 サイドシルから一気に、ドアのストライカー近辺まで膨張してきます。

ドア開スイッチは外し、車内側の下にも穴がありますので、養生をしておいた方が良いです。

ここに充填するとしないでは、ワゴンでは剛性が違ってきます。

サイドシルのみ充填したい方は、後ろ下がりに車体をセットし、サイドシル後端のみを 一度発泡充填して、止めを作った方が良いでしょう。

 

『リヤ周りの剛性UP』

インプレッサワゴンで効果的と推測される注入可能場所 『ピラーへの注入』 ピラー注入の施工、注入ノウハウ