介護予防
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球麻痺、仮性(偽性)球麻痺と言う言葉聞きますが、
違いについて教えてください。
脳卒中の嚥下障害では,脳の中で嚥下を司っている部分が障害されるために
嚥下運動がうまくできなくなると考えられています。
脳幹部の延髄には嚥下反射を起こす嚥下中枢があり,
延髄より上の脳はその中枢の働きを強化していると考えられています。
その嚥下中枢が機能しなくなった状態を球麻痺と呼びます。
延髄がある部位は解剖すると膨らんでいて「球」のように見えることからついた名称です。
それに対して仮性球麻痺は延髄より上の脳幹部や大脳が損傷されたために
嚥下の機能がうまく働かなくなった状態を指しています。
球麻痺のような症状ですけれども,違う部位が病気であるという意味で,
仮性(偽性)が上についているのです。
似ているといっても症状はそれぞれ特徴がありますので簡単に説明します。
球麻痺では嚥下反射(ゴクン)が起こりにくく,起こっても不十分です。
重症の球麻痺では嚥下反射が全く起こらず,唾液も水も全く飲めません。
歩けるのに唾液をペっペと吐き出しながらチューブで栄養をとっている方をときどき見かけますが,
多くは球麻痺の患者さんです。
輪状咽頭嚥下障害といって食道入口部が開かないタイプの嚥下障害も
この球麻痺のグループに入ります。
これに対して,仮性球麻痺の嚥下反射(ゴクン)は起こりにくいのですが,
延髄の嚥下中枢は障害されていないため,一度「ゴクン」が起こればパターンはきれいです。
ゼラチンゼリーなどの食べ物はそのまま飲み込める場合もありますが,
筋肉の力が低下していて,誤嚥したり,のどに残ってしまうこともあります。
外から見ていると「ゴクン」としたので飲み込めたと思ってしまい,
次々に食べさせて失敗することもあります。とても注意が必要です。
高齢者でふつうに生活しているのによくむせる方などにも
軽い仮性球麻痺が潜んでいる可能性があります。
舌が動かなくて口に入ったものが送り込めず,ぽろぼろこぽす人(Q42)の多くも
仮性球麻痺と思われます。
仮性球麻痺では痴呆や失語症,失認症などの高次脳機能障害をしばしば伴います。
数の点では仮性球麻痺のほうが球麻痺よりも圧倒的に多く見られますが,
重症な患者さんへの対応は両方ともたいへん困難です。
最近はこれらの患者さんの中に咽頭や喉頭の知覚低下が認められ,
障害をより大きくして訓練に影響を与える人がいることがわかり注目されています。
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