7月19日:最終日(マルセイユ−シャルルドゴール(CDG)−成田) 今日がプロヴァンスにいる最後の日である。 1週間いたわけだが、そんな感じが全くしない。 慣れ親しんだ街がそこにあるようだ。 特にこのエクスの町はよく歩いた。 マルシェにも通い、ミラボー通りも歩いた。 いろいろなカフェにも入った。 まるで地元の商店街を歩くような気軽さで過ごすことができた。 それに増しても食事に満足できたことが大きい。 はっきりいえば、この1週間で食べたものの中で不味いものはほとんどなかったということである。 食べることが美味さの確認であるとすれば、飲むことはワインやビール自体の美味さを味わうことであり、あるいは、メインとする料理とのマッチングの妙でもある。 今回の旅は野菜も肉も魚も、それぞれの食材の新鮮さを味わうことができた旅であった。 それとともに、それらの食材の利用方法、そしてそれに合わせるスパイスやハーブ、ソースなどをどのように取り合わせるのかを学べたことが大きかった。 また、加えて、実際にハーブがどのように育てられ、どのように利用されているのかもある程度知ることができた。 もちろん、その前線基地として、そこ、つまり、エクスに娘のアパートがあったことが大きなメリットであった。 これが実にありがたかった。 やっぱりホテルでは疲れるのである。 ゆっくりと休むことができない。 娘のアパートであれば、ある程度の無理がきくというものだ。 食べたいときに食べさせてくれる、飲みたいものを飲ませてくれる。 緊張しないで過ごすことができる。 このことは旅行するときに一番大切なことではないかと思った次第である。 確かに古い。 しかし、ヨーロッパは何処でもそうであるのだが、外観を大切に保存しつつ内装をどんどん更新していく。 外観からは想像できないくらいに中は綺麗なのである。 エレベータもついている。 昔のままの石造りの建物を大切にしつつ内部をより住みやすく変えていくという、ここでも石の文化・歴史の深さを感じるのである。 ちなみに、このアパートに移る前には17世紀に建てられたという家の5階に住んでいたという。 で、エクス−アン−プロヴァンスといえば噴水が有名である。 というよりも水が実に良いのである。 一般的に海外旅行に行くときは「水には気をつけろ」といわれているわけだが、エクスでは水道水がそのまま飲めるのである。 東京の水道水より実は美味しかった。 ミネラルウォーターなど買う必要はまったくなかったのである。 そんな関係もあって、街中には至るところに水が出ているのである。 もちろん自然水でそのまま流しているので「この水は飲めないよ」という注意書きがあるものが多いのだが、犬などは美味しそうにその水を飲んでいるのだ。 右の写真の上から1番目と3番目はエクスの中央通り「ミラボー通り」にある噴水。 といってもいずれも苔むしその中を冷たい水が滴っている状況である。この二つには「飲んではいけない」の表示はなかった。 上から2番目はアパートに近いところにあるものである。子供が遊んでいたが、ここも「飲用禁止」とはなっていない。 一番下の噴水はチョット場所の特定ができないのだが、豊富な水量があったものの「飲料禁止」となっていた。 雨が余り降らないプロヴァンス地方がこんなに豊かな水に恵まれているとは思いもよらなかった。 さて、今日は7月19日である、フランス最終日である。 早めに朝食をすませ、マルシェを見ながら高速バス乗り場に急ぐ。 予定では、エクスを10時45分に出発するのだ。 マルセイユ−プロヴァンス空港まではパスで30分である。 十分余裕を持っていける時間である。 エクスを予定通りに出発。 飛行場について先ずチェックイン。 チェックインはマルセイユからシャルルドゴール空港までだと思っていたが、エールフランスの窓口(全部エールフランスだった)だったためか、成田までのチェックインが完了してしまった。 時間的には午後1時10分マルセイユ発なのでかなり時間がある。 最後にと、空港の中のカフェに入り娘と二人で炭酸を頼む。 ここでゆっくりと休んだあと、出発1時間前の12時15分に娘と別れゲートの中に入る。 ところがここで捕まってしまった。 荷物を空けて見せろという。 「ウッッ」と思って係官のほうを見ると再度スーツケースを荷物検査機に流してくれた。 確かにパソコンが入っているのが見える。 『パソコンだとわかるのになァ』 と思いつつもスーツケースを空けてパソコンを見せる。 「Oh SONY ●×▽・◎□?∈・・・」といっている。 次にショルダーを見せろという。これもソニーのクリエを出すと 「Oh SONY △↑◆・◎▽?∞・・・」といっている。 彼らは暇なのである。 そのため日本人である自分をからかっているのである。 そのことに気がついてニヤッと笑うと彼らもニヤニヤしながら 「OK,Merci」 ということで無事通過することができた。 が、問題はその後起きてしまった。 予定の時刻になっても飛行機が来ないのである。 シャルルドゴール空港では海外旅行慣れしている友人のアドヴァイスを取り入れて3時間の余裕をとってある。 出発ロビーでは飛行機が遅れるとのアナウンスがあるのだが何時になるかは言わない。 アメリカ人と思われる青年が時間を聞いていたが、係の人は一時間は遅れるだろうとの返事。 あきらめてソニーのPDAのクリエでマージャンゲームをしながら時間を潰す。 シャルルドゴール空港(CDG)には15時40分の到着となった。 CDGで出発ゲートをさがす。 D-Terminalに到着したため、Fターミナルまで移動しなければならない。 よくわからないので一端外に出てシャトルバスのところに行き運転手に確認をしてみた。 ところがシャトルバスではFターミナルには行かないという。 これは困った。 再び空港に戻り、今度はエールフランスのインフォメーションでFターミナルを確認する。 今いる建物を右に真っ直ぐに歩くと10分でいけるという。 そして歩いていく方角を指をさして教えてくれた。これはありがたかった。 Fターミナルにきて再度場所を確認。 F44ではないか、とゲートはわかったもののチェックインした航空券に記載されている時間の成田「NRT」に飛ぶ便はない。 幾度も確認した。 掲示板、モニターともに1715の便はない。 1時間遅れてCDGに着いている。 Fターミナルにくるまでに道に迷って時間をだいぶロスしている。 そのためかなり焦ってしまう。 日本人はたくさんいるのだが、聞くわけにもいかない。 やっと日航のスチュワーデスと思われる女性に、航空券を見せながら事情説明をして確認してみた。 「これはAFとJALの共同運航便ですね。F44で17時45分出発です」 この言葉に勇気づけられて再びF44に行くと、AF270K−17時45分となっている。 そこで搭乗券を再度確認してみる。マルセイユでチェックインしてもらった搭乗券の出発時間が30分早く記載されていたのである(左写真の右がマルセイユでチェックインとしたときにもらったもの。)。 ただし便名で探せはぜんぜん問題ないわけであったが、まったく知らぬ外国で言葉も満足に通じない中で、勝手に一人でパニックになっていたのである。 これは反省・・反省である(後でわかったのだが、通常30分早く記載するのが例となっているとのこと。)。 そのAF270Kは1時間遅れて出発した。 日本航空との共同運航便ということもあってか日本人がほとんどで外国人などはあまりいない。 が、Kの席(窓際)となったため通路に出るまで2人を越えなければならない。 この2人はフランス人父子。父親は60歳近い。気軽に席をたってくれるので大変助かった。 シャルルドゴール空港を離陸したのは18時58分。 さすがに日本航空、到着時間は予定通りの時間が示されている。 加えて往路のエールフランスの機内のような喧騒がない。 しかし、整然と乗っているだけではチョット面白くない。 子供が泣いたり・這い回ったり、あるいはあちこちで手振り身振りをしながら立ち話をしている女性がいたりしたほうが気が紛れる。 そんなことを考えながら座席に設置されているモニターで日本までの距離はおよそ9800kmということを確認する。 夕食が出て、ビールを飲みそのまま就寝。 目がさめるとロシア上空である。 そして朝食を食べて、しばらくして新潟上空となる。 遠くに富士山が見える。 う〜ん、残念だけど、日本に戻ってきてしまった。 |